ー ミュージシャンというより、エンジニアで聴くんですね！

常田：ええ。その方がどんどん掘り下げられるというか。まぁ勿論、目的意識があればより面白く聴けるという部分もありますが。スキマスイッチとして10年活動してきて、あれやったこれやった、だから次はこれをやってみたいということも、今迄なら「まだ早いかな。」とか「あれをやってからこっちに行きたい。」など色々考えたりもしたんですが、もうそろそろそういうのもいいかなと。やりたかったらまず形にしてみる。そういうことを大切にしたいと思うようになりました。

大橋：今回はサウンドから作ろうということになったので、バンドサウンドを意識して、まずトラックを作ったです。シンタくん（常田）に、「こんな雰囲気の骨太な感じ」というイメージを伝えるんですが、その時点ではまだメロディもない状態で本当にトラックだけ。それでシンタくんが作ったそのトラックを、二人でいじって徐々に曲にしていきました。


ー この曲に対してのオフィシャルコメントで、常田さんが「“自分にとっての試合”の前に聴いて、気分を盛り上げてもらえたらと思います。」と述べていますが、お二人の “自分にとっての試合”は？

常田：それは完全にライヴですね。ライヴ前の空気感も試合前と、少し似ている気がするんです。

大橋：僕もやはりライヴかな。バレーボールの試合前は全然緊張しなかったですが、ライヴはすごく緊張するので。


ー え、そうなんですか？！

大橋：ええ、未だに緊張します。だからその心境と重なるところもありますし、自分を奮い立たせるような部分もあります。


ー ではライヴ以外で「あぁ、いま戦っているな」って思った出来事は？

常田：新曲プレゼンは結構近いものがあるかも。鶴の機織りではありませんが（笑）、部屋でひとりで作っていたものをまず卓弥に聴かせるんですが、ニオイはちょっと近いかもしれません。緊張まではいきませんが「どうかな？」という気持ちはやはりあるし、「あぁ、駄目だったな…。これ全然届いてないな。」というのもあれば、届いていないと思っていたものが後日「あれさ…」って言われたりして、「あぁ届いてたんだ。」って（笑）。まぁそれはお互いだと思いますが。

大橋：（無言で頷く）

常田：だからちょっとした試合…練習試合ですね。ただ今後を決める意味では大切な試合、戦いのひとつです。


ー 大橋さんはいかがですか？

大橋：何ですかね。戦ってる…。

常田：やっぱりスケジュールとか？

大橋：いやそれより、この時間にこれを食べるのか…とか。

＜一同爆笑＞

常田：深夜2時くらいにね。

大橋：そうそうそう。それは戦いですね（笑）。あと、それこそ深夜2時、3時くらいに飲んでいる時、「これ、ここで帰った方がいいけど、あと1件…いや、でもまっすぐ家に帰った方がいいよな。」という戦い。


ー それは相当な戦いですね（笑）。

大橋：（取材時）昨日もちょうど、Augusta Campプレイベント後に打ち上げがあったんですが、今日も午前中から仕事なので早く帰ろうと思ったんです。でも寄っちゃいましたね（笑）。


ー 寄っちゃいましたか（笑）。

常田：それって本当に戦ってるの？

＜一同爆笑＞


ー では楽曲の話に戻りますが、c/wの“夏のコスモナウト”は、7月26日（土）から8月20日（水）まで開催される全国高等学校総合体育大会（インターハイ）の「インターハイ応援歌」とのことで、“青春時代の全力の汗を応援する”をテーマにして欲しいとのことだったんですよね。

常田：そうです。試合前という意味では、何となく“Ah Yeah!!”と似ているのかとも思いますが、実を言うと楽曲として先に仕上がったのは “夏のコスモナウト”なんです。だからこちらの方が自由度は高いのですが、ワクワクやドキドキは“Ah Yeah!!”と変わらないです。ただ、もうちょっと「逃げ出せないぞ。でもそれが楽しみ」という感じ。


ー ちょっと分かる気がします！

常田：そうやって色々考えると自分が昔、部活をやっていた頃の雰囲気や、文化祭でのライヴ、そういう時の会話を思い出すと、「でっかい花火を上げてやるぜ！」みたいなことを言っていたなと。


ー だから花火を連想させる歌詞なんですね。

常田：それに夏と言えばやっぱり花火ですし、インターハイと言えば夏。そこで選手の皆さんは「大きな花火をあげてやるぞ！」って思ったりするのかなと考えていくうちに、花火というワードをもっともっと絡めてみようと、2人で花火を説明するサイトなども見ながら色々調べたり言葉を加えたりしました。だから花火に寄せつつも打ち上がるイメージなので主人公としては、花火の中に入っている宇宙飛行士。


ー だから宇宙飛行士を意味する「コスモナウト」なんですね！

常田：そうです。花火玉の中に乗って、「これからいくぞ！」という感じ。でも「決して一人じゃないよ、行こうぜ！」というイメージなんです。花火は一発ではなくバンバン沢山打ち上がりますからね。


ー なるほど。常田さんは実際、柔道でインターハイを目指していたんですよね。

常田：地方予選には勿論出られたんですが、まぁ皆さん強いです！そんな簡単には勝てるところではありませんね。ただ僕に勝った人が、インターハイに進んだので変な満足感がありました（笑）。今考えれば悔しいんですが、当時はそれで自分に言い訳していたのかも。でも愛知県はあまり柔道が強くなかったので、その彼も負けてしまって残念でしたが。インターハイにはそういう想い出があります。