「NEXT BREAK」最初に注目したいのは見田村千晴。私が彼女を最初に観たのは2011年。タワーレコード「Knock in'on TOWER's Door」で準グランプリを獲得した時のライヴ。剥き出しの感情を掻き鳴らすギターと、力強さの中に見え隠れする繊細な歌声。無駄なものは一切削ぎ落されたシンプルさが魅力的だったことを覚えている。そして同年6月に1stアルバム『いつかのように』をリリースし、9月にはユニクロ「ヒートテック」CM「シンガーソングライター」篇に出演と話題を呼ぶ中、昨年アルバム『ビギナーズ・ラック』でビクターエンタテインメントよりメジャーデビュー。そして4月16日にリリースのメジャー・セカンド・ミニアルバム『寝そべった夕暮れを切り裂いてバスはゆく』への想いや、見田村千晴という人物像について訊いてみた。


ー メジャー・セカンド・ミニアルバム『寝そべった夕暮れを切り裂いてバスはゆく』ですが、これは“もう一度会ってはくれませんか”の一節だとか。

そうです。単純に “もう一度会ってはくれませんか”の、その一節が気に入っていたということもありますし、今回収録した曲たちが、夕暮れや夕焼けのように一瞬で変わっていく心の揺れや、見落としがちな感情と感情の間みたいなところを切り取った7曲だなと思ったので、タイトルにしました。


ー そういう部分は当初からコンセプトに置いていたのですか？

いえ。元々コンセプトを決めて作り始めたわけではないのですが、出来上がりを観た時にそう感じました。


ー 昨年リリースしたメジャー1stミニアルバム『ビギナーズ・ラック』と比べると今作はサウンドも全体のアプローチもシンプルな気がしました。

意識的にそうしたわけではないですが、今作はより自分の「内側」に向かっている気がします。


ー 1曲目の“レプリカ”ですが、イントロのギターやAメロはすごくポジティブなのに、歌詞をみると「ビンのふたが開けられなくて泣いた」「携帯が見つからなくて泣いた」と、ミニマムな世界が描かれていますよね。それがもの凄くリアルに我慢してた感情が決壊した瞬間をとらえていますよね。

ありがとうございます。そうですね、別にビンのふたが開けられなくて泣いているわけではない（笑）。


ー そうそう（笑）

自分の無力さや小ささをふいに、もの凄く感じながらも、そういう感情を自分の中に積み重さねてしまった時、こういうちょっとしたことで気持ちが決壊してしまう。


ー 見田村さんも？

うーん、そうですね。ウジウジするかもしれません。大きく見ればすごくポジティブで客観的なんですが、小さいことを気にしたりもします。


ー この曲ではバンジョーを齊藤ジョニーさんが弾いてるとか。

はい。


ー ジョニーさんって、べらぼうに巧いですよね！

そう、べらぼうに巧い（笑）。へこみます。 本当に巧くてレコーディング中もずっと観ていました。


ー 今回、齊藤さんにバンジョーをお願いするきっかけは何だったんでしょう。

齊藤さんとは対バンをさせていただいたこともあったし、プロデューサーの松岡モトキさんも齊藤さんと面識があったので「バンジョーと言えば齊藤ジョニーさんだよね。」ということでお願いしました。今回は作品全体として、弦楽器を全面に出そうというアイデアが出ていたんです。それでこの曲ではバンジョーだったり、違う曲では12弦ギターやエレキシタール、ギタレレなどさまざまな弦楽器をフィーチャーしました。


ー ただこの曲では、弦楽器だけではなく見田村さん自身がピアノを弾いたとか。

はい。元々打ち込みの音は入っていたんですが、 たまたまレコーディングスタジオにアップライトピアノが置いてあって、「やっぱり生音の方が良いよね。」という話になり、「弾く？」って言われて「弾きます！」って（笑）。だから完全に成り行きというか。


ー そういえばピアノは2歳頃から習っていたんですよね。

小学校高学年位まで習っていました。だからデモに入っていた打ち込みを耳コピしました。