2010年、兵役のために歌手活動を2年間休止したシンガーソングライターKが、2012年日本での活動を再開した。そして兵役に就いた日数をタイトルにしたミニアルバム『641』には2年間の様々な想いが詰まっている。その後ホールツアーなどもこなし、今年12月4日にニューシングル『Christmas Time Again』をリリース!Kが贈るとびきりのChristmas Love Songの話は勿論のこと、mFoundとしては約3年ぶりのインタビューなので、現在のKのパーソナルな部分にも話を広げ、想い出のクリスマスや、尊敬する人についても語ってもらった。
ー ご無沙汰しています!おかえりなさい。
ご無沙汰しています!最後にお会いしたのはいつでしたっけ?
ー 2010年11月、活動休止前のラスト・ライブ【live K in 武道館】です。
じゃあ約3年ぶりですね。
ー ええ。でもあまり雰囲気は変わっていませんよね。
最近、髪が少し伸びてきたので確かにあの頃と近い雰囲気かもしれません。
ー mFoundとしては本当に久しぶりなので、少しさかのぼったお話からお訊かせて下さい。1年10ヶ月の兵役を経て日本に戻ってきた時はどういう心境でしたか?
最初は早く日本に戻りたいという気持ちしかなかったんです。でも実際戻る直前になった時、ちゃんと活動出来るのか心配でした。そこに対するリアリティが強くなってくればくるほど不安はありました。日本で活動していた時と同じように歌えるのかなって。一応軍隊では軍楽隊という音楽が出来る部隊だったんですが、そうは言っても「お客さんの前で歌うということを忘れていなかったのかな?レコーディングはちゃんと出来るのかな?」という気持ちがどんどん大きくなっていきました。今はもはやそういう不安もなくなりましたが、当時はすごく感じていました。
ー 兵役中、軍楽隊でテナーサックスを担当されていたんですよね。
はい。
ー それまでテナーサックスの経験は?
初めてです。基本的に決められた役割は絶対なんですが、最初にテナーサックスかクラリネットのどちらかを選ばされて。でもクラリネットはその後使うことはないと思ったし、ブラスやホーンセクションのことを考えるとテナーサックスの方が良いかなと思い、選びました。ただ、やはり吹いて音を出すという楽器に対しての慣れがなかったのでそこは大変でした。
ー Kくんはピアノですもんね。
そう。だから指は案外早く動くのかと思ったんですが、感覚的には全然違いました。
ー 日本に戻ってきてからテナーサックスは?
全く吹いていません(笑)。まずテナーサックスを持っていないので、今は触ること自体ないです。でも軍隊ではずっとやっていたので、例えばテレビなどでテナーサックスの演奏を観ると親近感が沸いたりします。「あぁ、こういう風に吹いていたな。」とか「きっとこのフレーズは難しいんだろうな。」とか。
ー そして日本に戻って今年5月リリースしたミニアルバム『641』ですが、このタイトルは兵役の日数なんですね。
そうです。641日間。「今何が一番リアリティがあるだろう?何を一番素直に言えるだろう。」と考えると、軍隊へ行くことになってから思った心境や感じた気持ちが一番素直に表現できることなんじゃないかなと思ったんです。だから『641』というタイトルも含め、その部分をテーマにすることが一番ぴったりでした。
ー その『641』に収録の“ハラボジの手紙”も反響が大きかったですね。
嬉しいです。僕のおじいちゃんが、亡くなったおばあちゃんに毎日手紙を書いているのを見てとても素敵だなと思ったんです。二人への恩返しの意味も含めてこの楽曲を書きました。
ー おじいさんはこの曲を聴いて、どんな感想を持たれましたか?
僕が軍隊に行く前に聴かせたんですが、その時は「恥ずかしい。」て言っていました(笑)。でもそのおじいちゃんも今年の6月に亡くなったので、聴いてもらうことは勿論ですが亡くなる前に完成して発売することが出来たのは良かったです。
ー きっと天国でおばあさんに「孫がこういう曲を作ってくれた。」って報告してるんじゃない?
ね!そうだと嬉しいです!!
ー そして今回、12月4日にNew Single『Christmas Time Again』をリリース。『Christmas Time Again feat. K』として WAZZ UPが10月にリリースされていますが、作詞がWAZZ UPで作曲がKくんとWAZZ UPのJUNEさん。
はい。最初はJUNEくんと僕で、僕の家で作り始めたんですがその時はそこまで歌詞のイメージはなくて、ただ単にハッピーなクリスマスソングを作りたいというところからスタートしました。それでWAZZ UPも僕も同時に出来たらいいなという想いで最初は作っていましたが、彼らのヴァージョンが先に形になったので、それを聴いたうえでリアレンジをする流れになりました。
ー WAZZ UPのヴァージョンは、ラップも入っていてアップテンポな仕上がりですが、それに対してKくんのヴァージョンは、あたたかいクリスマスナンバーに仕上がりましたね。
彼らと違うヴァージョンをリリースする時に、何が一番大切なのかはすごく考えました。勿論メロディと歌詞で伝えたいメッセージというのは軸にあるんですが、僕の場合はオリジナルではあるけれど、カヴァーをしている感覚で出来たらいいなと思ったんです。そう考えたら、彼らが表現したところの違う部分、可能性を探っていく作業をすごく気楽に出来たんです。それは音楽というよりはまるでゲームみたいな感覚。あとは暖かみかな。どうやれば暖かみを出せるかというのを、昔のクリスマスソングとかを聴きながら研究しました。