twitter twitter
スキマスイッチ TOUR2015

スキマスイッチ TOUR2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL 日本武道館

sukima_budoukan_en2.jpg初のセルフタイトル・アルバムを携え、今年1月よりスタートした全国ツアー【スキマスイッチ TOUR 2015 “SUKIMASWITCH”】(以下:本公演)は約10万人を動員し、全32公演全てのチケットが即日ソールドアウト。それを受け、6月30日(火)・7月1日(水)日本武道館、7月6日(月)大阪城ホールにて【スキマスイッチ TOUR2015 “SUKIMASWITCH” SPECIAL】と題した追加公演が開催された。武道館公演の2日目の7月1日(水)。昼間の雨は止み、緑のにおいが武道館を囲った。

オーディエンスのクラップで“Ah Yeah!!”からライヴスタート。ステージ背後と左右のスクリーンに映し出された大橋卓弥と常田真太郎の笑顔に大きな歓声が沸き、サビではツアータオルが宙を舞う。ライヴでオーディエンスが盛り上がるのは勿論だが、続く“トラベラーズ・ハイ”で私の横にいるカメラマンの足も軽快なリズムを取っている。“夏のコスモナウト”では窓枠の外にダイナミックな大輪の花火が夏を彩っていた。

「スキマスイッチです。ありがとー!!いきなりすごいテンションだね。もう16曲くらい演ったんじゃない?」大橋の言葉に笑いが起こるも、4曲終了後のMCで大橋が発した「ありがとう」に対して常田も「長いツアーの最後に言う“ありがとう”だった。」と笑顔を見せる。それ位、本人たちをはじめ会場全体のテンションは上がっていた。本当に楽しみにしていた追加公演のせいか(?)大橋は本番直前に鼻血を出したらしく、みんなを驚かせるも、この日の二人の笑顔は実に印象的だった。“アイスクリーム シンドローム”での大橋のアコギは、彼らがよく言う「アットホーム」なムードを醸している。

茜色のステージライトに、スネアをなぞるブラシの音、 優しい口調で歌う“願い言”。「君がここにいてくれさえすれば ただそれだけでいいんだよ」好きな人が近くにいる。それは当たり前のようであり実は大きな軌跡だと思う。後半にいくに従い力強さを増すこのラブソングを、オーディエンスは心の奥底まで吸い込むように聴き入っていた。事実、曲が終わると深く呼吸をするように大きな拍手と歓声で会場はいっぱいになった。“僕と傘と日曜日”、傘を弾く雨粒や体についた雨を振り払う犬など、雨の風景たちが映し出される。電子音を用いたメロディは切ない歌詞の筈なのに、サビで光を放つような広がりを見せる。まるで涙がこぼれる瞬間のような解放感を持ちながら。

49年前の6月30日と7月1日(厳密には7月2日も)、この日本武道館でザ・ビートルズが来日公演を果たしている。それに対し大橋が「49年前の今日っていうのが僕たちらしいよね。50年なら綺麗なんだけど、綺麗にいかないのがスキマスイッチらしい(笑)。」と、どこか一筋縄ではいかない自分たちを象徴するかのように笑う。更に大橋が通う鍼灸院でのエピソードはスキマスイッチのライヴらしい、気負いのない(気負いがなさすぎるとも言えるが。笑)MCですっかり会場も和んでいた。可愛らしいアニメーション映像とフルートが優しい“life×life×life”は、MCで和んだムードそのまま、オーディエンスを笑顔に包んだ。先にも二人の笑顔が印象的だったと語ったが、ただ楽しんでいるだけでなく、遊び心も備えていた。例えば“蝶々ノコナ”。バンドメンバーの名前が書かれた棒を大橋が引き当て、その場でメンバーのソロパート順番を決める。これにはメンバーは勿論、常田もヒヤヒヤだが、そこはやはりプロフェッショナル!最高のプレイを展開して盛り上げる。プレイする側が楽しめば、それは出音として必ずオーディエンスへも伝わる。更にジェームス・テイラーを彷彿とさせるミディアムなギターサウンドの“ムーンライトで行こう”はロックアレンジが施され、アウトロで大橋は目をつぶり、メンバーや常田のピアノ、自分のギターと全ての音の中に入り込み、自らも音の一部と化しているようだった。

