4月18日にニューシングル『×ゲーム』をリリースした東京カランコロン。音がカッコいいのに歌詞がシュールだったり、切ない歌詞なのにキラキラと可愛いメロディだったり。そんなバランス感が面白い彼らの今回のシングルでは、いちろーが自分のパーソナリティにスポットを浴びさせたり、アレンジャーとの折衝に奮闘したりと、様々な新しい面をみせてくれている。今回はせんせいと、いちろーに楽曲のこと、東京カランコロンというバンドのあり方、大切にしていることを聞いてみた。


ー ご無沙汰しています! 最近、東京カランコロンのライブに行けてなくて。

いちろー：そうですよねー!



ー 噂では、かなりライブが変わってきているというか、クオリティが上がって来ているらしいね。

せんせい：どうだろう？変わったかな。

いちろー：お客さんのリアクションが以前とは変わってきているかもしれません。


ー どういうリアクションになってきました？

いちろー：楽しみにしてる感というか、期待感が以前よりも強いので、その分、曲をやった時のリアクションも大きいんです。それは感じます。


ー 4月18日にリリースしたの2ndシングル『×ゲーム』ですが、今回はいちろー君がメインボーカルですね。

いちろー：そうなんです。ここのところ、立て続けにせんせいがメインボーカルをとる楽曲をリリースしたので、次のシングルでは僕がメインヴォーカルの楽曲をリリースしようということをプロデューサーの方とも話していたんです。


ー ミニアルバム『あなた色のプリンセス』のリリース取材の時、いちろー君は歌詞に対して、自分のことを書くというよりストーリーを作ると言っていましたが、今回はどうも違うようで…。

いちろー：はい。まず、この曲が出来た時に、僕としては単純にメロディがいいなと思ったんです。それでみんなで話し合いをしている中、誰か仮の主人公を立てるより、僕自身が思ったことを書くということをテーマに掲げました。だから確かに今までの曲と歌詞に関しては思考が違いますね。

せんせい：普段、いちろーさんが何をどう考えてるかあんまりよく分からない部分があるんですが（笑）、 今回いちろーさんが一番”CDの顔” になるように考えた時に、いちろーさんが考えていることを前面に出したら面白いんじゃないかなと思いました。

いちろー：僕のパーソナリティーがわかるようにはしたかったです。逆に、今まではあえてそうしなかった部分もあったんですが、折角、前2作とは違って自分がリードをとるものだから、そこを突っ込んでみようと思いました。


ー では、改めてそういう部分をふまえて今作の想いを教えてください。

いちろー：自分の思ったことを書こうと考えた時に、まず何を書こうか悩みました。でも、変にメッセージソング的なものになるのは嫌だったんです。自分が個人的にそういうものがあまり好きではないというのと、東京カランコロンというバンドが今まで出してきたものをみても、それは違うかなと。僕は音で遊んでいるものが好きなので、その中で自分の想いというものとのバランスが一番重要視しました。押し付けがましくならないようにしようと思いつつ書いたので、言葉使いは何度も書き直しました。大きなテーマで言うと、自分も含めて、音楽を仕事としてやっている人というのは、それが人生なわけで、そういう生き方を見ている中で色々想うこともあって、ちょっと”ぼやき”みたいな部分にスポットをあててみました。


ー ぼやきね。

いちろー：ええ。「こうしようぜ！」とかいうことではなく、つぶやきや、ぼやき。そういう風にしたかったんです。



ー 歌詞の世界観をたどれば、大人になると、我慢や苦労って当たり前だし、楽しいなんてあんまり思ったことないけど、そういえば自分が好きなことに対してだと、そういうことすら楽しく感じちゃうもんね。

いちろー：自分は音楽が全てなので、そこに関してだけしか深く突っ込めないですけど、音楽をやっている中でも、楽しくないことは結構あるんですよ（笑）。


ー なるほど。

いちろー：例えばインディーズだと、ライブの告知を友達にメールしたり、自分でフライヤー配ったり。勿論そういうこと全てが楽しければ全然いいんですけど、僕らって結構面倒臭がりだからそういうのが、苦手なところもあるんです（笑）。まぁ、それは音楽だけじゃなくて、どんな仕事をしていてもそういう局面にぶち当たる時ってあるじゃないですか？


ー あるね。

いちろー：それが最終的に「楽しみ」に繋がるものならいいんですが、ただ自分の手を煩わせるものという感覚であれば、その人にとってその行為達というのは何にもなってないですよね。


ー それこそ、罰ゲームだよね（笑）

いちろー：…っていうことになるんですよ!!（笑）それをすごく考えていたところがあって、極論を言えば、僕らは音楽をやって、音を楽しむことが一番重要だって考えながらライブをやったり、ライブの練習をやったりしているわけですよ。でも、同じ音楽をやっている人の中にも、そこを吐き違えている人がいるんじゃないかなって感じていて、それが本当にそうであればいずれ、脱退や解散という形に繋がってしまう原因になるのかなと。勿論、それぞれ色々な理由があると思うので、一概には言えない部分ではあるんですけどね。