毛皮のマリーズ 志磨遼平 インタビュー Page1


前作『ティン・パン・アレイ』のツアー後、彼らはメディアからの露出を遠ざけるように制作に没頭していた。そして完成したアルバムには多くの謎が隠されている。『毛皮のマリーズのハロー!ロンドン(仮)』という仮タイトルもジャケット写真もリリースまで発表されないという。彼らは何を目論んでいるのだろうか? 影響を受けた音楽へのオマージュは変わらぬが、より悲しくより美しさに包まれた今作とその謎、そしてロンドン、アビーロードスタジオでのレコーディングについて、志磨遼平に話を聞いた。


ー 今年は夏フェスキングですね。

そうなんですよ。フェスキング!嬉しい〜。真っ昼間の野外とか似合いませんですけどね(笑)…にもかかわらず、ありがたいことですね。目出たい!!


ー ライヴハウスでやっている通常のライヴとは違いますか?

お昼は違いますね。ライヴハウスはお客さんがあんなにハッキリ見えることがないので。ステージから見る客席って、ぼやんとした感じだったりするんですが、後ろまでうわーって見えて、なおかつこちらの姿もはっきり見えてるというのは若干気恥ずかしい感じがしますけど(笑)


ー お客さんのテンションも違いますしね。

しょっぱなから揚がっていますからね。僕らのお客さんは意外とライヴでも、静かに聴いてたりするんだけど、フェスの場合若い子がワーッ!って騒いでる感じが見ていて可愛らしく思います。あと夜になると、また風景も違っていいです。野外って、ライヴハウスの屋根をとっぱらった感じなので、その開放感と遠く迄音が広がる感じがいいです。最初は戸惑いましたけど、もう今は慣れてきました。


ー 今回のメジャー3rdアルバムですが、タイトルに “(仮)” とついているのですが。

そうですね。むふふふふ。これは嘘タイトルです。だから本当のタイトルはまた別にあります。


ー 今回、謎が多いですよね。ジャケも発売当日までわからないし。

歌詞もですね。


ー そう! だから今回資料の情報は「Heart Of Gold」以外わからなかったですもん。

そうそう。いつも必要以上に自分で全曲解説とかしているのに、今回は何もないから資料が1/10位(笑)


ー 何故今回はそういう風にしようかと思ったんですか?

今回はいつもながらにコンセプトアルバムなんですけど、みんなにじわじわと伝えるというよりかは即効性が欲しかったんです。だからレコーディング中もずっと籠ってやっていましたけど…あぁ、そうか。前はラジオ番組をやっていたりしたので、いつもお客さんと接点があったんですよね。でも今回は本当に籠ってやっていたので、お客さんからするとすごく情報が少ないかもしれません。
ジャケットもタイトルも全部含めた1つの作品として、とてもバランスのよい作品なので、「ジャケットできました、はい」って先出して「タイトルはこいです、はい」って全部バラバラに出すというより、それらを音楽付きでいっぺんに出したかったんです。だから今回のコンセプトはそれがキーワードです。


ー あと、毛皮のマリーズのサイトに出現した謎の数字も気になります。

あれも同じコンセプトですね。今回はそういうのが沢山あります(笑)


ー では、その全部が発売日に分かるという仕掛けになっているんですね?

そうです。発売日に全部分かります。みんな分け隔てなく。だから僕らのお客さんも、媒体さんも同じです。


ー でも、その「分け隔てなく」というのは面白いです。我々媒体も普通にみんなと音楽で繋がっている感じがして。

うん!勿論ジャケットだけ先に見て中身を想像するというのも大いにありますけど、揃えて伝えたかったです。


ー まぁ、そうはいいつつも音楽だけは先に聴かせていただきましたが、前作「ティン・パン・アレイ」 と比べて、音の細かい取り入れ方やビートルズへの愛情は変わっていないんだけど、 更に美しさと悲しみに似た愛が増した気がします。

今回のテーマのひとつとしては、悲しみのようなものを歌いたいというところがありました。前作の「ティン・パン・アレイ」が僕は未だにものすごく気に入っているんですが、あれが強く燦然と輝く眩しい光のようなものであれば、もっとささやかで深く可憐な輝きと美しさというものがこの作品にはあります。永遠に輝くというより果無い灯火のようなイメージです。


ー 今回、ロンドンレコーディングでしたが、その空気感は閉じ込められました?

