twitter twitter
ドレスコーズ「ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ」

ドレスコーズ「ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ」

Main_dress718.jpg蝉の声。コントラストの強い影。背中に流れる汗。真夏が去ることを惜しむかのような暑さの8月17日(日)、日比谷野外音楽堂でドレスコーズのワンマンライヴ【ドレスコーズ「ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ】が開催された。

志磨遼平(Vo)はシンセで挨拶代わりのノイズをブチかますと、オープニングには9月24日にリリースされる『Hippies E.P.』収録曲の“ドゥー・ダー・ダムン・ディスコ”を持ってきた。
この作品は、レコード会社移籍後初リリースとなる。
ギターではなくシンセを操るその姿とサウンドは「“ダンスミュージックの解放”を標榜して制作された」と言うにふさわしい仕上がりだが、見慣れないもの、聴き慣れないものへ最初に感じる違和感のようなものがあったことも認めよう。
それでもアグレッシブさは何一つ変わっていない。
“Automatic Punk”のライヴパフォーマンス中、志磨はとうとうシンセもマイクも倒してしまい、オーディエンスの熱量を上げた。
それは、菅大智(Dr)の圧倒的なドラミングも、山中治雄(Ba)のゴリゴリとうねるベースも同じだった。

dress7182.jpg「日比谷野音ヒッピー!今日はもう、どうなってもいいという気持ちです。今日は全部真夏のせいにして、思いっきり楽しもうね。ゲロ吐くまで踊ろう!!…でも暑いから気をつけて。ぶっ倒れないように。何があっても倒れないのがロックンローラーでしょ。何があっても倒れないのがロックンローラーだろう!よし、じゃあ僕らの夏を始めるよ!」志磨のMCで、更に何かが弾けるようにオーディエンスは歓声を上げた。

dress7186.jpg“Lolita”の甘酸っぱいメロディと志磨のセンチメンタリズムを丸山康太(Gu)のギターは包括しながらロックへと変える。
時折ステージの端でオーディエンスを煽る丸山は、そのルックスの良さや長身であること以外にも、ギタープレイで独特な雰囲気を醸し出している。

志磨は“Zombie”でこの日初めてギターを手にした。
憂いのあるメロディ、耳を離れない特徴的なギターリフは、何度聴いても、どんなアレンジで聴いても最高だ。
無駄な主張をしない山中のベースプレイはしっかりボトムを支え、ここぞというところでバウンスする。

dress7183.jpg「OK野音?!風気持ちいいね。ここは東京のド真ん中の神様が住む森だよ。何の神様でしょうか。それは、ロックンロールの神様です。準備はいいかい!」というと、“シネマ・シネマ・シネマ”へ。志磨はまるでアクターのようなの表現力でオーディエンスに「拍手を!」と叫べば、ロックンロールの神様が住む森にクラップが響き渡る。

dress7185.jpg歪むフィードバックから、“トートロジー”へ。
この曲はフジテレビ系アニメ「トリコ」のエンディング曲だった為か、ことさら盛り上がりを見せた。
サビで照明がオン。オーディエンスも拳を振り上げ歌う。

ボイス、足音、クラップ、志磨はリズムを先導すると、そこからトーキングスタイルで始まる“ゴッホ”へ。
やはり菅のリズムは絶妙なタイミングで志磨の言葉を捉え、圧倒的なコンビネーションで楽曲の世界観と叫びを爆発させる。
ステージ背後のライトはメンバーの輪郭を包み込み、志磨は足を組んでモニターに座ると、頬杖をつきながらオーディエンスが熱狂する様をみている。

「ロックンロールってさ、今、この瞬間だと思ってた。昔の話なんて死んでも振り返らねえぜって思ってた。でも今思うと、間違ったことなんて何ひとつやってなくて。そりゃそうだ。だって僕だもん。僕が間違うはずなんてないの!そして僕らより年上の人、あなたたちのこともあまり信じていませんでした、ごめんなさい。でも僕が年上になったとしたら、絶対年下に悪いことしない だって僕だもん。だって僕は絶対に間違ったりしねー!絶対正しい!絶対正しい!絶対正しい!絶対正しい!……それがロックンロールってヤツだ。」
志磨は、シリアスすぎず、コミカルすぎない口調で、ありきたりではない言葉をオーディエンスへ投げかけると、丸山はギターを、志磨はマイクを投げ捨てた。
「聞け、丸山!」といいながら志磨は丸山が落としたギターを取り上げると「ウォー!ウォー!」と叫びだす丸山。
「いいか、どういうことか分かったか!」丸山を目で追いながら志磨はオーディエンスへ問いかけ、熱狂のまま“バンド・デシネ”で本編は終了。


アンコールでは、□□□(クチロロ)の三浦康嗣がスペシャルゲストとして登場。

dress7187.jpgメロウなリズムの“メロデイ”で三浦と共に志磨はラップを聴かせた。
三浦の提案でメンバーから一言ずつ挨拶すると“Ghost”、“ヒッピーズ”と『Hippies E.P.』の楽曲を次々披露。
ラップやブレイクビーツにも驚かされたが、特に“ヒッピーズ”での三浦のブライト感溢れる鍵盤と、90年代のポップマニアを彷彿とさせるサウンドはあまりにも「今まで」のドレスコーズには無いアプローチで、ただただ驚かされた。
それでも弾けながら光を放つミラーボールのように、オーディエンスは新しい音を楽しんでいる。

「さぁ、夏にとどめだー!」
Wアンコールでは一転、ロックンロール剥き出しアグレッシブなステージを繰り広げ【ドレスコーズ「ゴッドスピード・サマー・ヒッピーズ】は幕を閉じた。



photo by 石井 麻木

text by 秋山昌未

フォトギャラリー

セットリスト

01.ドゥー・ダー・ダムン・ディスコ
02.誰も知らない
03.Automatic Punk
04.Lolita
05.リリー・アン
06.レモンツリー
07.Zombie
08.シネマ・シネマ・シネマ
09.We are
10.ベルエポックマン
11.フォークソングライン(ピーターパンと敗残兵)
12.トートロジー
13.ゴッホ
14.バンド・デシネ

Encore
En1.メロディ
En2.Ghost
En3.ヒッピーズ

W Encore
En4.1954
En5.Trash

Interview

Live Report

Blog

ページの先頭へ

ホーム | プレスリリース | プライバシーポリシー | 広告に関しまして | お問い合わせ

  • facebook
  • ツイッター