ー それはすごい!しかもバイオリンも習っていた上に、今はピアノとギターを弾いていますよね。
はい。小さい頃は家族みんな働いていたので、僕が独りでも淋しくないようにキーボードや、ひとりで出来る楽器を買ってくれたんです。バイオリンもそのひとつで、発表会ではいつもトリを務めさせてもらう位だったし、一時はプロのバイオリニストも目指していた位でした。でも初めてコンクールに出た時に、ミスして演奏が止まっちゃって。僕自身そんなことは初めてだったので、すごく怖くなっちゃってそれきりバイオリンでステージに立てなくなっちゃったんです。
ー そうだったんだ。
でも作曲でのメロディセンスは完全にバイオリンで培われたものだと思います。それと思春期に聴いた沢山の音楽。特に矢井田瞳さんは大好きなんです。僕が初めてのコンクールで失敗して以降、しばらく楽器が弾けなかったんですが、少し落ち着いた頃に親戚の伯父さんの古いギターを弾いてみようと思い、初めて買ったのが矢井田瞳さんのギタースコアだったんです。
ー なるほど。あとHysteric Blueが好きなんですよね。でもヒロキくんはリアルタイムじゃないよね?
Hysteric Blue、大好きです! 僕が小学校の頃に『学校の怪談』というアニメのオープニングテーマがHysteric Blueの「グロウアップ」だったんです。それをきっかけに遡っていったら“ヒスブル、めちゃくちゃイイ!”ってなって。中学校の頃、Hysteric BlueのシングルCD『春〜spring〜』を自分で持っていって、昼休みの放送で流してもらったこともありました。彼ら自身、デビューした時は高校生だったのでティーンの気持ちがすごく詰まっているし、特に“春〜spring〜”の歌詞はいいです!主人公は歌が好きで音楽を続けるけれど、もうひとりは世間の目や色々なことで音楽を辞めるというストーリーが、今聴いても悲しくなっちゃうんです!先日の卒業式で、僕の相棒のベーシストと2人でこの曲を歌ったんですが、本当にこの歌詞の通りになっちゃったと思って。本当はそのベーシストと一緒に二人でデビューしたかったんです。
ー それはちょっと残念だね。
ええ。
ー でも状況はどうあれ、思春期に沢山聴いた音楽とバイオリンが、今のリリィ、さよなら。としての礎になっているんですね。
そう思います。中学三年の夏に作った “夏のにおい”という未発表音源があるんですが、当時はさほどコードを知らなくて、この曲も5つ位しかコードを使っていないんです。でも当時はプロになれる気がしていたし自信しかなかった。「僕には才能がある!」って(笑)。誰に教えてもらったわけじゃないけど曲を書くことが出来たし。まぁ結局、プロになるまでは時間がかかりましたけど。
ー じゃあ歌詞については、どういう部分からアイデアを吸収していったの?
“夏のにおい”から、リリース盤の“snow ~君がくれた物語~”までそうなんですが、僕は自分に起こったことしか書けないんです。だから多かれ少なかれ、僕の歌詞は実体験が元になっています。なんでしょうね、普段からすごいネガティブなのでそういうことの想像は出来るのに、建設的な妄想や想像は出来ないです。だから僕は小説家には絶対なれないな(笑)。
ー でも「リリィ、さよなら。」という名前は夏目漱石氏の短編小説「夢十夜」からきているとか。
そうです。本を読むのは大好きなんです!僕、中学の頃から引きこもりなので(笑)、アニメを観たり本を読んだりしていたんです。基本的には部屋で引きこもって出来ることしかしません。…って、こんなネガティブなことばかり言っていて大丈夫なのかな。
<一同爆笑>
ー 他には部屋で何をしているの?
料理します!
ー もしかしてカレーも自分で作る?ワンマンライヴの時に、スパイスの話をしていたから。
作りますよ。スパイスから取り寄せて作るタイプなので、キッチンにはカレーだけの棚もありますもん。カルダモン、クローブ、ターメリック。
ー すごい!じゃあ今度、mFoundでヒロキくんが作るカレー特集やろうよ。
やりたーい!!!以前生放送で、冷蔵庫にある余った食材でオムライス風リゾットを作ったら、ファンの人たちからもすごく反響があって。でも結局、料理が好きな理由も本が好きな理由も、引きこもれるからなんですけどね(笑)。
ー やっぱりそこかい!(笑)
アハハ!そうそう。外食をする為に外に出るのが嫌なので料理をする!それに読書は完全に自分だけで行為が完結するから最強です。最近のゲームは友だちと繋がってオンラインで出来るじゃないですか。でも何で繋がらなきゃいけないの?!ゲームなら一人でするからって思っちゃう。
<一同爆笑>
ー とは言いつつ、ヒロキくんは友だちが多い印象があるんだけど。
僕は引きこもりのわりに、一人暮らしが淋しくて仕方なくて…。
ー ダメじゃん!(笑)
だから友だちがよく部屋に遊びに来てくれるんです。