—— 秦さんも先ほど言われたようにリアルな言葉が多い気がします。この楽曲も今迄の作品より生々しい表現があったり、メロディに関しては、アコギが際立っていますね。
そうですね。手触りとしてはごつごつしたものというか、バンドサウンドの中でアコギの響きをどう聴かせるかという部分を色々考えたりはしたんですけど、曲のテーマは割と早い段階から決まっていました。詞はすごく自然に出て来たんですが、それを後はどう拡げていくかというところが大事でしたね。でも割りと最初の印象のまま出来た作品です。
—— 「猿みたいにキスをする」って、タイトルが面白いですね。個人的にはこのアルバムの中で一番好きな曲です。
ありがとうございます。
—— この作品では、かせきさいだぁ≡さんがラップでFeat.されていますね。
はい。これはアコースティックギターと、打ち込みの融合、つまり有機的なものと無機質なものが、どう混ざり合えば面白いかなって自分でも試してみたかった曲なんです。
言葉とメロディーの関係も、ラップまでいかなくても、いつもより言葉を詰め込んで、それを自分流のリズム感でどう表現できるかという、かなり実験的な部分から生まれてきているんです。
—— ラップという意味では色々なアーティストの方がいますが、何故、かせきさいだぁ≡さんにお願いしようと思ったのですか。
アルバム制作に入る少し前位から、意識的に色々な音楽を聴いたり本を読んだりしていたんですが、その中でも、かせきさいだぁ≡さんの言葉のチョイスや切り取り方が実に面白くて、この作品を作る上でのヒントにもなったんです。それでいっそのことご本人にも参加していただけないかと、駄目もとでお願いしたんですね。そしたら快く引き受けていただけて実現しました。
—— 更に、 spangle call lilli line (スパングルコールリリライン)の大坪加奈さんも参加していますね。
はい。これもメロディラインを1オクターブ上でユニゾンで歌うというイメージが当初からあったので、誰か女性でいい人がいないか考えていたところ大坪さんが思い浮かんで。
—— 声の質感が秦さんと似ていますよね。
そうかもしれませんね。空気感がある声なので曲にもすごく合っていると思います。
—— 「Halation」は、09年ABC夏の高校野球統一テーマ曲でしたね。やっぱりこの曲を聴くとあの夏の日差しと、甲子園を思い出します。
そんなふうに、当時の高校球児や応援していた人達にとっても、その年の夏を思い出す曲になってくれていたら嬉しいですね。
—— 8月11日に発売されたばかりの「透明だった世界」 こちらは、テレビ東京系アニメーション「NARUTO-疾風伝」オープニングテーマ(2010年4月〜9月)ですね。
はい。「NARUTO-疾風伝」用に書き下ろした楽曲だったんですが、シングル曲としてだけではなくアルバムの中で聴く事によって、僕が何故こういうサウンドにしたのかという部分もより分かってもらえると思うんです。音もかなりロックな感じになってますけど、激しいサウンドでアコギをどう生かすか、自分なりに表現できたと感じています。
—— 「今日もきっと」はフジテレビ系「めざにゅ〜」のテーマソングですが、どういう部分を意識されましたか?
この作品も番組の為の書き下ろしです。朝4時から6時くらいまで毎日放送されている番組なので、どういう感じが朝の始まりに合うかなと色々考えました。サウンド面ではカントリーテイストを意識していますが、打ち込みのグルーブと生のバンド感がうまく合わさった仕上がりになったと思います。
