ー 確かにバリエーションがすごく豊かなのに、バラけてはいないですよね。
最終的に歌詞は全部僕が書いたし、実際歌詞をスムーズに書きやすいイメージのものを集めたので、僕の基準というのが根強くありました。だからまとまりよく聴こえるかもしれません。
ー まとまりもそうですし、楽曲として美しく甘いものは甘いし、クレイジーなものはクレイジーという感じで、明確ですよね。
確かにそうかも。
ー 変な衒い(てらい)がないというか。
そうそう!もう、そういう歳じゃなくなりましたね(笑)
ー あはは、以前は違ったんですか?
昔は余計なことばかり考えていましたからね。でも今はメンバーが曲を持って来て、この曲はこういう曲なんだと理解したら、ああだこうだ考えている時間は短くなりました。「ロンリーボーイの話」だけドラムが打込みなので違いますが、あとは全部一発録りですし。
ー それがグルーヴ感に繋がるんですね。今回、このインタビューにいらっしゃってるのが須藤さんだから言うわけではないんですが、アルバムの中で特に「この曲いいな」と思ったのは、実は須藤さん楽曲が多いんですよ。
やっぱり!僕は何か持ってるんですよー!!
<一同爆笑>
ー でもみなさんそれぞれカラーがあって面白いですよね。例えばインストの「ウルティン・ペリン」を聴いてから「バタフライ」を聴くとやっぱり宮川サウンドだなと思うし。
また宮川だよー!またかよー!って?(笑)
ー いやいやいや!違いますって!! 宮川さんの曲も好きですからね!! そんなこと言ったら次に宮川さんとお会いしたら目を合わせられなくなっちゃうし(笑)
あはは、大丈夫。彼は優しいですから。
ー 名前を「みやがわ」って言わなければ?
そうそう。「みやがわ」って言うとすっごく怒りますからね(笑)ちゃんと「みやかわ」って言わないとね。
ー ところで先ほども言われていたように、歌詞は須藤さんが書かれていますが、詞の世界観がマザーグースみたいで面白いですよね。コワい部分があったり、他愛なさそうな歌詞のくりかえしが、矛盾に対しての哲学があるというか。
たしかに僕自身、そういう世界観が好きです。最近はあまり読まないですが、特に20代の頃は色々影響を受けて本とか読んだりしました。
ー 具体的には?
J・D・サリンジャーとか、グリム童話とか。僕は絵本が大好きなんですよ。多分そういうところなんでしょうね。日本人だと太宰治には影響受けました。
ー だからいわゆるロックの反骨精神みたいなものというよりは矛盾だったり意味があるのか、逆に深いのか分からないようなものが多い気がしました。
よく分からないという中に、「もしかしたらこういうことを言っているのかな?」という位のものを感じる方がいいんですよね。はっきり物事を言うことに対して照れがあるというか、 その方が僕の性に合っているんです。ふわっと香る位の方が好き。
ー 多分、そういう歌詞の作り方だから人によってとらえ方も色々かもしれませんね。
そう思います。そうやって色々な人が様々な角度からとらえてくれたものを僕がライヴのアンケートとかで意見を聞かせてもらった時に、あらためて自分を知るというか。だから逆に教えてもらったりします。