ー「真冬に咲いたオリオン」は、サウンドもいいですよね。以前、未発表曲状態を聴かせてもらったのですが。

Rake：その時も好きって言ってくれましたよね。それに「Rakeさんらしくないサウンドですよね」って。


ー あ、覚えていてくれましたか! 勿論いつものRakeさんのサウンドも好きなんですが、アプローチが今迄と少し違うように思いました。キーボードの音とか80年代のR&Bっぽさもあるし。

Rake：そういう部分はあるかもしれません。


ー この曲はファンの方からも人気がありますよね。

Rake：そうなんですよ！作品としては初めてアルバムに入りますが、ライブで歌うとみんなすごく気に入ってくれているように感じました。この曲を歌い始めるとみんな「あ、この曲!」という感じで、すごく真剣に聴いてくれますし。確かにテンポも含め、 歌っていても歌いやすいですし、とても聴きやすい曲だと思います。サウンド面も、ちょっとレイドバックしていて、ドラムのキックが裏でちゃんと入っていて。横に揺れながらヴォーカルもカッチリしすぎず、でもコーラスがすごく奇麗に入ってきてという80年代や90年代のR&Bにある、そういうスタイルもすごく好きなんです。生の声の良さと打ち込みの融合をテーマにしました。


ー サウンドといえば「Right NOW」はグルーヴ感があって、カッコいいですね！

Rake：元々はこういう曲が好きなので、必ずアルバムには1曲は入れるようにしていますし、ギターキッズ達も一緒に盛り上がれる曲がいいなと思い、作りました。


ー シンプルなゆえに、Rakeさんの声やグルーヴを感じましたが、あえてあそこまで音を削ぎ落したんでしょうか。

Rake：色々な音を入れ過ぎると、伝えたいグルーヴ感とか、ギターを掻き鳴らした時の、ザザッというような引っかかっている部分の音が聴こえなくなってきてしまうんので、最小限の音でグルーヴさせる。それはきっと1stアルバムに近いアプローチかもしれません。


ー 先ほど、ギターキッズも一緒に盛り上がれる曲というお話がありましたが、そんなギターキッズにカッコいいというポイントをアドバイスするとすれば、どういう部分ですか？

Rake：音楽の3大要素は、リズム、メロディ、ハーモニーですが、僕はどんなに良いメロディやハーモニーでも、リズムがぐっとこなければ音楽は躍動しないと思っているんです。ヒーリング音楽のようなものはまた別ですが、僕が育ったバンド音楽というものは、順序でいってもリズムがあって、その上にメロディがあって、ハーモニーが乗っかっているし、それが大きな意味でもポップミュージックだと思うんです。全部おろそかにしちゃいけないけど、やはりリズムは大切ですね。極端に言えば、少し位音程がハズれたり、ハーモニーがハズれたりしても成立するけど、リズムが崩れてしまったら、その時点で音楽が一気に崩れてしまう。特にギターという楽器は和音楽でもあり、メロディ楽器でもありますが、リズム楽器でもあるんです。だからリズムから音楽をきっちり捉えていく感覚は、ギタリストにとってはすごく大事だと思います。ギターって、派手さに神経がいってしまいがちなんです。でも、自分の世界に入り込みすぎて、リズムを無視して好き勝手に弾くのではなく、しっかりとしたグルーヴとリズムの中で音楽を奏でていくという感覚を大切にしてほしいと思います。


ー すごく納得できます。

Rake：勿論今言ったことは、ギタリストだけではなく楽器をやる人全てに求められる要素ですし、もっと言えば楽器だけでなく歌い手にも、ものすごく必要な要素なんです。例えば僕はファルセットを出したりしますが、実はそういうのは僕にとってあまり重要ではなくて、歌がリズムにしっかり乗ってグルーヴしているかどうか、どこに音符を落とし込んでいくのかという部分の方が大切だと考えています。


ー「Gonna Be OK!!!」はメロディラインはRakeさんらしいんですが、リズムという意味で、面白いアプローチをされていますよね。

Rake：そんなにはっきりしたメロディではないんですが、リズムだけでも音楽は成り立つので、 Bメロをラップっぽく歌っているのも、HIPHOPの要素を取り入れたのもリズムで遊ぶという感覚です。その上でどっしりした曲にしたいとは思いました。細かいことを気にせず、”Gonna Be OK!!!”な感じでいこうじゃないかって、どっしり構えた感じです。この曲を聴いたら、なんか気持ちが楽になるんだよねって思ってくれれば嬉しいです。


ー サウンドでいくと、「Smile Song 」のレゲエっぽい感じが、肩の力がゆるく抜けるかんじでいいですね。　

Rake：レゲエで、ちょっとダブっぽい感じというか。こういうアプローチも自分自身好きなんです。リズムがあって歌が乗ってきて、気がつけばいつの間にか口ずさみたくなるメロディがサビにあって。まぁ、リズムこそレゲエっぽいので一見トリッキーですけど、やっていることは他の曲とあまり変わらないです。


ー 歌詞の面でも優しいラブソングで、普通のポップサウンドになるだろう音楽だと思うのですが、そこをあえてレゲエっぽいアレンジにしたのは何故でしょうか。

Rake：ひとつのチャレンジです。ポップスの8ビートに捕われることもないし、それ以外にも、もしかして今迄だったら英詞に逃げていたと思う部分もあるんですが、そこをあえて日本語で歌いきってみようというチャレンジもありました。


ー「Town Beat」ですがこの曲、とても好きです！これはライブバージョンですか？

Rake：いえ、スタジオで録っているのですが、かなりライブテイクな感じで、みんなで、せーの！で録っています。


ー そうだったんですか。Rakeさんが呼びかける部分とかを含め、完全にライブだと思っていました。

Rake：ほんとですか！手拍子のところとか、スタッフさんにもブースに入ってもらい、みんなで遊びながら録っていました。


ー 楽しそう!

Rake：みんな、やたらはしゃいでました（笑）。春のツアーでも披露して、絶対ハッピーな曲になるのは間違いないと思ったので、レコーディングも楽しくできました。


ー その土地土地で盛り上がりますよね。

Rake ：そうなんですよ。ツアーでも予想以上に盛り上がってくれて嬉しかったです。だから、これからもライブで大切な役割をしてくれる曲になると思います。


ー 春のツアーの時Rakeさん、東京なのに間違って仙台とか言っていましたよね。

Rake：それみんなに言われるんですよー! あれは自分でも相当ビックリしました。

＜一同爆笑＞


ー だけど、東京生まれ東京育ちの私個人としては、仙台のRakeさんが東京を自分のホームのように思ってくれたのかなと、ちょっと嬉しくなりました（笑）。

Rake：なんかあの曲をやっていると、楽しくなって盛り上がっちゃうんですよ。