twitter twitter
元気ロケッツ Repack Album「GENKI ROCKETS II -No border between us- Repackage」インタビュー Page3


ー すごく基礎的な話で恐縮なのですが、そもそもリミックスをする際は、元音源の、単体の音を完全にバラバラにして作業するものなのでしょうか?

水口:ある程度バラした状態のものをお渡しして、それをリミックスしてくれる人達が自分なりの感性で組み立てるんです。


ー なるほど。それで「Touch me」ではLumiの声も力強く変化していましたし、そもそもの音自体に大きな変化を施せるわけですね。

水口:そうです。エフェクトのかけ方ひとつで、曲のイメージはかなり変わります。

玉井:当然ですが、フツウは出来上がりの状態でみなさん楽曲を聴いているじゃないですか。僕らもリミックスはしますが、一番多いのは、歌だけをもらうんです。そこから組み上げていくんです。だから1から100の行程で言うと、1に戻るところから始めて、残りの99をゼロベースに考え直すんです。だから面白い。つけるコードで曲は変わってくるし、グルーヴを変えることで盛り上がり方も変化します。例えば映像で言うと、人物は変わらないのに背景が変わるようなものだから、そのシーン自体の印象が変わる。


ー すごく分かり易いです! 八王子Pさんがリミックスされた「 make.believe」は、ドラム部分にあたるリズムの刻みが変わっていましたね。

玉井:そうそう。ワングルーヴを続けていくのがダンスミュージックの基本なんですが、そうではないグルーヴ、つまり変拍子。もしくは変拍子までいかないレベルでも、ちょっとツンのめるようなノリで紡いでいくグルーヴというのもあるんですが、kzともまた違う、八王子Pのそういう目線はとても面白いです。自分達はどうしてもヒット曲の方程式のようなものを知ってしまっているので、そこを選ばないんですよ。でも、そこをあえて持ってくるというのが面白い。


ー sasakure.UKさんがリミックスの「Hikari no tabi」はイントロレスで、Lumiのブレスから入るところが印象的でしたし、私としては一番ボカロ系らしさを感じました。

水口:面白かったよね。「そう来たか!」って。ボカロってコンピューターが作り出す声なので、そこにどうやって魂や感情を入れていくかということを一生懸命やれる人達なんだと思います。それをやれるということは、ある程度人間の何が感情的か、どういうのがグッとくる声なのか理解していないと作りだせないはずなので、そういうところに自分の感性を晒してきたんだと思うんです、ボカロ系の人達は。そういう意味でもsasakure.UKは、感性が強いと思いますし、今おっしゃられたように、ボイスの使い方が上手いですね。この曲自体は、僕と玉井健二の中では首都高速を走る時のヘビーローテーション曲なんです。


ー そうなんですか!

水口:そうそう。この曲は、のどかな風景よりも、都会の風景の方が似合うんだよね。


ー 分かります! この三人のリミックスの特徴や、それぞれの才能をどうご覧になりましたか?

水口:僕は遂に出て来たかという感じかな。違うDNAからね。まぁこの三人を一括りには出来ないけど、ボーカロイドなどを通過して大きくなってきている人達だと思います。今迄の純粋なクラブや音楽業界じゃないところから面白くなってきている人達だから、今回元気ロケッツとしてセッション出来たのはすごく嬉しかったです。これからも何か出来ればいいですね。


ー ボカロではありませんが、 そもそも元気ロケッツという存在自体、ある意味ではその先駆け的存在と言っても過言ではないと思います。お二人は、ボーカロイドという新しいジャンルは今後も音楽業界に広がりを見せてくると思いますか?

水口:そうですね。ボーカロイドが何で広がっているかというと、音楽に対して今迄出来なかったことが出来るようになってきたからじゃないですか。商品としての完成度に至っているかいないかは別の話として、作る方もかなり直感的に自分の感性で歌詞を書いて歌わせることが出来る。その作り手のウォンツやニーズを満たしているからそれをやる人も増えているだろうし、今度はそれを聴くユーザーやリスナーも、例えばニコニコ動画のようなものを含め、今迄の音楽とは違う楽しみ方をしていると思うんです。映像とセットになったものを観てカラオケで歌って楽しんだり。それってどちらかというと、すごく下から沸き上がってきているエネルギーだと思うので、きっとそういうものはまだまだこれで止まらない気がします。音楽のあり方や楽しみ方を含め、多分音楽業界をまた大きく変えていくことになるだろうし、そういう意味では僕はこの流れは注目しています。


ー 玉井さんは音楽プロデューサーとして、生身のシンガーやミュージシャンの人達を相手にプロデュースされていますが、そういう立場でボーカロイドというものはどうご覧になりますか?

