twitter twitter
クリープハイプ「八枚目でやっと!九枚目でもっと!」

クリープハイプ「八枚目でやっと!九枚目でもっと!」

crp9181.jpg「今日はライヴレポートが入っていて、ライヴハウスで演っているバンドがホールツアーをした時に、“ライブハウスで主に活動しているバンドがホールでやって前半は客席に緊張が見られ固かったが、徐々に尾崎のボルテージとともに…”。そんなありきたりなことを書かせたくないんですよ!」
3曲目“愛の標識”の後、 尾崎世界観(Vo,Gt.)のMCは我々ライター陣を苦笑させ、オーディエンスを盛り上げた。

8月9日(土)からスタートした、クリープハイプ初の全国ホールツアー【八枚目でやっと!九枚目でもっと!】。
14箇所16公演開催のツアーが9月18日(木) 、ここNHKホールでツアーファイナルを迎えたわけだが、正直言えば確かに少しの違和感を感じていた。
しかしそれは盛り上がっているかどうかではない。
多分、椅子席によるオーディエンス同士の距離感なのだ。
だが実は、2曲目の“愛は”で、すでにそんなことも気にならなくなり、私自身「あぁ、やッぱりクリープハイプいいわぁ!」と、1ファンと化していた。

冒頭、ホールツアーについてのインタビュー映像で真剣にふざけているメンバーにも笑えるし、「今迄観たことない最高のライヴをするから、今迄誰にも見せたことのない最高な顔を見せて下さい。」という尾崎のMCにもグッときた。

“ウワノソラ”、尾崎が「こいよ!」と言わんばかりの挑発的な手招きでギターを頭上高く掲げれば、続く “社会の窓” では長谷川カオナシ(Ba.)がクラップで煽り、小川幸慈(Gt.)のギターは自由に飛び回る尾崎のハイトーンヴォイスの軸を掴みながら響く。
熱量を上げた会場を観ながら尾崎が「いいね、最高です。もっといけますか?」と言うと、会場は声を合わせて「最高です♪」と歌う。

「嫌じゃない傷というのがあると思って。」尾崎は実家で飼っている犬につけられた傷について話を始めた。
もう消えてしまったその傷は何年も跡になっていたが、それを「何かいいなと思って。風呂入る時とかに観たりしていて。」と愛おしそうな口調で話すと「頑張って曲を作っていくので、そういう傷をつけれたらなと。耳の穴の中につけれたらなと思っています。」と続け、“傷つける”での尾崎のアコギは少しセンチメンタルな音色を奏でていた。

そして小泉 拓(Dr.)のドラムは楽曲のタイプを選ばず、いつもどこかクールに響いている。
しかし誤解して欲しくないのは、だからと言って小泉がパワープレイヤーでないとか、リズムの緩急がないという訳ではない。もっと俯瞰した位置から長谷川のベース、 小川のギター、そして尾崎の歌声を捉えているということなのだ。
だからいつも楽曲の世界を、感性を震わせるどこかに運んでくれる。

曲が終わり、次のMCで尾崎はNHKホール1日目の夜にマッサージを受けたエピソードに。
「音楽をやってるって、ライヴハウスとかで?」と訊かれたことに少々カチンと来た尾崎は「NHKホールです!」と言ったらしく、そのどや口調に会場からも笑いがこぼれた。
「マッサージの知らないおっさんに(バンド名を)言うのは恥ずかしいけど、今日は自信を持って言えます。改めまして、クリープハイプです。宜しくお願いします!」
その言葉に火がついたように歓声があがると、“イノチミジカシコイセヨオトメ”へ。
更に“ホテルのベッドに飛び込んだらもう一瞬で朝だ”ではスクリーンにハチ公やNHKホール、メンバーやステージ裏、オープンした会場の様子やツアータオルを掲げ集合写真を撮るファンなどが映し出された。

7月にリリースした“エロ”の演奏前、「この曲をやる前に、全国各地で恥ずかしいエロいエピソードを話して来たんですけど、もう限界まで来ていて…。」
身を削るような(?)尾崎のエロエピソードがツアーファイナルのこの日、恐るべき小学生レベルの言葉で終幕を迎え、会場も大爆笑に。
しかし“エロ”は、そんな尾崎の発言とは裏腹に、胸を締め付けるようなサビの多幸感がオーディエンスをアツくした。

“ラブホテル”ではミラーボールがキラキラと会場、そしてステージ背後のスクリーンに光の粒を泳がせ、「男と女、オスとメスというふうに生物は分かれると思うんですよ。でも愛…あ、失礼。LOVEで繋がってる以上共通の話題があって。」と、 長谷川はあえてオープニング映像のコメントと同じ話をし、「僕よりみなさんのほうがご存知だと思うので、大盛り上がりでそれを教えてください。」と“HE IS MINE”へ。
ここでは言わずもがな「SEXしよう!」と盛り上がりのコール&レスポンス。
本編ラストは背景に “二十九、三十” のMVを流しながら同曲で終了。

メンバーが退場すると、楽曲の背後で流れていた“二十九、三十”MVの主人公、岡島裕介が突然カメラ目線で「今日はホールツアーありがとうございます。僕が言うのもアレなんですけど、メンバー緊張してたと思うので、来ていただいて嬉しかったです。」と挨拶。
更に今度は女子高生4人がステージに乱入!
これはすでに音楽ニュースでも報じられたが『自分の事ばかりで情けなくなるよ』に続く松居大悟監督×クリープハイプのコラボレーション映画『私たちのハァハァ』の撮影であることがわかった。

「アンコールありがとう。色々なことがあるけど、今の4人と皆さんに捧げます。」尾崎はそう挨拶すると、“左耳”へ。
全ての音が寸分違わずポイントで心地よいイントロを刻み、クラップが広がる。
ここで退場したメンバーがWアンコールを受け、今度は走って下手から上手へダッシュで退場。
こんなふざけたことをしながらも、11月5日(水)に、ニューシングル『百八円の恋』を発売する事をサプライズ発表。
この楽曲は話題の新春映画『百円の恋』の主題歌となっている。
更に、このニューシングルの初回限定盤DVD特典映像として「くそバレー2014」を収録することや、来年1月から約5ヶ月間に及ぶツアーなど、怒涛の発表にオーディエンスも大興奮。

今年は活動の制限など色々あったクリープハイプだが、ライヴ最後の“オレンジ”では「いっぱい巻き返していくので、ついてきてください!」と挨拶。
クリープハイプの決意表明とも取れる発言を大歓声が包み込み、クリープハイプ全国ツアー【八枚目でやっと!九枚目でもっと!】の幕は閉じた。



TEXT:秋山昌未

フォトギャラリー

セットリスト

M01.寝癖
M02.愛は
M03.愛の標識
M04.新曲
M05.週刊誌
M06.ウワノソラ
M07.社会の窓
M08.グレーマンのせいにする
M09.ベランダの外
M10.傷つける
M11.イノチミジカシコイセヨオトメ
M12.手と手
M13.ホテルのベッドに飛び込んだらもう一瞬で朝だ
M14.憂、燦々
M15.エロ
M16.おやすみ泣き声、さよなら歌姫
M17.ラブホテル
M18.かえるの唄
M19.HE IS MINE
M20.バブル、弾ける
M21.二十九、三十

<ENCORE>
EN1.左耳
EN2.オレンジ

Interview

Live Report

Blog

ページの先頭へ

ホーム | プレスリリース | プライバシーポリシー | 広告に関しまして | お問い合わせ

  • facebook
  • ツイッター