ー あははは！でも理論だけで終わっていないから、あのグルーブがでると思うし、そういう意味ではあの音が出てくる3人の音楽的ルーツというのもすごく気になります。

ユコ：多分、共通して好きなのって、ビートルズ位じゃない？

ゲイリー：そうかもしれない。

ユコ：ビートルズって、メジャーになりすぎていて、それを好きというのは当たり前みたくなっていますが、勉強目線で見てもすごく面白いバンドですし、サウンドやアレンジの構成が本当に斬新なんですよね。そこにその音を持ってこようという発想はどこから生まれるんだろうっていうことがいっぱいあって、本当におもちゃ箱みたいなバンドだと思うんです。しかもそれをさらっとナチュラルにやってしまうところが凄い!

ゲイリー：いやらしくないんだよね。これを聴かせてやろう!!!っていう感じじゃないし。


ー そこがセンスなんでしょうね。

ゲイリー：そうだと思います。だから何回聴いても飽きないんです。『ホワイトアルバム』なんて、ずっと聴いていますもん。あと、僕たち、”アジアで一番おかしなライヴハウス”と言われる（笑） 大阪の難波にある「BEARS」っていうライブハウスに出ていたんですよ。

ユコ：あそこは本当にコアなハコで、そこで受けた印象は大きいかも。音楽観が本当に自由で、みんなの変態性が溢れていますよ。


ー 好きかも！

ユコ：表現ってこんなに自由でいいんだという気持ちや価値観は、あそこで生まれたかもしれません。

ゲイリー：あの時期の「BEARS」は特に良かったんだよ。関西ゼロ世代がバーッて出た時期で、東京でブイブイいわしてる関西のバンドマン達が「BEARS」では自由にやっている感じでしたね。とにかく得体のしれないエネルギーが溢れていました。


ー 中学、高校の頃は何を聴いていたんですか？

ゲイリー：クイーン、レッド・ツェッペリン、ビートルズは中学の頃に聴いて、高校の頃は片っ端から有名なものを聴いていました。ポリスとか。でも古いロックが好きかな。でもレッチリ（レッド・ホット・チリ・ペッパーズ）やレイジ・アゲンスト・ザ・マシーンも好きでした。


ー 案外、もっとマニアックでディープなものが好きなのかと思っていました。

ユコ：メンバー全員、全然オタク気質じゃないんですよ。だからマニアックなものを探すことに喜びを感じるタイプではないです。私も中・高校はスピッツばかり聴いていて、洋楽で唯一持っていたのはモータウンのベストでしたし。あと古い洋画のサントラとかは聴いていましたね。だから綺麗なメロディ観というのは、そういうサントラの影響もあるかもしれません。

マルガリータ：僕は大体J-POPでしたね。


ー そういえば、X-JAPANが好きなんですよね？

マルガリータ：好きですね。

ゲイリー：”JAPAN”になる前の方が好きなんでしょ？

マルガリータ：そうだね。Xの時代のものと、BUCK-TICKと…。

ユコ：結構バリバリだね（笑）

マルガリータ：だって、BUCK-TICKはライヴ観に行ったもんね。

ゲイリー：マジで!? それ初耳だ！

マルガリータ：そうなんだよ。中学の時。

ユコ：…反影されてないね（笑）

マルガリータ：影響されにくいんだよ（笑）

ユコ：まだ隠し持ってる？

＜一同爆笑＞


ー 作品の話に戻りますが、「サノバ・ビッチェ」のMV見ました。なんか、すごいですね、今回も。

ゲイリー：あれ、すごいでしょ！いいのかな、いいのかな？って。

ユコ：自分のところなんて、ずっと嫌だーっていいながら観ていました（笑）


ー 演奏している横で新体操している人達がいるけど、あれは本当にあの場でやっていたの？

ユコ：本当にやっています。

ゲイリー・マルガリータ：凄かったです!!

ユコ：演奏している横でクルクルクルクルやってくれました！


ー モーモールルギャバンは、歌詞の発想も面白いですよね。シュールでハチャメチャなんだけど、最後の部分で腑に落ちさせる。この「サノバ・ビッチェ」もまさにそこを感じました。

ユコ：「サノバ・ビッチェ」は歌詞大変だったよね。難産でした。

ゲイリー：だいぶ書き直してあの世界に行き着いたので、偶然の産物的なところもありますが、みんなが納得する部分があそこでしたね。まず「”サノバ・ビッチェ”というタイトルの曲をつくろう！」というところからの発想だったんです。”サノバ・ビッチ”をもじって、サノバ・ビッチェ”（笑）。「俺の息子！」「俺のテーマ!」という意味を込めました。


ー かと思うと、タイトル曲「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」のように、あそび言葉的部分を一切削ぎ落としているものもありますね。

ゲイリー：この曲は言葉とメロディと歌を大切にしようと思いました。今、この時代に歌いたい歌を歌おうという想いです。