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スキマスイッチ「スキマスイッチTOUR2012-2013

スキマスイッチ「スキマスイッチTOUR2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"」@渋谷公会堂 3月27日(水)

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昨年2012年10月からスタートした全都道府県二人ツアー<スキマスイッチTOUR2012-2013“DOUBLES ALL JAPAN”>も3月31日(日)の沖縄公演でファイナルを迎えた。
この日、3月27日(水)渋谷公会堂での公演は50本目。
ステージはスキマスイッチのスタジオ、工房をイメージしたウッディーな作りとなっていて中央には2台のグランドピアノ。
その周りにはドラムやキーボード、ギターが置かれており、背後から二人をぐるりと囲うように広がる半円にはギターが掛けられている。

大歓声を受け、大橋卓弥、常田真太郎が登場。
二人とも、Launchpadという数多くのボタンが設置された電子機器を用いてビートを鳴らしている。
この時点ですでに今迄のツアーではないアプローチだ。
二人の動作でどんどん音が厚みを増すと、両者それぞれのピアノへ腰掛け、大橋のカウントを合図に「アイスクリーム シンドローム」からライヴスタート!


0327SHIBUYA0817.jpg大橋はピアノを弾きながらもオーディエンスに笑顔を向け、更にピアノの上に置かれた鍵盤にも手を伸ばす。
メロディもライヴアレンジが施され、まさに「生」という素晴らしさを実感。
二人だけのステージでどういうパフォーマンスを見せてくれるか期待度も高い中、しょっぱなからオーディエンスはハイテンションの熱気で二人を迎え入れた。

「凄いね!…どうしたの?(笑)」と、 のっけからあまりの大興奮ぶりのオーディエンスに大橋は吹き出しそうになり、常田は相変わらず淡々とした口調で「示し合わせたんじゃないの?」とぽつり。(この日は撮影が入っていた。)
そして大橋は、今パフォーマンスしたばかりの機材の説明をしながら「僕らの仕事場、工房をイメージして作ってもらいました。スキマスイッチの家に遊びに来てもらうという設定です。結構広いでしょ(笑)」と、 ステージを指差すと「僕らもゆっくりやっていきたいと思いますので、皆さんも最後までゆっくり楽しんでいって下さい。」と改めて挨拶。

大橋がドラムへ移動すると、常田はLaunchpadに記憶させていた音と、今生まれたドラムのリズムを調整。
次の曲への「間」も、クリエイディブな思考独特のリラックスと緊張感を行きつ戻りつしている。
ゆっくりとヘッドフォンをする大橋。「センチメンタル ホームタウン」では、オーディエンスのハンドクラップも“演奏”の一部だ。続く「藍」では常田の繊細なピアノ、大橋の淀みない歌声という王道のスキマスイッチの姿があった。

ワンマンで渋谷公会堂を会場にするのは初めてだが、大橋はどこかでやった記憶があるらしく、常田+オーディエンスvs大橋状態になる。最後は渋々「初めてらしいです。」と明らかに納得していない大橋に会場も大爆笑。
そしてご当地話になるも「東京って、これといってしゃべることがないんだよね。」と大橋。
はいはい。確かに昨年4月の<スキマスイッチTOUR2012 "musium">でも最終的にはリップクリームをポケットに入れておくと、何故少しリップ部分が出てきているのだろうという話になっていたことを瞬時に思い出した(笑)。

リラックスムードの中、大橋、常田はステージ前側へ移動。「病院にいく」を二人のギター弾き語りで聴かせてくれた。


0327SHIBUYA1922.jpgこの日常田が使用していたギターはツアー中、常田の誕生日に大橋がプレゼントしたものらしい。

大橋は、時々マイクから離れて声を出している。
それはマイクを通じて伝わる声と、生声で伝わる声を楽しみながら感じてもらいたいという風にも見える。

「雫」での“静”のアレンジには感動した。

0327SHIBUYA1295.jpgバラードであるがゆえのダイナミックなアレンジは今迄も観てきたが、常田はスラーやスタッカートで抑揚をつけ、椅子に腰掛け歌う大橋は内側にパワーを押さえ込みシンプルさを研ぎすませている。
それはかえって音の広がりや、聴く側の想像力をかき立てた。曲が終わる毎に感動のため息が漏れる。

大橋は音叉を使い、次に出す音をたぐり寄せた。
2階席からもその声がかすかに聴こえるということは、いかにオーディエンスがそういう時間を大切に捉えているかという証拠であろう。アカペラで始まった「ボクノート」は、途中から重なるコーラスが右、左、また右…とスピーカーを通じて音の立体感を生んでいる。モニターには水が弾く映像が映し出され、まさに瑞々しく澄み切ったアレンジに気持ちが高揚し、会場からは大きな拍手がおくられた。

