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指田郁也

指田郁也 "しろくろ"しくよろTOUR2014 6.21 東京国際フォーラムホールC

昨年10月にリリースした1st Album『しろくろ』を携えたツアー【指田郁也“しろくろ”しくよろTOUR2014】が今年1月からスタート。待望のバンドセットでのツアーは、6月21日(土)東京国際フォーラムホールCの追加公演で幕を閉じた。

オープニング、指田のアカペラからライヴはスタート。「みなさん、今夜は僕の初めてのホールライヴです。楽しんでいってください!準備はいいですか?」その口調から、指田自身もボルテージが上がっていることが分かる。スネアドラムを叩きながら “哀シテホシイ”で本編1曲目をスタートさせると、カラフルなサウンドが印象的なシングル曲“パラレル=”へ繋ぐ。

「今日は僕の初のホールライヴとなります国際フォーラムホールCにようこそお越しいただきました。ありがとうございます!」国際フォーラムは通過点だと周囲に話していた指田だが、この日会場入りした指田のリュックには何故か自宅テレビのリモコンが入っていたという。そんなエピソードを笑いながら話し「全然テンパってないから。」という言葉に会場も爆笑。しかし「今日はパーティーだから。お祭りだからみなさん楽しんでいってください!」と改めて挨拶すると「あれから2年経つんですね。」とデビュー曲の“bird”へ。美しいピアノの旋律と静かな歌声は、サビで一気にテンションを上げ、続く“夕焼け高速道路”では丁寧に情景をなぞった。

MCで何を話すか考えていなかったという指田は、突然想い出したかのように「あ!髪の毛を染めたんですよ。」と言うと、黒髪に混ざった赤系の髪を触りながら、原宿で2回スカウトされたエピソードをジェスチャー付きで話し、会場も和やかムード。

そして「実験的に」と、ループステーションを用いて、ここでしかない音を生み出した。マイクを叩く音、ピアノのボディを叩く音、声、ピアノ…少しずつその場で構築される音たちに耳をすます会場。その音がすべてを飲込もうとする瞬間、“hello” のイントロが流れ、美しいセルリアンブルーのステージ中央、指田はピンク色に染まっていた。放射線状の光は客席へと繊細に降り注ぐ。 TBS火曜ドラマ「なるようになるさ。」主題歌のこの曲は、実は黒鍵だらけなので弾くのが大変だと取材で語ってくれていたが、加えて語ってくれていたように、確かに日本ならではの春の音を感じさせてくれた。

“明日になれば”でリズミカルに動く指田は、「今日みんなに集まってもらってメチャクチャ嬉しいよ〜。テンパってTVのリモコン持ってきちゃったけど〜すごく楽しいよ♪」と、フリースタイルで歌ったり、ピアニカでリズムを弾ませたりと会場のボルテージを上げた。大きな歓声の中、ギターを残しバンドメンバーは一旦退場。

次に披露する“オレンジ”について、「僕はめちゃくちゃネガティブな人間なんですが、最近、自分にはないものを沢山持っている人達と出会えて、その人達に色々な話を訊いたり刺激を受けながらこの曲を書きました。」と語り「みなさんの中で、大切な人を思い浮かべてこの曲を聴いてもらえたらと思います。」と、ピアノとギターのアコースティックヴァージョンでしっとりと歌い上げた。

指田は、ギタリストがライヴ中にピックを投げるシーンを観て、自分も何か投げたいと考えたらしく考えた結果、廃止になってしまう寝台列車「北斗星」のコースターを、ライヴ中のどこかで投げると公言。さすが鉄道ファン!勿論(?)その流れで演奏するのは“上り電車”。(ちなみに投げることを忘れてしまっていたらしく、アンコールの最後でこのコースターは投げられた。)

ライヴも後半戦。コミカルな歌詞の中に哀愁やリアル、闘志さえ感じる“ロックスター☆”では、スネアドラムやクラップでオーディエンスを煽ると、アグレッシブなピアノプレイの他、ピアノのボディを底まで叩き、体全体で音を楽しむ。最後は椅子の上に立ち上がりジャンプ! “ロックスター☆” から一転、ファンキーなベースとダークなギター、憂いあるメロディの“真夜中のシンデレラ”では、髪の毛をグシャっと掻き分けたりネクタイを緩めたりしながら、時に気だるく、時に激しく、そしてセクシーに歌う。

