ー リアレンジの一番のポイントはどこでしょうか?
一番のポイントは人間臭さです。僕の音楽はすごくキラキラしていたり、すごくエッジが効いているものではないと思うんです。もっと素直に表現できる音楽なのかなと思っています。今回の作品も人間臭さをどうやって表現できるかということに集中して作ったので、打ち込みではなくメンバー全員が同じタイミングでせーの録りをすることなども心がけました。
ー トイピアノも入っていましたね。
最近ライヴでよくトイピアノを使っているんです。生楽器にすごくこだわっていて、その中でも新しい音色を入れようかなと。とはいえ普段から良く使っているし、それがライヴ以外で形になればいいなと思って入れました。
ー WAZZ UPとは普段から仲良いの?
彼らは事務所の後輩ということもあり、仲は良いです。一緒に飲みに行って音楽の話やプライベートの話をね(笑)。
ー ちなみにこの曲がクリスマスソングということで、Kくんの思い出のクリスマスを教えてもらえますか。
中学生、高校生時代は教会に行っていたんですが、教会だとクリスマスイブに老人ホームとかへ出向いて演奏したりするんです。その教会のバンドみんなで一緒にワイワイしながらクリスマスソングを演奏していたことはやはりすごく想い出に残っています。きっと僕の音楽のルーツはそこにあるんじゃないかな。ポップスに対しての価値観もその時出来上がったものでもあるので。賛美歌を基にしたゴスペルとかも当時、耳コピしていました。
ー 韓国と日本ではクリスマスの雰囲気が全然違うのかな?
どうだろう。韓国はクリスチャンの方が多いので、イブに教会に行って過ごすという点では違いがあるかもしれないけれど、恋人や家族と過ごすという意味ではそんなに変わらないんじゃないかな。結局、欧米のものがそのまま入っているし。
ー そっか。でも日本のクリスマスは妙に街が浮かれていたりするよね。荘厳さがないというか(笑)。
あー、それはあるかな。きっと海外の人からすると、「何でこんなに街が華やかなんだ?」とは思うかも(笑)。
ー 25日過ぎると突然お正月モードになるし。
そうそう!(笑)NYとかは1月過ぎてもそのままツリーを残したりしますからね。
ー 久しぶりに日本に戻ってきて、客観的に日本の音楽シーンの変化は感じましたか?
日々流れているので、多分変化はあると思うけどそれに対しての違和感はなかったです。それと、これは日本の話ではなく世界の音楽シーンに対しての話ですが、バンドというかシンガーソングライター系の人達が新たにどんどん出始めているとは感じます。UKもそうだけど生楽器を全面に出してる人たちがブレイクしてきているなと。
ー 今、Kくんがハマッている音楽は?
最近のミュージシャンというわけではありませんが、これから(取材時)ポール・マッカートニーが来日するじゃないですか。僕は大阪公演を観に行く予定なんですが、その前にもう一度聴いてみようと思っていて最近ポール良く聴いています。やっぱり今聴いても彼の曲は完成度が高いんですよね。今風な部分もあるし、ひとつのサビの中でも色々な表現があるので、1曲の中でサビがいくつか存在するという感じがします。バックで鳴っている楽器ひとつひとつにテーマがある。きっとそれがポールの作り方だと思うんですが、やはり凄いです、あの人は。
ー c/wの“君と僕の部屋”は作詞作曲ともKくんですが、すごく暖かいナンバーですね。
ありがとうございます。
ー「部屋」がひとつのキーワードになっている気がしましたが、改めてテーマを教えていただけますか。
今は時代がすごく良くなっていて、何か情報を欲しいと思った時、昔なら足を使って探しにいかなければいけなかったけど、今やパソコン1台あれば全部出来てしまう。まぁそれが善くもあり悪くもありではありますが。僕も自分の作業部屋って音楽を作るだけだと思っていたんですが実はそうではなくて、パソコンを使ってニュースや今流行っているものを調べたり、自分が興味あるものを観たりショッピングもする。気がついたら、その全てを作業部屋で行っていたんです。だから全てがそこから始まってそこで終わるという感じがして。そういう考えがあったので、「部屋」をテーマに曲を作りたいと最初に考えました。
ー なるほど。
それと、昔は自分の歌で世界を変えたいと思っていましたが、今思えばとてもそういうことは出来ない。自分の歌を一緒に歌ってくれる人はいても、世の中を変えることはきっと出来ない。でもひとりひとり、気持ちが変わっていけば良いかなと。
ー 今は世の中を変えることが出来ないと思うようになったきっかけは何かあったんですか?
昔は「平和」をテーマに曲を書きたい、歌いたいと思っていました。でも軍隊に行くと戦うことや人の生死をリアルに考えたり感じるシーンがいくつもあって、その時「平和って何なんだろう?」と考えたんです。そうすると「平和」という言葉を使うこと自体すごく難しいし、自分は簡単にそこをテーマには歌えないと思ったのがきっかけでした。だからそれ以降は大きなことを歌わずに、身の回りのことを歌っていく大切さに集中したいと思えるようになりました。