ー 曲の話に戻りますが、先ほど、怒髪天の増子さんも気に入っていると言っていた「まあいっか」は私もすごく好きです!
大平:ほんとですか!ありがとうございます!
ー イントロなしで大平さんの歌声から始まって、ベースの上昇させる繰り返しのリフと、その後も続く疾走感が気持ちいいですよね。
佐藤:嬉しいです!
大平:この曲を書いたのは2年以上前なんですが、スランプで全然曲が書けない時期があったんです。その時に近所のいきつけのバーのマスターが「そんなに悩んでばっかりでも駄目だから、家にメシ食べに来いよ」って言ってくれて、マスターのご家族と食事させてもらったんです。それでその時マスターに「悩むこともあるかもしれないけど、お前は精一杯やってるんだし、そんな時だからこそ”まあいっか”って思える位じゃなきゃ駄目だよ」って言われて、ハッとしたんです。それでその場にあったギターで、それこそ一瞬で書き上げたと言ってもいい程、あっという間に出来た曲です。みんなそれぞれの生活の中で、自分に向き合って一生懸命頑張っている人は沢山いると思うんですけど、僕が「まあいっか」という言葉に助けられたように、 頑張っている人にこそ、この曲は聴いて欲しいです。
ー 確かに真面目な人ほど一生懸命であるがゆえに、思い悩んだりしてしまいがちですからね。よく、適当なことを”いい加減”って言うけど、あれは言い返せば “良い加減”だから。
大平:そうなんですよね。紙一重というか、トーンひとつで意味合いが変わってしまったり軽々しい言葉に感じてしまったりするので、その危なっかしい言葉をどうやったら素直に前向きな言葉として、聴いてくれてる人に受け取ってもらえるか挑戦した1曲です。
ー 3人は不安があったり期待が持てない日だったと思った時、「まあいっか」と思える方?
佐藤:僕はモロそれですね。寝たら忘れるんで(笑)。
ー そうなんだ(笑)
佐藤:どんな辛いことがあっても、寝たら忘れる! 自分のマインドをそういう方向へ持っていくようにしています。ポジティブシンキング!10年位前からそういう風にしようと思って、それこそ「まあいっか」という考えになりましたね。それからはあまり怒ることもなくなりましたし。
大平:僕も基本的にはこれかな。でも案外気分屋なんですよ(笑)。全くこう思えない時もあるかな。だから最近はそういう気分になってしまった時は、この曲を聴くようにしてます(笑)
ー いい! 中村さんは?
中村:僕はタイミングというよりも、内容によります。ことによっては、まあいっかじゃ済まされないこともいっぱいあって、そういう時は絶対譲れないですね。
ー なるほど。3曲目の「キミウタ」ですが、個人的にこのアルバムで一番好きです!
大平:ありがとうございます!嬉しい!
ー 最初の方でくぐもった感じでループしてるのは、ハイハット?
中村:あれはハットとスネアです。
ー あれが特徴的なうえに、この作品群の中では珍しい感じがしました。この曲だけ編曲が板垣祐介さんなんですね。
佐藤:そうなんです。この曲も実はシングルで出したいと考えていた曲でもあるんですが、今まで3人だけでやっていたので、この曲では違う人に編曲してもらうのも良いかもしれないと思い、お願いしました。実際板垣さんのアレンジで良い曲に仕上げてもらえたと思いますし、むしろ他の、僕たちだけでレコーディングした曲達のクオリティが、この「キミウタ」と並んで聴けるレベルになれていることが嬉しいです。まぁこれは僕のエンジニアの部分としての意見ですが。
大平:この曲に関しては、歌詞を何回も書き直しました。自分の中で納得いくまでやりたかったし、そういうトライをずっとやり続けていた1曲です。この曲はこのアルバムに入るべき曲ですね。この曲が入っていないと、なんだか全体のバランスが崩れるというか。中盤からのバラードという曲調の変化がありつつ、他の4曲とメッセージの共通性はある。この曲は自分自身、いちリスナーとしても、良い曲だなと思える1曲です。3人ともこの曲は入れよう!って意見がまとまって、そういう上でも更に気持ちが注入されています。
ー 映画とかのテーマ曲になりそうな位の力を持っていますよね。
佐藤:映画、もしくは月9ですね!
<一同爆笑>
ー「幸せのカタチ〜涙雨に架かる虹にのって〜」もそうだけど、やはりゴーストノートの曲は最後の部分で前を向いている世界観が多いですが、特に今回のアルバムはそういうゴーストノートそのものという部分が色濃く感じました。
大平:まさにそうです!今回5曲入りということは決まっていたんですが、曲は沢山あるし、その後も書き続けていたので、どの曲を入れようという話し合いをしました。それで出てきた答えは、5曲でゴーストノートの色々な表情を見せるというよりは、ゴーストノートが一番大切にしている、人と人との繋がりや聴いてくれた人の背中を押してあげられるという、代表的なゴーストノートの表情ひとつだけをちゃんと見せてあげる、ある種コンセプチュアルなアルバムにしようということで、逆に振り切ってこの5曲をチョイスしました。
ー なるほど。じゃあそういう意味では選曲にはあまり悩まなかった?
佐藤:ツアー移動中の車の中で15分位で決まりました!
ー はやっ!(笑)
大平:このアルバムがきっかけでライヴに足を運んでもらって、そこでまた新しいゴーストノートを見てもらえるその間口になってくれればいいと思ったんです。
ー 実際、このアルバムを聴いていてライヴの空気やにおいをリアルに感じました。
大平:ありがとうございます!「キミウタ」は別ですが、それ以外の曲はエンジニアさんも入れずに、シンちゃんをエンジニアとして3人だけでスタジオに入ってレコーディングしたので、とにかくあったかいもの、これを聴いたらゴーストノートのライヴが見える、ちゃんと血の通ったアルバムにしたいという想いが、録り始める前からすごくあったのでちゃんとそういう部分が音に込めれたのは良かったと思うし、そういってもらえると嬉しいです。
ー やはりオーディエンスというものを見据えた上の作品づくりというわけですね。
大平:はい、そうです。