ー ちなみにsmorgasは、あらきゆうこさんもメンバーですよね。

そうです。ゆうこに誘われてsmorgasのライブを観にいったんです。smorgasだからClubとかで夜中にライブやるので、普段だったら絶対そんな時間にライブを観に行くなんてありえないんですけど（笑）。


ー あははは！

でも観に行ったらすごくカッコよくて！来門もBARBEE BOYSをYouTubeとかで知っていてくれて「BARBEE BOYS、最高ッス！」って（笑）。その後メールでやりとりしていたんだけど、来門のライムがカッコいいなとずっと思っていたし、声もいいので「悲しきは…」にライムを入れようとなった時に、これは来門しかいないと思ったんです。


ー そういえば以前スキマスイッチさんのインタビューで、一度正解として仕上げている曲をアレンジする難しさについて語っていただいたことがあったのですが、杏子さんは今回のアレンジは原曲のイメージとは大分変えているので、そのバランスは難しくなかったですか？

私はまず来門にライムを入れたいだけ入れてってお願いしたんです。逆に来門の方が「これ、やり過ぎですかね？」って気にした位だったんだけど、とりあえず入れてもらって、アレンジがどうかというのは別にしても、楽曲としてライムが必要か不必要かは後で考えるという方法をとりました。でも最終的に一カ所位かな、カットしたのは。折角レコーディングするんだから、どうせなら全然違うアレンジにしたかったんです。そうした時に新たな楽しみというものも生まれる気がして。


ー なるほど。そしてこのインタビュー冒頭でも少しお話がありましたが、今回、洋楽のカヴァーを2曲収録。「Lullaby of Birdland」と「JAVA BLUES」。

ちなみに「Lullaby of Birdland」はエラ・フィッツジェラルドのイメージね。あのけだるーいけだるーい感じ（笑）


ー あはは、あの感じですね、分かります!（笑）

「Lullaby of Birdland」は学生の頃に友達がデモテープを作る用に仮歌で歌ったものがあったんです。その後JAZZを歌うチャンスがあって、私でJAZZって何だろうと考えたら、そういえばこの「Lullaby of Birdland」があったのを思い出したんです。声の質感ともマッチしたので、ライブでも時々歌っています。あと、「JAVA BLUES」は大学時代からずっと歌っていたんですが、「ライブって楽しい!!」と初めて思えた時の歌なんです。


ー そうなんですか！

ええ。その後BARBEE BOYSの活動中やソロになってしばらくの間はやる機会がなかったんですが、『Dear Me』（3rdアルバム）が すごく実験的なことをやったアルバムだったので、実際それをライブでどう表現するか考えた時に、自分の中の壁にぶち当たってしまったんです。自分にとって音楽、レコーディング、ライブとは何だろう？と考えた時に学園祭の時のライブ音源を録ったカセットテープが出て来たんです。私の歌はすごく下手なんだけど、そこには限りないパワーがあったんですよ。学園祭のライブって、その時一度きりじゃないですか。


ー そうですよね。

だから、そこにかけている気合いが違うんです。それが何とも言えずよくて、「こういう気持ちで毎回歌っていけばいいんだ。」と気づかされました。それから間宮くんとデビュー直前のヤマと一緒に、南青山のMANDALAで＜毎月が学園祭＞というライブをやったんです。オリジナルだけではなくて歌いたい曲をやろうって決めて「JAVA BLUES」もその時にまた歌い出しました。


ー 今回カヴァーの選曲も悩んだのではないですか？

結構悩みました！でも「JAVA BLUES」に関しては、事務所（オフィス・オーガスタ）の森川社長に「これいいよ！ライブだけじゃなくて、是非音源としても残そう。」と言われたのもきっかけにはなりました。


ー「BUSU」はBARBEE BOYSの、いまみちともたかさんのソロ楽曲のカヴァーですが、何故この曲を選ばれたんですか？

この曲は歌詞がすごくいいじゃないですか。辛辣な言葉のオンパレードなんだけど、実はメチャメチャ愛に溢れている歌！最初はイマサのギター1本でキーを探りながら何回も歌い直したりして。イマサは全く新しい曲として組み立ててくれました。


ー この曲、最後の方で杏子さんの笑い声が入っていますよね？

あれは何で笑ったんだっけな（笑）。でもそのままイマサはそれをOKテイクにして。


ー『Just』の時、イマサさんが作詞作曲された「色派」の最後では杏子さん、絶叫していましたよね（笑）

あはは、そうそう!! あの時は間違えて「あぁー!!!」って叫んだの。だからイマサはやっぱりよく私のことを分かっていますよね（笑）。


ー「Silly Scandals with TRICERATOPS」ですが、和田さんとのツインヴォーカルにしびれました！

あれいいでしょ！ライブでTRICERATOPSの楽曲をカヴァーするにあたって、「Raspberry」や「Waiting For You」も良かったんだけど「Silly Scandals」をツインヴォーカルで歌いたいと思ったんです。提案したらみんなは驚いていましたけど、唱くんは面白がってくれて。でも、実際ライブでやったらすごくカッコ良かったんです。ライブを観ていたスタッフは勿論だけど、私自身も今回のアルバムにこの曲を是非入れたいと思って、すぐにオファーをしました。彼らも今年で15周年だけど、やっぱり野音のライブなんか観たら、このスリーピースは凄いな！って思いますよ。演奏は勿論だけどコーラスワークがビシッとキマっていて、そのバンドで自分が歌えたことがとても嬉しかったし感謝でしたし、そのライブの勢いを、まさしくライブをキーワードにしたこのアルバムには絶対入れたかったんです。