更に大きく息を吸い込むと、“スパム”へ。イントロのゴリゴリなベース音と洋楽テイストのAメロが、Bメロからサビへと展開するにつれて、J-POPそのものへ変化する。「ちょっとここで、アドリブで自己紹介をしてみようと思います。」と言うと、メロディに乗せ「1986年東京下町生まれのAB型〜」から始まり「思春期になって人が怖くなった。そんな時に支えてくれたのはラジオのJ-POP〜♬」と、自分の人見知りさや初めてピアノを習った時のこと、思春期に音楽と出会ったことなど、見事なフリースタイルを披露。 圧倒的な音とこのパフォーマンスはオーディエンスを熱狂させたが、指田は止まることなくステージを飛び出し、客席でリズムを刻み続ける。これには割れんばかりの拍手が鳴り響いた。

“スパム”での熱狂を少しクールダウンさせるかのようにピアノへ向かうと、指田は静かに中学3年の頃の想いを語り始めた。周囲と壁を作ってしまい、人との接し方や生き方を悩んでいた頃、山下達郎の“蒼氓”の歌詞、メロディに心を強く打たれたと言う。生き急ぎながらも生きる意味を見いだせないでいた当時の指田は、この曲の歌詞を聴いた時に「そんなに焦って答えを出そうとしなくても良いじゃないか。生き続けていく中で自然と答えは出て来るのだと。そういう風に言われている気がして、僕はそこで生き方の意識が変わりました。」と言う。指田をミュージシャンに導いた曲との出会い。デビューしてから約2年、そんな経験から「音楽が持っている生きていく力」に焦点をあてて常に楽曲作りをしていると続けた。本編は、自分自身がそのテーマを素直に表現できたという“花になれ”で終了。

 「みんなロビー観て来た?すごい人からお花来てなかった?」 アンコール、1人で登場した指田は開口一番、J-POPで憧れている山下達郎と柴田淳からのお祝いの花が届いていたことに、屈託ない笑顔で喜びを表現(もう一人の憧れは故・尾崎豊氏)し、本編最後に語った山下達郎の“蒼氓”を弾き語りでカヴァー。
更に「今夜はスペシャルゲストがいます!オレスカバンド!」と、オレスカバンドを呼び込むと、パワフルなホーンと共に“music”、“documentary.”を演奏。 “documentary.”では、会場を半分に区切りオーディエンスによるコーラスを響かせた。

熱気が覚めやらぬ中、弾き語りツアー(弾き語りライブ 本音2014~スリーハンドレッドシックスティーの巻~)の決定を発表。再び会場を沸かせた。

指田にはデビュー前からずっと指田の音楽を支えてくれていた人がいた。決して口当たりの良いことばかり言わず、叱咤激励しながらミュージシャンとしての成長を見守ってくれたそうだが、心の病により指田のデビューが決まった時にはこの世にはいなかったと言う。ライヴ最後は「ここへ来てくれたみんなと、もしかしたらここに来てくれているかもしれないその人へ。」と “嘘月”を力一杯歌い上げ、【指田郁也“しろくろ”しくよろTOUR2014】ツアーファイナルであり、初のホールライヴは幕を閉じた。


TEXT:秋山昌未


■ オフィシャルサイト
http://official.stardust.co.jp/sashidafumiya/

 

フォトギャラリー

セットリスト


M01. 哀シテホシイ
M02. パラレル=
M03. ○月×日なぜか海へ向かう。
M04. bird
M05. 夕焼け高速道路
M06. hello
M07. 君とさよなら
M08. 明日になれば
M09. オレンジ
M10. 上り電車
M11. ロックスター☆
M12. 真夜中のシンデレラ
M13. スパム
M14. 花になれ

Encore
En1.蒼氓(山下達郎カヴァー)
En2. music
En3. documentary.
En4. 嘘月

 

Interview

Live Report

Blog

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