ー では改めてアルバムのことを伺いたいのですが、アルバムの仕上がりを教えて下さい。

金廣：1stフルアルバムなので、今迄のミニアルバムとかでは出来なかったこと…ジャンルというか音の広げ方やリズムパターンなどを、今迄よりも広げられたと思います。

ペギ： 本当に幅広くやらせてもらえたことで、良いアルバムに仕上がったと思います。

たなしん：1stアルバムということもあるので、やはり沢山の人に届くといいなと思います。

渡邊： 二人の言葉通り、曲の幅を出せたことが一番大きかったです。1stアルバムということで曲の色も含め、良い作品が出来ました。


ー 楽曲も聴かせていただきましたが、素直にテンションがあがりました!!


金廣：お！嬉しいです。


ー 1曲目の「ファイティングポーズ」は、弱い自分を奮起させるような歌詞で、サウンドもアッパーですね。


金廣：僕はサウンドアレンジなど、音の面を全部終えてから歌詞を書き始める場合が多いのですが、この曲はメロディが浮かんできた時点で、Aメロの歌詞が少しずつ出来ていたので、そこに沿って自分の葛藤や痛みを掘り下げてみました。だからAメロ先行で書いた感じでした。


ー 楽曲はすべて金廣さんが作っているということですが、制作やレコーディングはどういう形でやっているんですか？

金廣：自宅で僕が全部録ってきます。100％完成の時もありますし、80%位の時もありますが、ほぼ自分の頭の中に出来ているものを作ってメンバーに渡します。ただ、ドラムに関しては自分の知識も少ないので、一度ペギに自由にプレイしてもらいます。それでそこから擦り合わせをして、ベースラインやギターのリズムを再度考えていきます。


ー 2月にシングルリリースもされている「キャッチアンドリリース」ですが、“手の中のディスプレイばっか見て 食事中、会話中然り　俺の親父が見たら拳骨です”という歌詞がユーモア溢れていますね。

金廣：うちの親父、リアルに超コワイです！喧嘩したら絶対負けます（笑）


ー そうなんだ（笑）。でも、ユーモアさがあると同時に現代のリアルさをどこか冷静に観ているセンスが面白いと思いました。メンバーは金廣さんの歌詞の世界観をどう観ていますか？

渡邊：僕はあまり歌詞を見ないんです。歌詞というのは作った人のものだと思っているので。ただ、彼のメロディと歌詞がぴったりハマった時とかは、すごく考えて作っているんだろうなと感じています。

ペギ：僕はいつも難しい言葉を教えてもらっています。


ー 確かに歌詞に使われる言葉に色々出てきますよね。例えば「ファイティングポーズ」では“池塘春草”という言葉だったり。

ペギ：そうなんですよ！僕は難しい言葉が得意ではない派なので…。

渡邊：知らないだけだろ（笑）。

金廣：そんな派閥あるんだ（笑）。

ペギ：色々な言葉が出て来て、その度に「そういう言い方があるんだ。」って勉強させてもらっています（笑）。読んで分からない言葉は調べたり。


ー そうなんですね。でも確かに言葉のチョイスをみていると、金廣さんは読書家なのかなと感じるのですが。

金廣：好きです。最近はあまり読めてないけど、読み出すと1日中ずっと読んじゃうんですよ。


ー だからこそ、色々な言葉が歌詞に鏤められているのかもしれませんね。たなしんさんはいかがですか？

たなしん：結構共感します。自分に打ち勝ちたいという気持ちの描き方とか。あと「キャッチアンドリリース」の歌詞みたく、僕自身も携帯のディスプレイを常に観ながら人と繋がっているか不安になってしまう方なので、すごく納得するというか。だから曲を聴いてくれている人達の中にも共感している人は多いんじゃないかな。


ー 確かに！歌詞を読んだ人はきっと「自分も!」と言ってそうですもん。

金廣：ありがとうございます！嬉しいです。


ー それに現代の現実をきっちり映し出している。

金廣：確かに僕はファンタジーではなく現実に目を向けた歌詞が多いと思います。自分自身、たまに物事にすごいハマり方をすることもあるけど、できるだけ「自分ならどうだろう。」と分析している部分はあるかもしれません。


ー ちなみに何にハマっていますか？

金廣：今はゲームとカレー作り、それにジビエ料理かな。


ー ジビエ料理ってすごいですね！まさか自分で作るとか？

金廣：さすがにジビエ料理は作れません!!食べる方です。ちょっと時期は過ぎちゃいましたけど。


ー「タイムスリップしたみたいに」はドラムがすごく際立っている曲で個人的にとても好きな楽曲です。

メンバー：ありがとうございます！


ー ドラムがボ・ディドリー・ビートから、超加速したビートに移行して展開していく感じとか。

ペギ：やっていること自体はシンプルなので奇抜なところはないのですが、リズムチェンジは多いですね。この曲は元曲が2年前位に出来ていて、インディーズの2nd mini album『ウォールペーパーミュージックじゃ踊りたくないぜ』候補曲としてスタジオ録りしていたのがあったんです。それを今回のタイミングで出したら反応が良かったので収録することにしたんです。


ー なるほど。

ペギ：ツー・スリーで始まって、バーンと変わるビートへ持っていき、サビで開ける。で、後半でまたツー・スリーに戻って最後は畳み掛ける!そういうテーマがあったんですが、これですぐOKをもらえました。



ー これは一発OKでしょう!!グッドモーニングアメリカのサウンドの魅力はメロディはあくまでもポップだけどリズム、ビートで変化をつけていく。「突破していこう」も中間で緩急をつけていますが、それが見事なグルーヴを生んでいますよね。

金廣：まず絶対にサビはドカンとしたいので、分かり易くサビへ持って行くことが大前提にありました。ドラムは他曲同様ペギに任せたのですが、スタジオで合わせた時に自分の実感として「ここはこうした方がいいんじゃない？」と思ったことを話し合いました。理論ではなく、感覚に近いかもしれません。