ー あるからこそ現実への疑問というのはすごく分かります。では楽曲の話に戻りますが、サウンドも疾走感と重厚感の両方を兼ね備えて、それが歌詞の世界をより引き立てている印象がありました。

全体的に気を遣ったのはエレキギターの音色とBメロです。Aメロとサビはおっしゃる通り、疾走感で突き抜けられれば良いと思ったんです。でもBメロで一瞬フワッと浮くというか、羽根が生えたように浮かび上がって、またドンッと落ちてサビに入る感じを作りたかった。そうやってワンコーラスの中でのコード進行でストーリーを作るということを、今迄バンドサウンドではあまりやったことがなかったんです。今回アレンジ面でも自分の思い通りにやらせてもらっているだけに、Bメロのストーリー展開がすごく大切でした。


ー 確かにBメロは、特に印象が強かったです。というか、一番最初のBメロと一番最後のBメロで違うイメージを持ったので、サウンドを変えているのかなとも思ったんですが、そうでもなさそうだし。

ええ、サウンドは一緒です。ちなみにどういう風に違って聴こえたんですか？


ー 重さと開放感かな。まず、「太陽は自らを焼いて光る」という歌詞が凄いですよね。捉え方によっては自虐であり愛であり。だから最初のBメロは重くて自虐的、でも最後はそれもアリかもしれない、それが希望なのかもしれないと、サウンドが感じさせてくれたんです。それだけ歌詞、メロディ共に強い楽曲だからだと思いますが。

僕は今回、Bメロをすごく聴いて欲しかったんです。失速というと言葉悪いかもしれませんが、Aメロとサビの疾走感よりも、Bメロで浮き上がる感じはとても大切で。なぜかというと、そこで歌っていることがこの曲の核となる部分だから。だからその部分を気にして聴いてもらえているのはすごく嬉しいです。


ー サウンドや楽曲の持つイメージではなく、物理的な音質や声の部分でもc/wの、“以心伝心”や“16歳”とはまるで違う感じがしました。

マスタリングの時に僕もそれは感じました！違う人間の歌じゃないかと思うくらい。


ー この曲は高橋優の代表曲のひとつになりそうですね。

そうなれれば嬉しいです。ただ、代表曲になるかどうかは、聴いてくれる人が決めるものだと思っているんです。勿論自分の中で個人的な代表曲というのはありますが、この曲に関しては新たな試みをしているので、自分の中でどういう曲になっていくかは、これからライヴをしていかないと分からない部分も沢山あって。だからこれから色々なところでこの曲を歌うことで、自分の中でのこの曲のポジションが決まってくると思います。


ー リリックビデオには「アリスの棘」出演であり「東京難民」主演でもある中村蒼さんが出演。“CANDY”の リリックビデオも印象的でしたが、 “太陽と花”のリリックビデオも印象的でした。やはりリリックビデオにしたのは、歌詞の持つ力を一番に伝えたかったから？

そうです。でも昨日（取材時）ミュージックビデオの撮影もして来ました。まだ出来上がりは観てないんですが、リリックビデオの方は火が燃えて文字が浮かび上がったり、花が燃えて灰になったりするじゃないですか。


ー ええ。

そういうモチーフはもしかしたら今回のミュージシャンビデオと共通しているかもしれません。


ー 撮影は大変でした？

大変でした！！今迄のミュージックビデオの撮影の中で群を抜いて大変でした。


ー “夜明けを待っている”や “ ボーリング”の時よりも？

はい！あの時は台本がなくて、海の前で歌うということしか決まってなかったんです。それなのに、僕が勝手にテンション上がって、海の方に歩んでいって（笑）。


ー そっか（笑）。

でも自発的に行くと、そういうことも辛いとは思わないじゃないですか。


ー 確かに。

でも今回は監督さんがいらっしゃるので、その監督さんの構想しているものを表現したいじゃないですか。ひとつの映像作品として。


ー ええ。

例えば、ワンフレーズごとに違うアプローチをするなど、やらなければいけないことが結構多かったし、撮影が外だったので寒かったです。でもそれだけに、仕上がりが超楽しみです！だからモチーフは似ていても、リリックビデオよりも見応えがあるものが出来たんじゃないかな。