ー chellyさんは何か楽器とかやっていたんですか？

chelly：バイオリンをやっていて、歌は趣味的にという感じです。


ー 趣味でここまで出来てしまうとは。

ryo：いやぁ、世の中いるんですねー。


ー すごい人を発掘しましたね、ryoさん！

ryo：はい！うちの事務所の宝ですね。

chelly：あはは、そんなそんな（笑）。


ー 勿論、EGOISTという設定があるので、 chellyさんが生でステージングすることはないでしょうけど。

ryo：あったら真っ先に自分が観たいです（笑）


ー あはは、成る程!

ryo：それにそのライブに参加したいです。 chellyちゃんは大きい会場で歌っているのが凄く似合いそうなんですよ。


ー もしそれでライブ盤のアルバムを出しても、歌唱力の面で何の遜色もなさそうですしね。

ryo：確かに!


ー いのりちゃんではありませんが、まさに歌姫ですね。

ryo：本当にそう思います。ローリン・ヒルや少し前にお亡くなりになったエイミー・ワインハウスのように、divaと言われている人達って毎回同じ歌い方をしないらしいんです。気分で変わるというか、節回しも毎回同じラインでは歌わないそうなんですが、chellyちゃんも同じ感じがするっていうか。しかもそれがあざとくならないギリギリのラインのバランス感覚を持っている気がします・


ー これはセンスなんでしょうね。

ryo：まさにそうですね。自分が歌った仮歌があるんですが、その曲がよくこうなるよなって思いましたもん（笑）。今ここにいるスタッフは全員それを聴いているので、出来上がるまでにはかなりのミラクルが起きています。


ー chellyさん、大絶賛されていますね。

chelly：いやぁ…そんなことはないんですが、でも嬉しいです。


ー「この世界で見つけたもの」はメロディがとても美しくて何度も聴きたくなりました。

ryo：ありがとうございます。この曲はアルバムの制作過程で、chellyちゃんの独特の節回し感とかスピード感をもう少し違う形で表現できないかなと考えた時に、自分が仮歌を歌わないという選択肢を取った曲なんです。鍵盤でメロディラインを打ち込んで、歌詞カードをプリプロの時にいきなり渡して、その場で一時間位聴いてもらってレコーディングに臨んだのですが、それだけでも凄いと思ったのに、この曲は結構メロディに対して文字数が多いので、それをどうやって当てはめていくんだろうと思っていたんです。自分の中での歌詞のハマリのイメージはあったんですが、まさにその通りにchellyちゃんが歌ってくれて、何か心の中を読み取られたというか…（笑）。ピッて（バーコードを読み取る仕草）やられた感じでした。


ー あはは。 chellyさん、ピッてやりましたか！

chelly：ピッてやっちゃいました（笑）。


ー なかなかここまでのコンビネーションというのはないですよね。

ryo：とにかくchellyちゃんの魅力を余す事なく表現できるような楽曲づくりで、chellyちゃん自身も歌い易いメロディやトラック作りを心がけました。先ほどの繰り返しになってしまいますが、本当に今迄は曲の力というのは自分の力だと過信していたのですが、このアルバムで「自分の力は5%位だな」と思いました。


ー いやいや（笑）。

ryo：でも、chellyちゃんの力に甘んじていてはいけないなと。日々精進しようと思います。

＜一同爆笑＞


ー「Lovely Icecream Princess Sweetie」は、歌詞が面白いですね。「失敗だらけのリップスティックだって そのうちサマになるかも」という乙女心と全体の甘い世界観に「坊主が屏風に上手に絵を描いた」という歌詞がユニークです。

ryo：言葉遊びが好きなんです。韻を踏んだり早口になったり、可愛い台詞を入れこんだり、 こういう歌詞は得意だと思います。ただひとつ残念なのは仮歌を自分がやっていることですかね。それは門外不出です（笑）。


ー 残念って!!（笑）逆に聴きたいです。

ryo：いやいやいや（笑）。自分の中で絶対聴かせられない曲というのは数曲あるんですが、その中の一曲だったりします。でもそれをchellyちゃんは聴いて、覚えてくれた上に素晴らしく仕上げてくれたと思うと、涙が出ます。

＜一同爆笑＞


ー「手遅れ」は、冒頭にchellyさんが語る、ポジティブともネガティブとも言えない言葉の羅列から、” 手遅れ” というワードをメインに短い歌詞で構成されていますが、どういう発想からこのような楽曲が生まれるのでしょうか。

ryo：サウンドの基本はこのジャンルでいうと、テクノの音色でキックを作ってリズムを組み立ててドラムもシンセでというところまでは一緒です。あと、このアルバムの中でちょっと不満感を表す曲が欲しかったんですが、かといってシャウトする感じも違うので、感情を音楽でしか表現しないいのりちゃんが、ちょっとウィットに富んだ感じで不満感を表してみようと思い、こういう歌詞とサウンドに仕上がりました。全部音楽だけで成立しているアルバムというよりは、笑える…というのとは少し違うかもしれませんが、聴いている側が意外に思える部分が欲しかったんです。個人的にもそういうエッセンスがあるものが好きですし、ある種音楽の中で一番難しいのは「笑い」だと思うんです。泣けたり喜んだりというのは、沢山あるけど笑えるというのはあまりないですよね。


ー 確かにそうですね。

ryo：クスッと出来るという意味で、今回この曲と、「Ce que j'aime ～inori no kyuuzitu～」は、割とそういうイメージで作りました。


ー chellyさんは、このアルバムで特に歌い易かった曲や、その反対でとても難しかった曲というのはありますか？

chelly：実はあまり差はないというか、一曲一曲向き合う感じでした。ただ、今迄歌ったことのないのは、やはり「手遅れ」のようなテイストの曲だったので、「どうやって歌おうか」ということはすごく考えて自分なりにこういう形で表現しました。


ー「LoveStruck」では色に不安な気持ちをのせたり、”言葉”ではなくあえて「言の葉」という文学的な表現を使ったかと思えば、「羅列暗号　理論上の空想」という、理数的表現が入り組んでいて不思議な面白さがある楽曲ですね。

ryo：実はこの曲、chellyちゃんが作詞したんですよ。


ー え、そうなんですか？

chelly：はい。作詞を担当させていただきました。

ryo：やばい、自分、淘汰されちゃうんじゃないかって脅威です（笑）。