ー 不安を抱えながらも力強く進もうとする姿勢が描かれていますが、新しい世界への挑戦の不安は山口さんの心情も映し出していますか？

山口：こういう仕事をしているとどうしてもふとした瞬間、不安になる時があるんですが、それでもやはり前を向いていくしかないと思うんです。それとメガネのタナカさんがちょうど100周年を迎えて101年目の新しいスタートをきるので、リスタートという意味も込めて作って欲しいというテーマをいただきましたので、前を向いていくことに重きを置いて歌詞を作りました。


ー 歌詞に『己の「ブキ」を ちゃんと光るまで磨くんだ』とありますが、それぞれご自身が持っている自分の「ブキ」は何だと思いますか？

辻本：バンドとしてはやはり音楽がブキですけど。

花沢：個々としてはなんだろう。ポジティブさかな。


ー それはかなり大きなブキですよね。

花沢：そうですね。あまり嫌なことは引きずらないです。


ー 山口さんは？

山口：音楽面でいえば当然ドラムや作詞がブキなので、そこは死ぬ迄磨き続けていく部分だと思うんですが、パーソナルな部分というと…。

花沢：やっぱりアレじゃない？

山口：ん？

花沢：指パッチン（笑）。


ー え？指パッチンですか？

辻本：世界一やな。

山口：（指パッチンをする）


ー ほんとにスゴい!ちょっとなめてました（笑）。

山口：（両手で指パッチンを連続披露）

花沢：最近さらに磨きがかかってきたよな。

山口：いつか独演会をしようと思います（笑）。…って、大丈夫ですか？こんなんで。


ー 大丈夫です（笑）。辻本さんは？

辻本：僕はわりとどんな時でも笑っていられるというのがブキだと思います。苦しい時でも。

花沢：それはポジティブやな。僕と一緒やんか（笑）。

辻本：そうそう。すごく嬉しい時には当然素直に笑顔になりますが、苦しい時の笑顔は、その苦しみも楽しんでしまおうという気持ちです。


ー それこそ “シナリオのないライフ”ですね。

山口：『「ストレス」さえも「楽しみ」に変え』だな。

辻本：僕、今迄の人生の中でほとんどストレスを感じたことがないんです。何故かというと本当に人の笑顔が大好きで、笑顔でいれば周りにも笑顔がうつるっていうじゃないですか。逆にしかめっ面もうつってしまう。でも僕の母親がすごく笑顔が素敵な女性なので、そのお陰でうちの家族は明るくて良い家庭なんです。それは教育ではないんでしょうけど、僕も自然と笑顔でいようと思えるようになっています。


ー それはめちゃくちゃ良い話じゃないですか。

辻本：だからやっぱり笑顔がブキですね。やらしい笑顔も出来るんですけど（笑）。


ー じゃあ今度ライヴでやらしい笑顔をして下さい（笑）。

辻本：僕がいきなりやらしい笑顔したらみんなひくでしょ（笑）。…あ、じゃあ花沢に振ってもらって。

花沢：一切振りません!

＜一同爆笑＞


ー もう1曲のc/w、“おやすみ”は、4月にリリースした3rd アルバム『3.0』に “おやすみ（仮）”という曲が入っていましたが、その曲の完成版ということでよろしいでしょうか。

花沢：はい。『3.0』のツアー【TOUR 『3.1』】でこの曲をアップデートさせていったんです。


ー というと？

花沢：例えば最初の会場で1番までやって2つ目の会場では2番のAメロまで、次は2番のBメロまでやってという感じで少しずつアップデートして完成した曲なんです。


ー 面白い発想ですね。

花沢：なかなかないと思います。


ー『3.0』に収録の “おやすみ（仮）”へ話はさかのぼりますが、この曲が他の楽曲と音質が違うのはそういう意図があったからですか。

花沢：はい。本当にスタジオでのノリを残した感じにしています。


ー 歌詞もすごく暖かい世界観を持っているけど、ひとつひとつみると暖かいというよりは結構相手へのアツい想いが込められている気がしました。

山口：優しさや暖かい雰囲気の中にあえて情熱が隠れているというか。誰か好きな人とかに聴いてもらえれば、その想いを分かってもらえる歌詞になっていると思います。


ー ちなみにツアー中に楽曲制作をすることはよくあるんですか？

花沢：あります。やはりツアー中は色々なところでお客さんがエネルギーをくれるので、そのエネルギーを持ち帰って曲作りをします。


ー Chicago Poodleさんは曲を先に仕上げるということですが、山口さんと辻本さんのどちらに歌詞を書いてもらうかはどう決めているんですか？

花沢：最近は曲を渡した時にどちらが書くかお互いで選んでもらっています。

辻本：「この曲は自分が書きたい」って。最近は共作も結構あるね。

山口：そうなんです。共作するね。


ー 共作はどうやって仕上げるんですか？

辻本：方向性だけ最初に決めて、その後はお互いフレーズを出し合います。でも山口のフレーズ選びは僕では出来ないと思うところがあって。彼は昔から読書家ということもあり、印象的なフレーズを書いてくることが多いんです。今回の “シナリオのないライフ”は特にそうなんですが、どこのフレーズを拾っても良い。