玉井:音楽制作自体が特殊技能の分野ではなくなったと思うんです。例えば楽器を弾けない人はまず楽曲が作れなかったし、昔の作曲家の先生って何だったかというと、まずギターやピアノが弾けた、そういうところから始まるんです。もう少し込み入った事を言うと、レコーディング機材を触れなければエンジニアが出来ない。それが今の時代はクリックひとつで出来てしまう。そうなると、語弊はありますが、作曲するということにさほどの価値を持たなくなってしまう。もう何億何千万人が作曲できるわけです。でも僕はそれをすごく好意的に見ています。


ー そうなんですか?

玉井:単純に今迄より何十倍、何百倍の楽曲が増えてくる。そうやって裾野が広がれば広がるほど、最終的には淘汰されていく。そうすればそこから選ばれるもののクオリティが絶対上がっていくはずなんです。そういう意味で、すごく面白いじゃないですか。高級な音楽って、時間とお金をかければ作れるんですよ。でもそうではなくて、目線が面白いとか、それこそ元気ロケッツで僕らがやっていることと同じことに世の中のチューニングが合ってきてくれたことが嬉しいです。そこに存在するフィロソフィーや要因、きっかけは何だろうと考えて、それで善し悪しや好きか嫌いかを決める。それこそ、”いいね!”ボタンを押すか押さないかみたいな感じでね(笑)。


ー はいはい(笑)。

玉井:そういう部分がものさしになっているのはすごく良いことだと思うんです。でも、だからこそ楽器を扱えたり、それを知っている人達のノウハウは貴重になってくるので、それは僕らが新しい人達と仕事をしていく上で、共有出来ていったらいいなと思います。


ー 正直言うと、その考えにはすごく驚かされました。これはどの業界においても言えるのですが、私自身は、人間の技ではなく機材の力で簡単に出来たことをプロの現場に持ち込まれる抵抗感が若干あるのですが…。

玉井:そこを目標にしてないからかもしれません。まさにそのトップランナーの水口哲也も、地球規模で面白いことであればいいということをいつも描いていると思うんです。それは近くにいていつも感じることだし、僕自身その考え方にすごく感化されています。アジアであろうが、ヨーロッパであろうが、日本であろうが、インドであろうが…どこからでも面白い音楽が出て来て、”いいね!”ボタンが押せて。それで自分の明日が変わればいいわけで、そういうものがいっぱい出てくることを良しとしない感覚を持たないようにしています。

水口:名曲といわれる作品は世の中には沢山ありますが、例えば名曲100曲だけあれば生きて行けるという話だと、みんな昔の曲だけ聴いて、新しい曲を聴かなくなる筈じゃないですか。


 

リリース情報

元気ロケッツRepackage Album
「GENKI ROCKETS II -No border between us- Repackage」

2012年8月8日発売

GENKIROCKETS2_sj0807.jpg

初回生産限定盤CD+DVD
¥3,100 (tax in)
SRCL-8068〜69
※「Revive」Music Clip DVD付



通常盤
CD
¥2,800 (tax in)
SRCL-8070

amazon

LIVE情報

WEEKENDLESS

日時 : 2012年8月12日(日)START 14:00〜
会場 : 渋谷WOMB 東京都渋谷区円山町2-16

LINE UP:小室哲哉、VERBAL(m-flo)、RE:NDZ a.k.a.kz(livetune)、八王子P、DJ KAYA、元気ロケッツand more...

Interview

Live Report

Blog

ページの先頭へ

ホーム | プレスリリース | プライバシーポリシー | 広告に関しまして | お問い合わせ

  • facebook
  • ツイッター