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星野源の日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ@日比谷野外大音楽堂 2012年5月13日(日)

星野源の日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ@日比谷野外大音楽堂 2012年5月13日(日)

5月の晴天は1年で一番心地よく感じる。この日も、そんな心地よい夕暮れ、< 星野源の日比谷野外大音楽堂ワンマンライブ>がスタートした。



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星野は大きく手を上げ登場。「みんながいつ立ち出すか楽しみ。」と、笑いながら用意してあるカップのドリンクを一口飲み、”ひらめき” のイントロを上空に響かせる。
星野が紡ぐ歌詞は、特別でない日のノンビリした風景を切り取り、メロディはそこに温度とニオイを与える。
”キッチン”を歌い終えると星野は「1曲目から3曲目は、僕の精神状態が酷い時の曲なので、明るいうちにやっておこうと思って。」と、サラッと言ってのけた。あまりに本当ともネタともとれるその口調に会場からは笑い声がこぼれる。
「…てか、晴れたね!」空を見上げてそう言うと、会場のファンは勿論だが、この日SOLD OUTの為に、残念ながら野音に入れず外に漏れる音を聴くファン達へも声をかけ、かえってくる歓声に「おー!!」と喜ぶ星野。あまりにもその言動はナチュラルで、きっと愛される人というのは、こういう人のことだろうと直感でわかる自由さを感じた。

 

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”湯気”は面白かった。ドラムとベースはフュージョンのような変則的リズムを刻み、まさに湯気のようにゆらゆらとそのリズムに身を託しながら揺れるオーディエンス。

ここでペダルスチールの高田蓮が登場。
「みんな、割と寒くなってきたんじゃない?まだ立たなくていい?」と、弱気な(?)立って欲しい要望を出しながら「今日は日曜日だからいないと思うけど、普段はここら辺にいる営業マンの生き霊に捧げます。」と、ちょっとブラックユーモア的に、”営業” を歌い、高田のペダルスチールはサラリーマンの悲哀のようなものを増長させた。そう、星野の楽曲は先に述べたように風景を感じる、ほっこりとしたものが多いが、決して退屈ではないのだ。美しい言葉だけを並べ立てるリリカルなものではなく、少しの悲哀や皮肉、人間の生々しさも織り込む。だからいいのだろう。


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「もうちょっと明るい時にやればいいと思った曲がありまして、2時間位前を思い出して聴いてください。」と笑いながら、おじいちゃんをテーマにした”ステップ”、”乱視”と続け、オーディエンスも小刻みにリズムをとる。
歓声を受けながら返しながら「昨年リリースした『エピソード』は聴いてくれましたか?」というと、殆ど手が上がった会場を見渡し、「よしよし、いい子だ!」とニッコリ顔の星野。この作品は全日本CDショップ店員組合の選出による「第4回CDショップ大賞」準大賞に選ばれ、改めて野音にもおめでとうの拍手が広がった。
あるライブで、オーディエンスへのサプライズとして、ステージ横の扉から登場しようとした星野だが、そこには星野の両親がいて、彼自身がサプライズにあった話などをすると、リラックスした笑い声が日も暮れ始めた野音に溶け出す。
「昨年は色々ありまして…。今年も色々ありますが」と、「色々」という言葉に色々思いを込めるように”未来”を歌う。

ここでドラムとベースは退場。高田と二人、いなくなったベーシスト伊賀航の服装の話で盛り上がる。(どうやら、あまりにもステージでの伊賀の服装が普通すぎて細野晴臣氏に怒られたらしい・笑)

MCでの笑い声の切れ間を見つけると、星野はすっと歌の空気を作る。
短い曲”バイト”では、ドキリとする本音をぽつりぽつりと歌詞に込めては吐き出し、高田のペダルスチールの音色が暗闇となった上空に風景を写し出す。

「ここからは一人でやりたいと思いま…おい!何、勝手に座ってるんだよ!!!」
と、ゆったりMCをすると思いきや、素早いツッコミを入れる。役者でもある星野ならではの、巧みな(?)喋りはさすがだ。結局本当のところ、”バイト”の時に、座ってと言うはずだったらしい。
「寒くなってきたので、生存確認!」
そう言うと、大きな声援を求める星野だが、想像よりノリが小さかったのだろう。
「andymoriのDVD観たけど、そんなんじゃなかったぞ!!!」…って、やっかみに聞こえるんですが、星野さん(笑)。
「タイヤキを食べる女の歌を作ろうと思って出来た曲」と、eastern youthの吉野氏と作った”タイヤキ”、そしてナンバーガールの”透明少女”、切なく、とてつもなく優しい”老夫婦”を弾き語りで歌った。

具合が悪くなったオーディエンスの為、しばし休憩的なMCで、7月4日発売のシングル『夢の外へ』のことにも触れたが「今日はやりません。」という星野の言葉に、会場ブーイング。でも「まだ一ヶ月もあるしー。」と、身体を揺らしながら何とも悪戯っぽい仕草を見せる星野が妙に愛らしかった。
体調不良で退場したお客さんを心配しながら、それを助けたオーディエンス達へ星野、そしてオーディエンス同士で拍手が起こった。
「大丈夫であれという気持ちで」といい、”茶碗”でライブは再開。
「言うの忘れてたー!立つ?こうやって動いていいですよ。」と、星野は手足をバタバタして見せ、「踊れる曲やります!」と、茶目っ気たっぷりなポーズで、”もしも”へ繋げ、”日常”が終わると、大歓声が野音を包んだ。

くだらないとか、馬鹿じゃないということの中に大切なものがあると歌った、”くだらないの中に” は実に名曲だと思う。星野の足下に一瞬光りを放ったライトを観ながら、くだらないとは本当に大切なんだよなと、つい歌詞の世界に身を委ねた。
「どっぷり、完全に夜ですなぁ。今日来てくれて本当にありがとう!一人もSAKEROCKも頑張ります!」
少し風が冷たくなり、星野は手をこすりあわせながらそう挨拶すると、曲を始めようとするものの、救急車やらヘリコプターの音が響き「やっぱり野音って色々な音がするね」と、笑った。でもそれは確実に野外のライブらしさを楽しんでいる表情だった。そして最新シングル ”フィルム”で本編は終了。


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再びメンバーを引き入れてアンコールでは ”くせのうた” を披露。
「来年も出来たらいいな!また会いましょう。客席の人、立ち見の人、音もれの人、本当にありがとうございました!!!」
星野は笑顔でオーディエンスへ手を振ると、深々と一礼。 星野源の日比谷野外大音楽堂ワンマンライブは幕を閉じた。
ステージを余すことなく走り回るというライブではないが、その歌声と星野らしい柔らかな空気感、親近感の湧くMCは、野音のステージをいっぱいに満たしていた。

 

 

TEXT:まさやん

 

★星野源 公式サイト http://www.hoshinogen.com/

 

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