高橋優 LIVE TOUR 2014-2015「今、そこにある明滅と群生」
去年8月にアルバム『今、そこにある明滅と群生』をリリースし、同年10月よりホールツアー【高橋優LIVE TOUR 2014-2015「今、そこにある明滅と群生」】をスタート。全26公演にも及ぶ自身最大規模となる今ツアーが今年3月28日(土)に、高橋の地元秋田でファイナルを迎えた。
そこから遡ること1ヶ月以上前の2月11日(水・祝)の東京・NHKホールはツアー19本目。
「渋谷の皆さんの声を聴かせてくれよ!」1曲目の“裸の王国”からオーディエンスを煽ると、彼らのアグレッシブな掛け声とクラップは“蝉”、“(Where’s)THE SILENT MAJORITY?”へとボルテージを上げ続ける。とにかく高橋のライヴは曲が終わった後の声援も含め盛り上がりが凄い!
「今日はここNHKホールに集まってくださった皆さんとビカビカに照らしあいたいです!」タイトルにもある“明滅”とは、星空などの光が不規則に光ること、そして“群生”とは生きとし生けるもののこと。ここ最近の高橋の楽曲テーマであり今アルバムのテーマでもある<あえて光を探すのではなく、自らが照らせる闇を探すこと>は、みんなと光りあいたいという挨拶へと繋がれた。
1曲1曲に全身全霊を注ぎ込む高橋と、どれだけ彼の歌と彼自身が好きかを歓声やクラップで表現するオーディエンスはまさに自ら光りを放ち、その光でお互いを更に光らせ合う。“WC”で明滅するライトや、“犬”で響く切なくバイオリンも歌詞とメロディの狭間にある<イメージ>を具現化しながら光を放つ。
MCでは高橋に起こった小さなトラブルと奇跡の話に。福岡公演の日、羽田空港までの道のりが渋滞で搭乗予定の飛行機に間に合わなかった高橋。タイミングが悪いことにその日の福岡便はどれも満席のキャンセル待ち。このままでは間に合わないと思った高橋はステージ衣装に着替え髪もセットし、何なら空港から直行でステージに!とまで考えていたらしいが、空港で偶然会ったNHKのプロデューサーI氏が自分のチケットと交換してくれたことで福岡公演に無事間に合ったと言う。確かに奇跡だ!みんなも笑ったり驚いたり拍手をしたりしながらこの話に盛り上がり、この日はそのプロデューサーの方も来ていたことで尚更高橋も「その感謝の気持ちも込めて、このNHKホールでは精一杯やりたい!」と力説。「ドラマチックじゃないとしても 世界でたった一つのストーリー」と歌う“同じ日々の繰り返し”は、心温まる前段のMCを思い起こさせ、更に気持ちが暖かくなった。
「スタッフや家族、友だちと話している時、“この人と一緒に居れて幸せ”と思うことは多いけれど、言葉でいえないことが多い。それどころか想いとは裏腹な言葉が出てくる。」そんな不器用な高橋の本音を表すように“ヤキモチ”のピアノは切なげに響き、高橋の歌声は愚直なまでに真っすぐオーディエンスに訴えかける。WOWOW連続ドラマW東野圭吾 「変身」の主題歌にもなった“おやすみ”は、高橋が友だちとのLINEのやりとりをそのまま歌詞にした楽曲。ステージ背後の星空と、友に向けた優しい言葉がオーディエンスの心にゆっくりと沁み込んでいくのを感じた。
ライヴも中盤を過ぎ、ここからはボルテージを上げる!虹色に光る「明滅群生」の文字と、“パイオニア”で会場も揺れるオーディエンスのリズム。“頭ん中そればっかり”はやはりイントロから大歓声。ギター相手のヤラしいアクションだってこの曲ならでは。ジリジリとした熱さえも感じる“太陽と花”、クラップが高橋のギターの音までかき消す “こどものうた”、ライヴでは高橋の代名詞にもなりつつある“泣ぐ子はいねが”など、高橋もオーディエンスも留まることなくヒートアップ!
「渋谷のみんなの光、そして暖かさを感じることが出来ました!今日より明日、明日より明後日が良くなりますようにという想いを込めた曲です。」そう感謝の言葉を述べると、“明日への星”で本編終了。
「今日初めての曲をやっても良いですか?」
アンコールで再び登場した高橋は、昨年12月に全国ロードショーとなった横浜DeNAベイスターズ公式ドキュメンタリー「ダグアウトの向こう –今を生きるということ。」の主題歌“未だ見ぬ星座”を披露。高橋もこの作品を通じて、ひとつのことに向かっている人や失敗や挫折、泣きながらも頑張る人の姿に何度も泣きそうになったらしく「頑張っている人へエールを贈る曲になれたら。」と曲への想いを語った。小細工なしの高橋らしいストレートなナンバーが胸を打つ。
「渋谷のみんな、本当にどうもありがとうございました!もう少しでツアーファイナルだけど、また1日も早く皆さんと会って一緒に歌ったり騒いだり笑える時間を想像しながら、もう1曲歌ってもいいですか!」そう言うと、最後は“同じ空の下”の大合唱。NHKホールでの【高橋優LIVE TOUR 2014-2015「今、そこにある明滅と群生」】は会場一杯に降り注いだ高橋への賞賛の拍手と歓声で幕を閉じた。
※写真は秋田公演のものです。
text by 秋山昌未
M01. 裸の王国
M02. 蝉
M03.(Where’s)THE SILENT MAJORITY?
M04. BE RIGHT
M05. WC
M06. 犬
M07. 旅人
M08. 同じ日々の繰り返し
M09. 以心伝心
M10. あなたとだから歩める道
M11. ヤキモチ
M12. おやすみ
M13. パイオニア
M14. 頭ん中そればっかり
M15. 太陽と花
M16. こどものうた
M17. 泣ぐ子はいねが
M18. 明日への星
Encore
En1. 未だ見ぬ星座
En2. 現実という名の怪物と戦う者たち
En3. 同じ空の下