ライヴも後半、“ゲノム”でのレーザー光線は激しく瞬き、A、Bメロとサビの緩急にボルテージを上げたオーディエンスの歓声は“パラボラヴァ”で新たな歓声と変わる。「まだまだ元気残っていますか?武道館!」大橋の声と軽快なサウンド。もし音楽に譜面以外で形があるとすれば、それはここでクラップしているオーディエンスの揺れる手と笑顔だろう。“ガラナ”での大橋のロングトーンやシャウトは、導火線に火をつけるようににオーディエンスのボルテージを爆発させ、ホーンも常田の鍵盤も応戦、最後はドラムの村石が水をかぶり、スティックを折るドラムパフォーマンスで熱狂の渦に巻き込んだ。大橋が信頼しているのは常田やバンドメンバーだけではない。“ユリーカ”ではオーディエンスのコーラスに身を委ね、完全に信頼しているのが分かる。

「本当にありがとう!追加公演をやれて本当に嬉しいです!」心の声がそのまま口をついて出た感謝の言葉。2003年にメジャーデビューし、7月9日を過ぎれば13年目を迎えるスキマスイッチ。これまで等身大の音楽を奏でることをモットーとしてきた彼らが、今だからこそ書け、歌えるという“星のうつわ”。美しいメロディと満天の星空が武道館の天井に降り注ぎ、本編は終了。

「こうやって追加公演を出来るのが本当に嬉しいし、何か…ツアーのことも思い出すしね。」少し苦笑いしながら言う大橋に「色々あったから(笑)」と常田も笑うが、拍手の大きさに「本当に皆さんに支えられているって痛感いたします。」と感謝。 “ムーンライトで行こう”がそうだったように、彼らのライヴの醍醐味はアレンジにある。大橋も「もしかしたらCD通りが聴きたかった!っていう人もいるかもしれないけど、ライヴはやっぱり生ものだし、その場にいる人たちだけしか感じられない空間でもあるし。だからその時しか楽しめないようなことを考えられないかなと思って色々作っています。」と語る。

そしてアンコールの1曲目は、前日の公演以外では一度しか歌ったことのないという “1017小節のラブソング”。「非常にマニアックな曲です。知っている方は非常にコアなお客さんです。僕らの隅々までを見ている、いやらしー人たちです(笑)。」笑いながら大橋が冗談めかしにそう言うと、常田もピアノをガーンと鳴らし爆笑へ。しかしこの“1017小節のラブソング”は、先に常田が歌詞を書いた二人としても新たな試みの歌。結婚する友人へ書いた優しい楽曲の後は、“全力少年”で恒例のシンガロングへ。(回を増す毎に難易度が高くなっている気がするが。)

常田をスポットライトが照らす。熱気が静かに溶けていくのを待つかのような「間」の後、“SF”のループする音階。シンプルなAメロ、Bメロ、激しく上昇するサビとアウトロ、武道館は音楽への愛情と高いクオリティに包まれていた。鳴り止まぬ拍手と歓声の中、バンドメンバーが退場。大橋と常田もオーディエンスに挨拶をするも「もう一曲歌っても良いですか?」の一言に、再び激しい拍手と歓声。「追加公演でこんなにみんなと盛り上がれて、何よりみんなにこんなに来てもらえて本当に本当に嬉しいです。本当にどうもありがとう!」演奏しているのは自分たちだけど、それ以上にみんなからのパワーを貰っていると大橋は言う。「聴いて楽しむというのもあるけれど、体感しているという感じがします。これからも一緒に音楽を楽しんでいきましょう!音楽って素晴らしい!」 多分油断すると、大橋も常田も涙してしまうかもしれない。そんな印象を受ける挨拶に、こちらも胸が熱くなった。そして最後はスキマスイッチ二人だけで“奏(かなで)”を熱唱。【スキマスイッチ TOUR2015 “SUKIMASWITCH” SPECIAL】武道館公演の幕は閉じた。


Dr・村石雅行 / B・種子田健 / G・石成正人 / Key・浦清英 / Per・松本智也 / Sax・本間将人 / Tp・田中充

text by:秋山昌未

 

フォトギャラリー

セットリスト


01. Ah Yeah!!
02. トラベラーズ・ハイ
03. 夏のコスモナウト
04. 双星プロローグ
05. アイスクリーム シンドローム
06. 思い出クロール
07. 願い言
08. 僕と傘と日曜日
09. life×life×life
10. 蝶々ノコナ
11. ムーンライトで行こう
12. ゴールデンタイムラバー
13. ゲノム
14. パラボラヴァ
15. ガラナ
16. ユリーカ
17. 星のうつわ

Encore
En1. 1017小節のラブソング
En2. 全力少年
En3. SF
En4. 奏(かなで)
 

Interview

Live Report

Blog

ページの先頭へ

ホーム | プレスリリース | プライバシーポリシー | 広告に関しまして | お問い合わせ

  • facebook
  • ツイッター