ー c/wの“以心伝心” は、ギターのクリアな音をはじめ、全体的に暖かいサウンドですよね。この曲はライヴのイメージが浮かんできました。

レコーディングもみんなで楽しくセッションするような雰囲気があったので、もしかしたらその空気感が出たのかもしれません。


ー そういうのは出ますね。それと歌詞にあるように、見つけた物や聞こえた音をその通りに話すって難しいですよね。

なかなかそういう風に出来ないことが多いんです、僕の場合。


ー そうなんだ。でも実際その人その人のフィルターを通して感じるから、 伝わっていると思っても、少しズレて捉えられたり、全く違う方向から捉えられたりということは結構ありますね。

すごくいっぱいあります！「何でそういう言い方しちゃうかなぁ。」って自分で思いますもん。基本的に人に対してあまり悪意なんてないじゃないですか。「こいつ、傷つけばいい。」って思いながら話すことは、まずないし（笑）。でも微妙な言い方の違いで、「今のは良くなかったな。」と思うことは結構あります。


ー 言ってしまってから後悔すると。

そうそう（笑）。


ー 今、人に対してあまり悪意はないという話でしたが、人間ですからそれでも嫌な人と接しなければいけないこともあるじゃないですか。

そういう時は、「こいつ、傷つけばいい。」というよりひどいこと考えます（笑）。


ー え、どういう風に？（笑）

もし本当にその人は罰を受けた方がよいと思えば、その人が残酷な想いばかりして生きていく方法はないかと考えるんです。そしてそこに僕が何か加担する方法はないかって。もう最悪でしょ！（笑）


ー ブラック高橋優だー！

＜一同大爆笑＞

まぁ実際はしないですけどね（笑）。そういうことって面倒くさいじゃないですか。相手に憎しみを委ねるのが面倒くさい。まぁ、苦手な人はどうしたっているじゃないですか。


ー いるいる。

その苦手な人に対して「この人、苦手！」って言ってしまうのも、また雑な話で「何で僕はこの人のことが苦手なんだ？この人のどういうところがムカつくんだろう。」 って考えるんです。そうやって考えていった時に、自分のトラウマが原因になっていることがすごく多くて。


ー へー。

その相手が言っていることは、他の人が言っていることと実はそんなに変わらないのに、微妙な言い方の違いが昔、僕をいじめてきた人の喋り方に似ているとか、意地悪してきた人と傾向が似ているとか。だからこの人も結局意地悪をしてくるんじゃないか？って、そんな気がしちゃうんです。


ー なるほど！そういう考え方をしたことがなかったけど、一理あるかも。

ですよね。だとしたら自分が勝手に敵を作っているだけで、相手は僕を傷つけようなんて悪意はないかもしれない。みんな自分のことを守りたくて、みんな自分が幸せになりたくて生きているだけなのに、勝手にこっちが悪意を持ってしまって、「一生不幸であるためにはどうすればいいか？」なんて考えてもしょうがないじゃないですか。


ー あはは。確かに。

だから最近は「残酷な思いばかりすればいいのに」みたいな考え方はやめました（笑）。30歳になったから尚更なのかもしれませんが、今は人ともっと仲良くなる方に興味があります。


ー いいじゃないですか。じゃあ、人見知りは卒業？

いや、相変わらず人見知りは変わらないです（笑）。仲良くなっても結局敬語だし。


ー たまに間違って、ご両親にも敬語を使っちゃうし？

はい（笑）。親に人見知りってだいぶひどいですよね！

＜一同爆笑＞

まだ人見知りはしますが、そこで考えることをやめてしまわないということが大切だと思っています。だって人見知りも最終的には自分が嫌われたくないからとか、自分が良く観られたいから見栄を張って喋らないようにしたり、相手に壁を作っているだけな気がするんです。だとしたら、結局弱いの自分じゃないですか。


ー そうだね。

だから勇気を持って声をかけるとか。まぁ小さなことですが、自分の中での初めの一歩として、特に今年に入ってから出来るだけやるようにしています。


ー いいですね。

それこそ“太陽と花”や、“以心伝心”はそういうことを実践しながら作りましたので、“人見知りベイベー”を歌っていた頃よりも、一歩か二歩くらいは前に出ているんじゃないかな。だからこそ “以心伝心”のような曲が出来た気がします。