ー「カスミソウ」は昨年のオーガスタキャンプで観たけど良かったです。もうライヴでやっている曲を、レコーディングして音源作品に仕上げる時に一番大切にした点はどこですか？

この曲はライヴでも弾き語りだったので、バンドでやったことがなかったんです。だからライヴに来て、この曲を知ってくれている人は、確実に先入観と固定概 念があると思ったので、ひどい期待の裏切り方はしたくなくて、スタンダードに分かりやすく、伝わりやすいという部分を大切にしました。単純に、曲と歌詞を 伝えたいものなので、あまりひねくれたことはしないように、素材を大切にしてやっていこうと思いました。


ー 頭で想い描いた通りに仕上がりました？

想い通りには仕上がらなかったけど、思いのほか良かった！


ー それは一番いいことだね。

案外レコーディングをやってるとそういうことが多いんです。すぐには当たらないんだけど、詞がいいところにバシッって当たって「いいじゃん、これ！」みたいな。

ー「カスミソウ」ではスキマスイッチの常田真太郎さんが共同プロデュースでしたが、いかがでしたか？

初めて一緒にやらせていただいたので、色々お話することも多くて有意義でした。僕としては、どういう風にレコーディングしているのか、技術を盗んでやろうなんて思ったりもしてたんですけどね（笑）。


ー 盗めた？（笑）

ちょっとね（笑）でも、緊張しました！なにせ録音が常田さんのプライベートスタジオだったし。


ー そうだったんだ！

はい。プライベートスタジオっていうのも緊張したし、自分の想いが変に反れないように「こういう風に伝えたい」とか、逆に「こうしたらいいよ」という話をして、結果的に楽しくやらせていただきました。


ー 常田さんは、話し合いを大切にする人に思えるんだけど。

そうですね。口数は多い方ではないんですが、根本の話し合いはちゃんとして、それからのことを進めようという、すごく真面目な方です。


ー カップリングの「けやき並木道」ですが、これいいですね。すごく好き。

ほんとに？ あ～、良かった！嬉しい!!


ー CDだけど、ライヴを聴いてるみたいと思いました。弦をスライドする音や、場所によって、音が割れているところなど、細かいところなんだけど、そういう部分に魅力を感じました。

それもすごく良かった!! エンジニアさん以外にこの曲を褒めてくれたの、まさやんさんが初めてかもしれない。


ー え、そうなの？（笑）

はい。だから「あれ～？ウケ悪いなぁ」って思ってたんだけど（笑）、そうやって口にしてもらって、いい曲って言われるとホッとします。しかも、そういう細かい部分は、きっとエンジニアの濱野さんも喜ぶと思います！


ー マネージャーさんとかスタッフさんの反応は？

うーん、まぁ身内だから、わざわざ「あれはいい曲だよ！」とか言わないですね。


ー なるほど。この曲は一発録り？

これは、ギターとヴォーカルを分けました。一回、一発録りやったんだけど、結果的には分けた方のテイクが良かったです。


ー 長澤君が思い描いたけやき並木はどこですか？

地元福岡に、けやき通りという通りがあるんですが、そこを思い浮かべて書きました。
この曲のテーマの中には「自立」というのがあって、男女の別れもそうだし、友情の別れ、故郷の別れもそうだけど、例えば、二人で見ていた風景や、その時代に見ていた風景から、今見ている風景へと変化し、そこに新しい光をみるという、いい意味での決別、自立です。