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上間綾乃『ニライカナイ』リリース記念プレミアムコンサート

上間綾乃『ニライカナイ』リリース記念プレミアムコンサート

uema_426.jpg2ndアルバム『『ニライカナイ』をリリースした上間綾乃の<『ニライカナイ』リリース記念プレミアムコンサート>が、リリース日である9月4日(水)青山CAYで開催した。

青山CAYは食事やお酒と共にライヴを楽しめる空間だが、今回は100名限定でCAY沖縄風南国プレート付きライブ。
「ニライカナイ」という名前のカクテルをオーダーする声も聞こえて来る。

バンドメンバー、そして上間綾乃が登場するとレストランノイズは拍手へと変わった。

髪が長く、目鼻立ちがハッキリとした上間はステージに上がるだけで華がある。
三線を持ち、“サーサー節”でライヴがスタートすると、同じく沖縄民謡の“海のちんぼうら”ではバンドサウンドで軽快なリズムを刻む。
実はこの曲、沖縄の歓楽街の名前や男女の「淫」に対して歌った曲らしいが、当然うちなーぐち(沖縄弁)なので、民謡とバンドサウンドのコンビネーションの面白さにのみ耳を奪われた。(きっと、うちなーぐちが分かればもっと面白いと思うが)



「今日はライヴが始まらなければいいと思った。だって始まったら終わっちゃうでしょ!」
沖縄のアクセントで、どことなく茶目っ気ある口調の上間は、自分に三線の魅力、楽しさを教えてくれた実のお婆さんの話を始めた。

「私が今日はどこに行くの?って聞くと、“ボーリング!”、また違う日にどこに行くか聞くと“カラオケ”。そうやっていつも家にはいなかった。しかも“ゲートボールはやらん。あれは年寄りのやるもんだ。だから私はグランドゴルフをやるんだ”だって(笑)。」
元気なお婆さんのエピソードを嬉しそうに語る上間。
しかしそのお婆さんが85歳のお祝いの2日後に突然の他界。
「あんなにパニックになったことはなかった。全身の力が抜けた。」

取材の時も、涙をこらえ言葉を詰まらせながら話してくれたお婆さんの死。
しかし上間は子どもの頃、そのお婆さんから「海の向こうには神様が全部住んでいる」というニライカナイの話を聞かされて育ち、そのことを思い出すと「おばぁはニライカナイに帰ったんだな。」と気持ちを少しずつ切り替えることが出来たことを語った。
泣き出さないように一言一言丁寧な口調で。

更にそれは随分と悩んでいた今回のアルバム名を『ニライカナイ』にするキーポイントにもなったと言う。


大好きなお婆さんへの想いを込めて“ニライカナイ”を歌ったのだろうか。

お客さんはただただ静かに聴き入っていた。
もしかしたらそれぞれが、亡くなった自分の大切な人のことを考えているのかもしれない。
「死」と向き合うのは目眩がする程しんどいことだが、 “ニライカナイ” のメロディ、歌声、歌詞全てが切なくも厳かで穏やかで、とても静寂な時間が流れた。



17歳から上間綾乃として活動している彼女を当時から応援してくれている人達がいる。
上間は客席を見回しながら「あの頃からするとだいぶお姉ちゃんになったでしょ!」と笑うと約10年の歴史を一緒に歩んだファン達も笑う。
以前は那覇空港から離陸するだけでホームシックになっていたというが、沢山の仲間が増え当時より音楽に対し柔軟になったと語る上間は「初めて買ったCDは何ですか?って聞かれる。CDじゃない、カセット!民謡のカセット。民謡を聴きながら寝る子はお前くらいだと父ちゃんに言われた。でも音楽は民謡だけじゃない。当たり前だけどね。」と、沢山の経験を経て今の上間綾乃が在ることを真剣な眼差しで話していた。

…かと思うと次の瞬間「今日、ご飯食べた?美味しかった?」と、客席のCAY沖縄風南国プレートを覗き込んだりもする。
やはりお茶目だ!!

「ゴーヤ残してない?残しちゃ駄目だよ、身体に良いんだから。」そんな上間の発言に会場は爆笑。
実は上間自身、ゴーヤが苦手だから。

なんと和やかなムードなのだろうか。
この日はファンだけでなく上間の先輩や仲間、関係者も多数詰めかけた。

“ソランジュ” 産みの親、康珍花氏と都志見隆氏、アートディレクターを務めた信藤三雄氏、葉加瀬太郎氏の姿もあった。

上間は、みんなが来てくれたことに対し緊張しつつも嬉しそうな表情を浮かべる。


そしてもうひとり、“ゆらりゆらら”の作詞作曲をされた川江美奈子氏をステージに招き入れると、二人ともすでに感極まっている様子だが、 川江もキーボードで参加し “ゆらりゆらら”を歌う。
伊集タツヤの暖かいギターの音色と川江のコーラス、上間の歌が紡ぐ暖かい子守り歌は会場をゆったりと包み込んだ。
演奏後、川江と上間はしっかりハグ。会場からも大きな拍手が沸き上がった。


有線でもかなり話題となった“ソランジュ”は本当にあちこちで耳にした。
特徴的なキーボードのイントロ、三線とエイサーの凛とした響き、大きなメロディと深い愛情を感じる歌詞にお客さんも魅了される。


曲が終わると伊集が「さてみなさ〜ん、今日は『ニライカナイ』が生まれた日ですが、上間綾乃さん、今月誕生日です!」と言うと、会場全員で“Happy Birthday to you”を合唱。
上間は、はしゃぐように「アイヤー♪」とかけ声をかけ満面の笑顔。

また、この9月4日は沖縄のお酒「古酒(クース)」の日ということで来場者の中から古酒が1名に当たる抽選会も行われた。


その後「当たらなかった99人の人へ。」と、この日一番の課題という八代亜紀さんの“舟歌”を披露。
オリジナルや民謡とはまたひと味違った盛り上がりを見せる。



「全く分からんの?今日は特別よ。」
“やんどー沖縄”での、うちなーぐちによる早口の台詞。
この日は特別に意訳バージョンを教えてくれた。
「子どもも大人も休みなさい。赤信号は止まるものだと学校でも教えられたし母親からも教えられた…」つまりは「ゆっくり歩きなさいよ。」ということらしい。
上間は以前この台詞の部分に哀愁を感じると語っていた。頑張り、汗を流す仲間のような、故郷を思う気持ちや人間ドラマを感じられると。だから楽しい曲だけど泣きそうになると語っていたが、この日はどうだったのだろうか。



「みんなの笑顔が私のご飯だよ。お腹一杯にはならんけど(笑)。私は泣き虫だけど、今日は涙の変わりに沢山汗をかいた!上間のCDショップの棚を空にしてくれ!!!」

まっすぐな上間の感動は大きな拍手に包まれていた。


最後の“ヒヤミカチ節”は三線をまるでエレキギターのようにアグレッシブに弾き、最後の最後まで盛り上がったまま<『ニライカナイ』リリース記念プレミアムコンサート>の幕は閉じた。

 

TEXT:秋山昌未

フォトギャラリー

セットリスト

1.サーサー節
2.海のちんぼうら
3.ニライカナイ
4.里よ
5.ゆらりゆらら
6.ソランジュ
7.舟歌(カヴァー)
8.豊年音頭
9.唐船ドーイ
10.やんどー沖縄
11.新川大漁節
12.ヒヤミカチ節

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