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スキマスイッチ「musium」インタビュー Page2

スキマスイッチ「musium」インタビュー Page2


ー この曲は『晴ときどき曇』とも全然違うナンバーで格好いいですね。インストを作る時というのは何かイメージを持っているものでしょうか?

大橋:いつもインストを作る時は、何も考えない状態でスタジオに集まって、基本的には曲を作ってレコーディングやミックスまでを1日で終わらせてしまうんです。だから今回も集まってから「どんな感じの曲にしようか」というのを話しながら、とりあえずドラムを叩いたりベースを弾いたりしながら、遊び感覚で音を作っていきました。何かを考えて、そこに着地したというよりはセッション的に「この音重ねたらカッコ良くない?」っていう風でした。


ー それがあのグルーヴに繋がるわけですね。

大橋:そういう “遊んでる感” が出ていればいいですね。


ー さて、10月5日にリリースの『musium』ですが、最初はいつのもスキマスイッチサウンドに、ちょっと面白いことが加わっていると思っていたんですが、聴けば聴く程、そんな単純なものじゃないなと思い始めました。「すごくいいです」という言葉が陳腐に感じてしまう位に感じました。

大橋:ありがとうございます!

常田:それは嬉しいです。


ー ご自身達ではどういう仕上がりになったと思いますか?

大橋:前アルバム『ナユタとフカシギ』が二人でソロ活動を明けて作ったアルバムということもあって、結構二人で内側を向いてバチバチとバトルしながら作ったんですけど、それに比べて今回はすごく外側を向いてるアルバムになったと思います。それは曲のバリエーションもそうですし、サウンドにしても二人の遊び感覚が含まれている気がするんです。色々なことを二人で話し合いながら作るというのは、時間もかかるし、言ってしまえば遠回りな部分も沢山あるんですけどその分、人間味があるというか。現場でどんどん変わっていくこともありましたし、そうやって作っていったのでとても人間臭くて、僕たちの人柄が出ているアルバムになったと思います。


ー 確かに以前の取材の際、『ナユタとフカシギ』では2人で向き合って制作をしたというお話もされていましたが、今回はお二人の世界がより精密に溶け合っていっているような気がしました。

常田:多分、楽ちんになっているんですよ。楽で楽しく。そこが以前とは大きく違うかもしれません。実際、制作の時間も今迄で一番長いですし、色々と詰め込む時は作業が深夜まで及ぶこともあったんですが、それでも余裕をもって作らせてもらいました。


ー お互いの意見を重ね合わせる時に、特に話しあったことはなんですか?

常田:今、スキマスイッチが何をやるべきかということですね。この歌詞は今、必要だろうか?とか、もっと簡単な方がいいのではないかという根底の部分や、今迄のスタイルがいいのでは?とか、それこそそういう部分はぶつかり合いの繰り返しでした。メロディに関しても「ここは落としどころではない」とか、サウンドの面に関しても、僕がイニシャチブを取るわけではなくて色々なことに対してお互い細かく意見を言い合いました。


ー 音楽以外の話も結構しましたか?

常田:今、観ているテレビの話とかしました(笑)あと一時、外にラーメンを食べに行くというブームがきて、スタッフさんも一緒に何人かで食べに行ったりもしました。


ー 例えば、音楽のことでもそれ以外でも、話し合いを重ねたことでお互いの考えを理解すると、それが音へ反影したりはしますか?

大橋:多分あるでしょうね。それが直接的にコード進行を作ったという具体性ということはなかったにせよ、二人で作っている以上は二人の関係性というのが絶対音に表れてくると思いますからね。3rdアルバムの『夕風ブレンド』までは、役割分担をしてスピードやクオリティを上げて作っていましたし、それが僕たちが一番最初に築いたスタイルなんですが、それってやはり音にも表れていますね。今聴いてもわかりますし。でも、最近はもっとセッション感が強かったり生々しさがある。それはやはりお互いの関係性が変わったというところもひとつの要因だと思います。


ー そういう作り方をして一番大変な点というのは、やはり時間ですか?

常田:そうですね。でも、その点はしょうがないというか。そこは「昔のように早くは作れなくてすみません」って、スタッフにもお願いしながら(笑)。でも、出来上がったものは絶対にいいものにするという自信や確信を持ちながら制作はしています。1曲について5回6回と歌詞をすべて書き直したりして 歌詞のあがりが遅れてしまうこともあったんですが。そこでぶつかり合いはあるんですが、僕はそういうのが好きな方なんでね。


ー 意見がぶつかった時というのは、どういう感じで落としどころを見つけるんですか?

常田:クールダウンさせたがりは卓弥の方ですね。ちょっとその話題から離れようって言って外に出たり。でも僕は詰めたいというか分析したがる方なので、言葉で責めようとしてしまうところはあるかもしれません(笑)。でもそうやってクールダウンさせたり、とことん話し合ったりしながら、全く別の新しい案が生まれて、「それいいじゃん!」ってストンと落ちたりしました。


ー 先ほどお話させていただいた、このアルバムが単純ではないと思った1曲が、「時間の止め方」なんです。歌詞がファンの方との深い繋がりを感じましたし、単に「この曲をやっておけばライヴでみんな感動するだろう」という打算ではないように思えました。

大橋:この曲は最初から「一曲目」という仮タイトルで作り始めた位、一曲目に置こうと二人の中で決めていたんです。アルバムの最初に、音楽というものに対しての歌を歌って、”準備はいいかい?さあいこう” と、二曲目に繋がっていくんですけど、今回のアルバムは自分達がすごく楽しんで音を作っているし、やっぱり音楽というのは楽しんで作るのが健康的だと思うんです。それをみんなと共有できたらもっと楽しくて。そういう想いは今迄以上にありました。やっぱり最初のうちは自分達が納得いくものを追求していた部分があって、それを経てソロ活動も経て、『ナユタとフカシギ』では、2人で向き合って自分達の中にあるものを引っ張り出しあって作った。でも今作がすごく外側を向いているというのは、自分達の音楽があって、それを沢山の人と共有できたらもっと僕たちの音楽はそこから音楽の幅が広がっていくという考えを持てたからだと思うんです。だからファンの人たちに「いつも聴いてくれてありがとう」という感謝の気持ちというよりは「こんな音楽作ったんだけど、これをみんなで楽しんでみない?」という、ひとつの提案のようなもので、アルバム自体もそういうものになりました。だからその 一曲目としてはとてもしっくり来ている気がするんです。


 

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