今回は47全都道府県をまわるツアーということで、旅をテーマにした曲を今ツアーのリハーサル中に作ったという。
その場その場でスペシャルなものにしたいという想いから、1部だけ抜けている歌詞を都度オーディエンスと考えたいと提案。
つまり、この47都道府県51公演ですべて違うものなのだ。
11月の中野サンプラザホールでの公演で“東京タワー”は出たということなので、それ以外をオーディエンスと決める。「東京ドーム」「スカイツリー」「レインボーブリッジ」「ハチ公」「東京駅」「高尾山」…次々出てくるので常田は「東京…いっぱいあるんだなぁ。」と関心。そして最終的に決まったのは「ハチ公」。
しかし、メロディに乗せるには若干言葉の座りが悪いらしく、「これは叫ぶパターンかな。」と大橋が笑うと、常田は「ワン!」とハチ公役を買って出た。
これには会場も大歓声だが大橋は容赦ない!「賢いし、可愛らしさがあるんだよ。改札のところで旦那さんを待っている言い方!」と、ダメ出し。その甲斐あって(?)、ハチ公(常田)の「ワン!」は大好評。暖かくアットホームな、この日だけの「トラベラーズ・ハイ」が完成した。

「雫」同様、「ユリーカ」のアレンジには正直、してやられた。
元来この曲が持つ疾走感とパワーでグイグイとオーディエンスを引っ張るのかと思いきや、 常田のピアノと大橋のアコギのみというシンプルな構成。
Launchpadで激しいリズムや厚く積み上げた音を重ねるでもない。
それでもオーディエンスは身体全体でリズムをとり、会場は揺れる。
本編も最後に近づき、「晴ときどき曇」で“sunny cloudy♪”と合唱。
大橋は笑顔でオーディエンスを見回しながら「いいね!」と心底嬉しそうに言う。
この二人はファンのみんなと音楽で繋がっているのが本当に一番嬉しいのだろう。

「すごい元気だね。本当に!!」
アンコールで再び登場した二人はオーディエンスの歓声を笑顔で受け取った。
ピアノの前に座った常田が指を鳴らすと、トレーに何かを乗せたウェイターが登場。
あ、あれは!!!そう、かつて常田のトレードマークであったアフロではないか!
「デビュー当時、こんな感じだったよね。」と笑う大橋。
「初心に返ってやりたい曲もありますし。」とアフロウィッグをつける常田。
初心といえば当然デビュー・シングル「view」。
2003年7月にリリースしたこの曲を、どういう想いで10年後の二人だけのライヴツアーでプレイしているのだろうか?

「今日は本当に本当に楽しかったです!僕たちはピアノとギターだけあればどこでもいける。二人だけで47都道府県回れたらいいなとずっと言い続けていました。でもバンドでやるのも好き。バンドというのは曲が始まってガンガン音の塊をぶつけられる。ただ、シンプルな感じで届けることでいつもと違うメロディや歌詞の聴こえ方をしてくれたらいいと思いました。」大橋は、このツアーを通じて伝えたい想いを一気に語り始めた。
自分達は決して“芸能人”だとは思っていないということ。ただ音楽が好きで、自分達の居場所を“音楽”というところに見つけただけということ。
「(自分達は)お医者さんのように人の病気を治すことも出来なければ、美容師さんのように髪を切って喜ばせてあげることもできない。出来ることなら皆さんと同じ目線に立って、音楽ができたらいいと思います。新曲も“聴け!”と押し付けるんじゃなくて、友達に自分のオススメのCDを貸すイメージで届けたい。良い意見ばかりでなくてもいい。それがスキマスイッチには大きな糧になるから。」
いくら喋っても大橋からは想いが溢れ出ていた。
「僕らの人柄が伝わったら、僕らの音楽の聴こえ方も違うんじゃないかと思います。」そういうと「本当はちょっとだけ喋ろうと思ったんだけど…。」と、我に返ったような大橋の笑顔に、大きな拍手が降り注ぐ。
最後はそんな全ての想いが詰まった「またね。」で東京公演の幕は閉じた。

音楽という厳しい世界の第一線で突っ走る彼らが、それでも尚かつ音楽へ貪欲な姿勢を見せていること、音楽の前では全てが平等であるという姿勢、そしてその想いから生まれた今回のツアーで見せたステージ、私はその全てに最初から最後まで興奮し続け、一生忘れることがないライヴを体感出来たと確信した。


PHOTO:(C)岩佐篤樹
TEXT:秋山昌未

フォトギャラリー

セットリスト

M1.アイスクリーム シンドローム
M2.全力少年
M3.螺旋
M4.ガラナ
M5.センチメンタル ホームタウン
M6.藍
M7.病院にいく
M8.ソングライアー
M9.さみしくとも明日を待つ
M10.雫
M11.ボクノート
M12.トラベラーズ・ハイ
M13.奏(かなで)
M14.ふれて未来を
M15.ユリーカ
M16.晴ときどき曇
M17.ただそれだけの風景

-ENCORE-
EN1.view
EN2.ラストシーン
EN3.またね。

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