—— どういうところが難しかったですか?
一番難しかったのは、情景的なところです。
例えば、海の波がくだける感じとか。なんか、そういう切なさみたいのを英語で伝えるのが難しいですね。英語ってもっとストレートな言語なんですよ。でも日本語ってもうちょっとグレーだったり、濁したり…それが切なさだったり。その「切なさ」っていうものに対する英語を見つけて行って、なおかつサウンドが美しく、聴きやすいっていうのを選ばないと、ただ意味が合ってるだけじゃ歌にならないのでそういうところを気にしながら作りました。
でも、最後の最後、歌う直前まで「こっちの言葉にしようか、いや、でもこっちの言葉がいいかな。」っていう部分が自分の中にはあったんですよ。
—— SHANTIさんご自身の満足度も高いですか?
はい。結構うまく訳せたんじゃないかなって思っています。歌い易いし、ちゃんと韻を踏んでる部分もあるし。でもこれを直訳すると、桑田さんの歌詞と全く同じではないんですよ。ただ受け取るフィーリングやニュアンスは一緒ですね。
—— 「Fly Me To The Moon」は、元々あまり好きな曲ではなかったとか?
そうなんですよ(笑)。でもね、別にメロディが嫌いとかいう事ではなくて、これって、ものすごく沢山の方にカヴァーされているスタンダード中のスタンダードなので、自分がやるなら違ったアレンジをしたいと思ったんです。
この曲って、AセクションとBセクションで成り立っていて、それを繰り返して、誰かがソロをとってまた戻るんだけど、歌詞の部分が短いんですよね。
だから私が今回レコーディングした時は、実は新しいセクションを足していたりイントロを元の楽曲とは全く違うアレンジにしてもらったんです。もし私がジャズシンガーだったら、例えばワンコーラス歌ってソロがあって、それからスキャットしてとかあると思うんですけど、多くのシンガーがそういうアプローチをしている中で、自分がやる時にはユニークなアプローチでやりたいなって思ったんです。 ハンクさんの「宇宙遊泳」アレンジのおかげで、自分がすごく歌いたいものに曲が変身しました。
—— Bonus Trackの「Curtain Call」では吉澤はじめさんと2度目の共作ということで、どうでしたか?
すごい楽しかったです!まず17人編成っていうのが初めてだったし。はじめさんってありのまんまの人なんですよ。歌ってるなかで、もっとこうして欲しいっていう部分はあるけれど、私に「絶対こうじゃなきゃいけない。」みたいな、うるさい事は言わないんです。 歌詞に関しても信頼して任せてくれて。 曲に関しては、もの凄くこだわりのある方です。自分とも向き合えるし、なおかつ成長できる場を提供してくれている素晴らしいミュージシャンですね。
歌詞と一緒に歌を作って行く楽しさもあったし、全員の同時録音っていう楽しさもありました。
ただ、その人数だと大きなレコーディングスタジオでも私はブースに入れないんですよ。
足りないの、ブースが(笑)。だから 最初私はミキサーの後ろでレコーディングしたりしてたんです。そういうのも楽しかったです。
—— 普通はない経験ですよね。
そう! また、その人数での同時録音だから結構何回も歌わなきゃいけなかったりするんですよ。だから一体感が出るまでの時間の流れも楽しかったりしましたね。
今回はレコーディング自体がとても楽しかったです。
—— 参加アーティストさんとの結び付きも強くなりますね。
何年間か一緒に生演奏をずっと続けてきた仲間と作りたいなぁって思ったんです。
やっぱりその中から出てくる愛情だったり仲間の空気感ってあるじゃないですか。それがそういうぬくもりのある音になるんですよね。
どんなに上手なアレンジャーさんだったりミュージシャンだったりしても、初対面の人と作るものとは絶対的な違いって生まれるんですよ。だからもし今回、このメンバーじゃなければ、もっと出てくる音がクールなものになってたかもしれないです。
音って、すべてを表すから、この温かみがある感じは一緒にやってきた、縁の濃い人達だから出来た事だと思います。
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