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ドレスコーズ『バンド・デシネ』インタビュー


11月6日に2ndアルバム『バンド・デシネ』をリリースするドレスコーズ。今回はドレスコーズになって初めて志磨遼平のソロインタビュー。フランス漫画を表す『バンド・デシネ』の意図するところや、漫画好きの志磨のバイブル、M1の“ゴッホ”に秘めた想いや志磨の処世術を様々な角度から切り取ってみた。


ー 今作のタイトル『バンド・デシネ』は、フランス漫画を表す言葉らしいけど、何故そういうタイトルに?

歌詞を書いている時に、何となくこの「バンド・デシネ」という言葉が出てきたんです。言葉自体はだいぶ昔、多分20歳位の時から知っていたんですが。


ー フランス式漫画って、どういうもの?

「AKIRA」の作者である大友克洋さんのように、線が細くてすごく描きこんでいるものが元々フランス独自の漫画文化らしく、バンド・デシネ作家としてはメビウスが有名かな。B.D(ベデ)とも言うらしいんですけど、バンド・デシネって日本語にも聞こえるじゃないですか。


ー 確かに。

例えば、根無し草を意味するデラシネという言葉なんかも、言葉の響きが日本語みたいで面白いでしょ。


ー はいはい。

それと同じようにバンド・デシネも響きが面白いと思うんだけど、今になって何故かその言葉が記憶の片隅から出てきたんです。でも、バンド・デシネってピッタリくるなと思って。


ー それはどういう意味で?

描き込むテクニックや技量がすごく必要で芸術的水準が高いのに、大衆文化として漫画という形で発展している。その二つが一緒くたになっているというのがドレスコーズっぽいし、似合うと思ったんです。


ー それは何となく分かる気がします。

ね! 多分、バンド・デシネの「バンド」は「帯」という意味だと思うんです。ひとコマの絵が帯状に連なっている、ストーリーが続いているというのが語源らしいし。だから「まだ続くんだよ、僕らの人生は」という風にも捉えられるし、今回のアルバムにもピッタリだからそのままアルバムタイトルにしようと思いました。


ー そこに、今作のコンセプトが詰まっていると?

そう。歌詞も12曲どれも同じことをテーマにしている気がしていて。


ー 漫画って結構あなどるなかれ、大人になっても自分の軸になっていること多いよね。

そうです、そうです!まさに少年マンガ原理主義!( “ゴッホ”歌詞)


ー そこに繋がるわけだね。

そう(笑)。


ー 最も影響受けた漫画は?

柴田ヨクサルさんの「エアマスター」です。今、週刊ヤングジャンプで「ハチワンダイバー」という将棋の漫画を連載中の方なんだけど、ドラマにもなったんですよね。



ー あ、わかった!

あれです。その「ハチワンダイバー」の前に描いていた「エアマスター」が僕のバイブル。「ハチワンダイバー」もそうだけどひとつのテーマがありながら、最終的には人間がどうやって生きて死ぬかというような人生哲学的な部分に行き着くんです。「エアマスター」は女子高生のストリートファイトの話なんですけど、テーマだけはすごく壮大。それに台詞がすべてカッコいい! あと2番目に好きなのは、王欣太さんの「蒼天航路」という三国志の漫画。22〜3歳の時にこの作品と出会っていなければ、たぶん人生がかなり変わっていたと思う。もっと悩むというか、焦って生きたかも。バンドとかやっていて良いんだろうかって。


ー あー、ぶち当たる壁だね。

でも僕は「蒼天航路」を読んでいたから全然大丈夫だった(笑)。


ー では改めて楽曲の話になりますが、M1の“ゴッホ” 。そもそもこの曲がアルバムに収録されるというか、作るきっかけになったのはRKB(毎日放送)のディレクターさんの言葉を受けてということだけど。

そうです(笑)。一度レコーディングが7月末に終わったんです。12曲録り終わって、その時点で “ゴッホ” はなくて。まぁアルバムとして曲も沢山入っているしバランスも良いからいいねという感じだったんですけど、MIXも終わってみると「…うん、まぁ、出来たねぇ…。」という感じで。


ー 達成感がなかった?

