ー あはは！

それで「初めまして。れるりりといいます。ボカロをやっています。」「ほぉ。ボカロというものは、なんぞやですか？」という感じで色々話しをして、今回参加してもらうことになりました。元々この曲では女性の声が欲しかったんだけど、自分で歌っても良いかなというか、むしろ自分で歌おうと思っていたんです。そういう中で、れるりりくんと知り合い、ボカロは合うんじゃないかと考えて。ただ、ボカロを全面に打ち出すのは違うと思っていたから馴染むようにしたかった。自分と一緒に歌っているように、ボカロと聴こえない位に。なんなら僕が歌っていると聴こえたらいいなと思いました。


ー 私、聴こえました。というか最初はお恥ずかしながら全然分からなかった（笑）。

良かった（笑）。れるりりくんには最初、いくつかデータを送ってもらったんです。「ダーク」、「スイート」、「ウィスパー」って。その中にも例えば「ダーク（1）（2）（3）」っていくつかパターンもあって、声が全然違うの。すごくアニメ声だったり、普通に綺麗な…貞子みたいな髪型の人が歌ってくれていそうな声だったり。


ー 貞子って!!!

＜一同爆笑＞

しかも、その貞子みたいな髪型の人が歌ってそうな声を今回使っているんです。


ー そうなんだ！

でもそれが結構僕の声に近くて調和してくれている。


ー 正直、長澤くんの音の世界とボカロというのはある意味両極にあるものだと思っていた。

最初は抵抗に近いものがあったけど、そういうものほど触ってみると色々な発見があって面白い。これはボカロに限らずサックスにしても、ずっと昔に使った雅楽の楽器にしても初めてストリングスを使った時にしてもそう。違うものに足を踏み入れる時は「大丈夫だろうか？」という不安はあるけれど、それは必要な不安でそれをいかに自分らしく楽しく出来るかというところで勝負出来たらいいなと思っています。


ー 今回はそれがすごく良い形で出ていますね。

きっとそうだと思います。


ー “スーパーマーケット・ブルース”は歌詞が妙にリアリティに溢れていて、ノンフィクションかと思いました。

この曲は物語ではあるけれど、自分のバイトの体験も参考にしています。必ず何か参考だとか理由だとかヒントは何かないと歌詞は書けないから。だから自分のバイトの体験を資料にしてというと変だけど、バイトの男の子に思っていることを歌わせる。自分とは違う境遇だけど、僕が思っていることを歌わせました。


ー 色々想像しました。歌詞にあるケイちゃんのプライベートはどんなんだろうとか、モトさんの待ち受けの女性はどんな人だろうとか、この中の「俺」が語る夢ってどんな夢だろうって。

うんうん。


ー この曲では栗原健さんのテナー・サックスが入っていますが、栗原さんには感情や風景で出して欲しい音をお願いしたとか。

そうです。サックスでこういう気持ちを表現して下さいというところから入って、いくつか違うテイクを吹いてもらったんです。その中で例えば、もう少し白玉（全音符）を多くとかセブンスを多くしてもらえますかという音楽的なことを、段々入れていく感じでした。


ー この曲でもそうだけど、今回再びTRICERATOPSの吉田さんが何曲かドラムを担当。『SEVEN』の時はほとんど音楽の話ばかりしていたということだったけど、今回も？

吉田さんって結構気さくな方なので、沢山喋って本当に制作現場を良い雰囲気にして下さったんです。勿論音楽の話はしたけど、吉田さんは沢山オヤジギャグを言っていました（笑）。


ー そうなんだ（笑）。

その時、COILの佐藤さんがエンジニアだったんですが、佐藤さんもオヤジギャグを言うのですごく賑やかな現場でした。僕はあまり自分から積極的に話しかけるタイプではないので、そういう状態になっていると心底落ち着く。


ー 制作現場が良い雰囲気というのは大きいですよね。

本当にそう思います! 音に反映されるから。


ー “そのキスひとつで”ですが、この曲は赤い公園の津野米咲さんがギターとバックヴォーカルを担当されていますが、元々津野さんから声をかけられたんでしたっけ。

そう。ライヴハウスで声をかけてくださって。だから今回津野さんとご一緒するお話があった時もやりやすかったです。


ー 長澤くんのFacebookでも、レコーディング時の津野さんの写真がUPされていたけど、彼女もかなり異次元ハニー的な格好で臨んだらしいですね。

はい。レコーディングに取り組むそういう姿勢や、津野さんの個性はすごくいい! すごく素敵!!


ー だって、髪の毛ツインテールにしてあんな格好の津野さんって初めて見ましたもん。

え、そうなんですか？あれ、いいのかな？って僕らも話してたんだけど、でも良いとおっしゃったので、すごい格好でギターを弾いている写真を掲載させてもらいました（笑）。


ー ヴォーカルやギターラインの担当は二人で話し合って決めたんですか？

ギターに関しては、津野さんに自由に弾いてもらおうかというアイデアもあったんですが、 最終的にはこちらで決めたものをお願いしました。でも彼女、「私、アニメ声だから映えると思います!」って言ってくれて（笑）。でも実際、とても綺麗な声だし作品として良い仕上がりになったと思っているので、それがなによりです。