ー 平和に対してのリアリティを知ったからこそですね。
そうです。だからもし「平和になることって何ですか?」と質問されたら、今や答えたくもないし答えられない。以前は答えがなくても何とか喋ろうと自分なりに考えていたんですが、今は正直に「僕は分かりません。」と言いたいです。
ー それも答えですからね。
そうそう。だからそういうことも素直に楽曲に入ればいいかなと思っています。
ー 曲の話に戻りますが、 “Christmas Time Again” ではピアノの音色でしたが、 “君と僕の部屋” はオルガンやホーンも多用されていて音としては厚みがありますね。
歌詞を始めに作るのですがメロディをあてる時、最初はブルースまではいかないけど、少しブルージーな音でメロディを作っていたんです。だからアレンジの時もブルージーなところに焦点を合わせました。
ー 確かに仕上がりとしてはとてもポップなんだけれど、軸のリズムがブルースというかゴスペルっぽい印象を受けました。
確かにゴスペルに近いかもしれないです。
ー コーラスもかなり厚めですよね。
あのコーラス、実はライヴでお客さんに歌ってもらったんです。
ー そうだったんですか!
そう。毎箇所毎箇所録音しておいて、それをレコーディングの時に差し込んだんです。オケがない状態で音を録ってもらったので、どうなるかなと思いましたが意外にみんなついてきてくれて嬉しかったです。
ー それは最初からこの曲に使用するということを伝えてあったんですか?
はい。練習してもらう時から12月リリースになる作品にみんなの声を入れたいということを伝えました。
ー みんなのコーラスを入れたいと思うきっかけは何かあったんですか?
今年の2月、シンガーソングライターのRakeさんと一緒にイベントをやった時に彼のステージを袖で観ていたんですが、Rakeさんの楽曲ってお客さんが一緒に歌ってもらうタイプがすごく多くて、それがとても自然な感じがしたんです。今迄自分の楽曲の中でお客さんが自然と歌えるようになる楽曲はあったんですが、あえてお客さんに歌ってもらうために作るということはなくて。それで、そういう楽曲があっても良いかなという気持ちもありました。最初、そのレコーディングを会場毎にやっていた時に、「どういう形になるんだろう。」という部分で心配もあったんですが、録った音を全部聴いてみると結構綺麗に入っていて。だからこれは良い形になるだろうと実感できました。多分これが1カ所、2カ所だとそんなに形にはならないと思うんですが、15カ所以上の声なのでしっかり形になりました。だから男性の声も入ってるでしょ。
ー 入ってました!こうやってファンの人達と作り上げたものが作品として残るというのはすごく良いですよね。
そう思いました!
ー 歌詞も、一見すると恋愛ソングだけど、それこそライヴでのファンとの関係性にも感じられました。
ライヴの最中に書いたということも大きいかもしれません。ライヴでみんなも歌いながら歌詞のように思ってもらえたらいいなということも、意識のどこかにはあったと思います。
ー Kくんにとっての今年思い出に残っていることを3つ教えて下さい。
今年6月、日本に戻ってきてから初めてホールライヴをやらせてもらったことはやはり大きかったです。やっとみんなに「ただいま」って言える環境で色々な方が来てくれて、そこで描いていた音楽が出来たというのは今年振り返っても特に強い印象が残っています。
ー たしかにそうですよね。では2つ目は?
これはこの先のことなんですが(取材時)、11月16日が僕の誕生日なんですがその日は弾き語りライヴの最終日なんです。だからきっとみんなに祝ってもらえると思うと楽しみです(笑)。
ー あはは!
それと、3つ目はこのインタビューの掲載時には終了していますが、寺岡呼人さん主宰のイベント<Golden Circle>で、寺岡さんから「ピアニストとして弾いてくれないか?」というお話をいただいたんです。本当に錚々たる顔ぶれのアーティストが勢揃いという感じで、小田和正さん、Mr.Childrenの桜井和寿さん、ゆずさん、植村花菜ちゃんなどなど出演されるんですが、バックで誰かを支えるということが初めての経験なんです。この先あるかどうかも分からないし(笑)。特に小田さんの後ろで小田さんの生声を聴きながら演奏するというのは相当良い経験だと思います。
ー 確かに自身のライヴとは全く違いますからね。
自分でピアノを弾き、歌を歌うということは自分がすべてを引っ張っていけば良いけれど、やはりバックで弾くということになると、自分が出るところと出ないところをハッキリさせないといけない。みんなで演るライヴなので。その部分にはすごく気を遣いながら、音ひとつとってもバンッて弾くだけれはなくて、全ての人の歌や演奏に神経を注ぎながら演奏をするというのは相当大変だと思います。だからリハーサルをしていても、体が疲れるということはないけど、精神的に緊張するシーンは多いです。今日もこれから帰って予習復習です!勿論楽しいですけどね(笑)。
ー そうやって緊張することも多いと思うけど、最近のリラックス法は?
最近、観葉植物を飼っています。
ー 飼ってる?(笑)
そう!
マネージャー:育てるじゃなくて、飼ってるって言うんですよ(笑)。
ー そうなんですか(笑)。
観葉植物に水をあげたり、葉っぱを拭いてあげたりするのは一番リラックスしますね。今、6個くらい位大きい鉢があって。
マネージャー:それジャングルでしょ?
<一同爆笑>
パキラとかモンステーラ、あとはエバーフレッシュとサンセベリア!