ー 歌詞に「8月」という、具体的に戦争を連想させる言葉が入れ込んであったりもしたので、私小説ではないにせよリアルな物語を意識したのかと思っていました。

志磨：あ、本当だ。でもそれは何も考えてなかった（笑）。

菅：リリースが8月だということで。

志磨：それも考えてなかった。

＜一同爆笑＞


ー でも歌詞がすごく切なくいのに対してメロディは王道ポップですよね。

志磨：でしょ！鍵盤は中村圭作さんにお願いしました。


ー ベースラインもシャッフルっぽくてすごく自由度が高い印象を受けました。

山中：ああいうラインが好きなんです。ビル・エヴァンスに対するスコット・ラファロのベースとか。ビョークのJAZZアルバム（『Gling-Gló』 ）の中でのビョークとベースの関係とか。そういうのがすごく好きでどこかでやってみたかったんです。今回はそれをちょっとだけやれた気がします。


ー 今回のシングルはメロディやフレーズに志磨くんらしさをすごく感じたんだけど、c/wの“Zombie”は特にアレンジが今迄のドレスコーズの中でも異色さを感じました。

志磨：そうでしょ！僕はこの曲を世に広めたいんですよ。 “Zombie”はすごく好き!


ー ドラムの音が少しくぐもって聴こえたのは、何か加工をされているとか？

志磨：いや、元々の状態でそういう風に作って叩かれますよ、あの人は？

菅：僕ですか？

志磨：あなたしかいないでしょ（笑）

菅：そうでしたね（笑）。でもRecの時期が違ったということはあるかもしれません。厳密に言うとエンジニアさんも違いますし。ドラムで言えば、シンプルにキック、スネア、ハット、それとシンバルも1枚しか使っていません。逆に今回はそれ位シンプルなものに挑戦したくて。それが自分の中ではすごく面白かったです。


ー ギターは全て丸山さんが演奏を？

志磨：最初の変なのだけ僕です（笑）。

丸山：ビートルズの“Rubber Soul"やストーンズの"Paint It, Black"みたいな暗い感じがいいと思いました。音は煙みたいなサウンドにしたくて。狼煙（のろし）が上がっているような。


ー 狼煙？

丸山：実態がないような感じを目指していて、それが成功したと思っています。

山中：この曲は出来上がる迄に結構時間がかかったんです。


ー そうだったんですか。

山中：アレンジが紆余曲折あったんですが、何度もアレンジする中でベースラインだけ最初のものが残りました。だから仕上がった他の音と合わせた時に、元々はそういうつもりで弾いていなかったものが最後まで残っていたんだけど、結果それが逆に面白くなったなと思います。


ー 最初はどういうイメージだったんですか？

山中：もっと四つ打ち感があって、それに対するベースイメージでした。

志磨：最初色々試す前に治雄（山中）が弾いたベースラインが今のものにほぼ近い感じだったんです。それが最終的に辿り着きたいところにあったので「治雄ちょっと動かないで！」って（笑）。迷わないようにしたかったのでそれを目印にしました。でも結局散々迷いましたけど。


ー 聴きようによってはサビにGSっぽさがあったり全体的にニューウェイブっぽさがあったり。でも絶対的にロックが在る。そういう様々な音楽要素が入り交じっている不思議な曲ですよね。

志磨：「いつかこんな曲が作りたかった」という曲です、これは。だから実際にこんな曲が出来るなんて！って感動でした。


ー 冒頭の菅さんの入りも好きで何度もリピートしてしまいました。

菅：え、あそこですか！？

志磨：なんとマニアな人だ（笑）。

菅：今度あそこの部分だけ送ります（笑）。


ー 是非是非（笑）。間奏のギターフレーズも興味深いです。

丸山：あの部分はわりと早い段階で出来ていたんですが、本当はやめようかとも思ったんです。でもみんなが「あった方がいい。」と言ってくれたのでそのまま弾きました。


ー 最後にmFound読者のみなさんへ一言お願いします。

山中：僕、結構このシングル、気に入っているんです。曲もそうだし、この3曲でシングルという盤としてもかなり良いと思っているので、是非沢山の人に聴いてもらいたいです。

菅：賢明なmFoundの読者の方々!


ー 選挙みたい（笑）

メンバー：（笑）

菅：是非手に取り、耳を傾けて下さい。ロック好きであれば必ずや感性のどこかに触れることはあると思います。

丸山：全部言われちゃった…。


ー じゃあ誕生日を迎えた豊富でもいいですよ（笑）

丸山：豊富！？ ……特にないな（笑）。でもこのシングルは僕も好きです。音も良いし全体の流れも良いと思うので買ってくださぃ…。

菅：声、ちっちゃ！！（笑）


ー では最後、志磨くんお願いします。

志磨：僕らは絶対的に素晴らしいものを作る義務があるので、中身は当然良いと思える自信があります。だから少しでも多くの人に知って欲しい。それを聴いてどう思うかとか、どうでもいいので、なるべく沢山の奴が知ればいい!と思います。


ー ありがとうございました。


取材・文／秋山昌未


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