何かキレが悪いなぁと思ったんです。聴いていたらすごく良いんですけど「もしかしたらまだ終わってない?この制作。」という感じで。それはメンバーもスタッフも同じで、誰も終わったという感じがしていなくてディレクターと相談したんです。そしたら「完パケまであと1週間は待てるよ。でもこの1週間で曲を書いてレコーディングまで出来る?」って言われて。でもそれがちょうど『トートロジー』の発売週だったから、クッソ忙しくて。


ー そりゃ忙しい時期だわ(笑)。

でもその1週間で新たな曲を作るということは、アルバムの中でまぁまぁ良い曲では意味がない。圧倒的にアルバムを象徴するというか、ずばぬけたキラーチューンのように突出した1曲を書けるなら待つって言われて(笑)。それで「書きます、書きます!」って言って『トートロジー』発売日翌日にスタジオをおさえてもらったんです。キャンペーンで日本全国回っている移動中の車内で考える日々でしたが、ギターもないから頭の中でずっと考えるだけ。まだ見ぬ、このアルバムを象徴する音をずっと考えながら歌詞も少しずつ書いていく中で何となく2曲位イメージが出来たんだけど、どちらもまだ決定打に欠けるという状態で福岡に入ってRKBの寺井さんと会ったんです。僕が出演したのは寺井さんが担当している番組ではなかったんだけど、わざわざ来てくれて結構辛辣な言葉をもらって(笑)。僕、寺井さんのことがすごく好きなんです。あの人は作品をきちんと批評してくれるから。だからその時も「志磨くんが毛皮のマリーズを解散してドレスコーズというバンドを組んでまでやりたいことというのが、ちょっと分からないんだよね。ただバンドがやりたいだけ?」って言われて。


ー おー。

それで「僕はバンドじゃないとやらないです。僕のソロなんて絶対面白くないのが分かっているから聴かせたくないんです。だからやりもしない。絶対失敗するだろうし。」って言って。でも寺井さんは僕はソロが良いんじゃないかと思っていたようで、「僕は志磨くんの持っているメロディセンスや誇大妄想というか、ロマンティシズムが人より突出している部分を今は削っているようにしか見えないんだけど。」と言われて。でもそこで今考えている1曲に対してのテーマをもらった気がしたんです。僕の持っているメロディセンスやロマンをそのままバンドにぶつけようと。きっと僕はそれをやることが怖かったんだと思うんです。変な言い方だけど、それが僕の本性だから。僕の本性を知ったら、メンバーが僕のことを嫌いになるかもしれないし、そういう曲を持っていったらメンバーは反発するかなと思ったんです。だからあえて「僕の持っている本性と、それに反発するバンド」という構成の曲を作ろうと思い、2曲出来ていたものをひとつにまとめました。


ー そうだったんだ。

そうそう。


 

リリース情報

ドレスコーズ2nd アルバム
「バンド・デシネ」
2013年11月6日発売


収録曲
M-1:ゴッホ
M-2:どろぼう
M-3:Zombie(Original Ver.)
M-4:ハーベスト
M-5:トートロジー
M-6:シネマ・シネマ・シネマ
M-7:Silly song, Million lights
M-8:Eureka
M-9:(She gets)the coat.
M-10:Teddy Boy
M-11:We are
M-12:バンド・デシネ
 
Disc2 DVD(初回生産限定盤)
1  誰も知らない
2  TANGO, JAJ
3  Puritan Dub
4  ストレンジピクチャー
5  レモンツリー
6  Automatic Punk
7  ベルエポックマン
8  Trash
Live at 日本青年館(2013.3.8)

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初回生産限定盤
COZP-808~9 / ¥3,465(税込)
初回盤DVD:Live at 日本青年館(2013.3.8)

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通常盤
COCP-38213 / ¥2,940(税込)

LIVE情報

More Pricks Than Kicks TOUR

11/21(木)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
11/22(金)仙台JUNK BOX
11/24(日)札幌cube garden
11/27(水)名古屋QUATTRO
11/28(木)高松DIME
11/30(土)福岡DRUM LOGOS
12/01(日)広島ナミキジャンクション
12/03(火)梅田AKASO
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