はい。僕、このアルバムの中の ”JUBILEE” という曲が大好きなんです。ロンドンの感じがうまく曲になりましたね。まぁレコーディングがロンドンで、曲が出来たのは日本ですけど。でもロンドンの空気感がすごく漂っているんです。だからこの曲を聴くたびに「あぁ、いいな。ロンドン懐かしいなぁ。」なんて思うんです。


ー 歌詞は出発前夜に書き上げたんですよね。

はい。


ー 曲自体はいつ出来たんですか?

まだ歌詞がない元曲状態でしたが、メジャー1stアルバムを選曲する時にはもうありました。それで「ティン・パン・アレイ」の時に収録しようと思ったんですが、あのアルバムのラスト曲「弦楽四重奏曲第9番ホ長調 “東京”」(以下 “東京” )と “JUBILEE” の元ネタが競っていて結果 “東京” になったんです。もの凄く奥深くにある悲しみのようなものが、このアルバムの中で到達出来ていたらいいと思っていて、もしかしたらこの曲はそれが出来たのかもしれないし、アルバムのおへそというかシンボルになったと思います。その、悲しみの一番深い果てから見える次の景色のようなものが”JUBILEE” というものに転化していて、もしかしたらこのアルバムの答えかもしれないと思うと、この曲にどんどん思い入れが募っていって、結果曲単体で考えても、すごくいい仕上りになりました。


ー 今回録音したアビーロードスタジオの最寄り駅がセント・ジョンズウッド駅で、それがジュビリー線なんですよね。

そうそう! アビーロードスタジオに向かう時に「みてみて、ジュビリー線やって!」ってみんなで盛り上がりました。最終日、出来たらライヴやりたいねという話になって、飛び込みでパブでライヴやったですよ。それでそのパブがあった通りも “ジュビリーストリート” だったんです。


ー もともとジュビリー線ということを知っていて、そこからつけたのかと思いました。

もの凄く正確に言うと、実はDo Dailyなんです(笑)歌作るときにはいつも「ドゥドゥ〜♪」ってハナモゲラで作るので、その「ドゥディリ〜♪」と歌っていた部分が何となく「ジュビリ〜♪」に聴こえるなと(笑)。いつもそうやってとっかかりを見つけるんです。例えば昔の曲を思いだそうとする時、記憶の中で「ほら、あの曲なんやっけ?」って言いながらサビの1ワードは出てくるんだけど、後が出てこないみたいなことってあるでしょ。あれなんですよ。ジュビリーという言葉だけは出てきていて、それ以外の部分を思いだすように「…忘れないでいて♪」って言葉を引き出して書くんです。


 

アーティスト情報

毛皮のマリーズ 志磨遼平 インタビュー Page1
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毛皮のマリーズ TOUR 2011 "Who Killed Marie?"

■ 2011年10月8日(土)

水戸 LIGHTHOUSE

■ 2011年10月10日(月・祝)

HEAVEN'S ROCK 宇都宮

■ 2011年10月11日(火)

盛岡 Change WAVE

■ 2011年10月13日(木)

札幌 PENNY LANE 24

■ 2011年10月15日(土)

仙台 Rensa

■ 2011年10月22日(土)

名古屋 ボトムライン

■ 2011年10月23日(日)

長野 JUNK BOX

■ 2011年10月27日(木)

金沢 van van V4

■ 2011年10月28日(金)

新潟 LOTS

■ 2011年11月2日(水)

高崎 FLEEZ

■ 2011年11月5日(土)

高松 DIME

■ 2011年11月6日(日)

広島 CLUB QUATTRO

■ 2011年11月8日(火)

高知 X-pt.

■ 2011年11月9日(水)

岡山 IMAGE

■ 2011年11月11日(金)

福岡 DRUM Be-1

■ 2011年11月12日(土)

熊本 DRUM Be-9 V1

■ 2011年11月18日(金)

浜松 窓枠

■ 2011年11月20日(日)

大阪 なんばHatch

■ 2011年12月5日(月)

日本武道館

■ Link

毛皮のマリーズ 公式HP:http://www.kegawanomaries.jp/home.html

日本コロムビア 毛皮のマリーズ特設サイト:http://columbia.jp/kegawanomaries/