ー SALUさんがリリックで一番重要視している部分はどういうことですか？

いつも一番心がけているのは、本当に思っている気持ち、心、本当の言葉というものを僕のリリックとして表現したいという部分です。何故なら詞を書くものとして以外の僕というのは、この社会に身を置いて色々な人と共に生きているわけですが、本当のことというのは、なかなか言えないというか。それは相手を傷つけたり、相手に嫌われたり、この先がうまくいかなくなるというのが沢山あるわけじゃないですか、人の数だけ。でも何も気にせず本当に言いたいことを言えるのが詞の中だけなんです。それが詞が詞である理由というか意味というか。だから僕は詞を書く時はなるべく本当に言いたいことに絞って、なおかつ今回はできるだけ多くの人に手にとっていただけるような言葉にしました。


ー HIPHOPというのは元来、社会への問題提示するリリックが多いと思うし、SALUさんの作品にも勿論それを感じるんですが、その中にある孤独というか、個人としての闇や寂しさ的な部分も感じました。

良いか悪いかは分かりませんが、そこはやはりリアルな人間としての僕が出ている気がします。


ー ひとりの人間としてのSALUさんは、ご自身ではどういう人間だと思いますか？

ズルくて勘ぐり屋だと思います。


ー えー、ズルいんだ（笑）

はい（笑）


ー ところで、曲によってアコギやパーカッションが効果的に入っていて、それがすごく新鮮に思えまました。

そうですね。OHLD君がピアノとヴァイオリンをやるので、 ヴァイオリンも入れました。あと「BUTTERFLY EFFECT」と「夢から醒めた夢」では鈴虫の音も入れてるんですよ。


ー え！鈴虫!? 気がつかなかった!!

そうそう。丁度それを録ったのが夏頃だったので、夜、外で鳴いてる鈴虫の音を拾って、小さく入れてあるんですよ。


ー サンプリングのCDを使うんじゃなくて、そういう部分もきちんと生の音を使ってるんですね!

そうなんですよ！


ー すごい!! そういうの大好き!!! さて今回、プロデューサーBACH LOGICさんとOHLD(7070PRODUCTION)さんのお2人がサウンド面で支えたということですが、具体的に制作というのは、どういう形で行うんですか？

まずBLさんの方は、彼が作ってくれたトラックを僕が宿題という形で持ち帰って、生活の中で歌詞を書く。それで書き上がったものをスタジオで録った段階で、初めてBLさんからの意見をもらうという形です。それはリリックの部分ではなく技術的な面なんですが、例えば「この部分は下げるんじゃなくて、上げる方がいいんじゃない？」とか「ここは繋げたほうがいいと思う」とか。それをどちらもやってみて良かった方を採用します。その後、BLさんが若干トラックをアレンジして終了。


ー なるほど。OHLDさんはどうですか？

OHLD君の場合は、まずスタジオに行ってちょっと雑談しながら、OHLD君がピアノを弾いたりやビードを打ってくれて、それを僕が横で聴いてセッションします。その場で出て来た音に対して、その場で出て来た言葉をのっけます。


ー それってFreeStyle（即興のラップ）っていう感じ？

FreeStyle＋αというか。トラックが出来上がるまで、大体3時間位かかるんですが、その間にFreeStyleで、僕が思ったメロディや言葉をある程度出しておいて、それを形にしていきます。で、その日録ったトラックを帰ってから聴いて、それぞれ手直ししながら、またスタジオで録るという感じなので、まったくパターンが違いますね。


ー それって、SALUさんとしてはやりづらくはないの？

ないですね。どっちも好きだし、それぞれ合ったやり方だと思います。


ー BACH LOGICさんとOHLDさんはそれぞれ、どういう部分を大切にしますか？

OHLD君はグルーヴで、BLさんはバランスだと思います。 これは僕の勝手な見解ですけどね。


ー HIPHOPと一口で言っても、その中でシーンやスタイルというのはかなり分かれてくるものですか？

そうですね。HIPHOPを普段あまり聴かない人達にもすごく聴きやすいアプローチをしている人達もいますし、それこそコアにやっている人もいて、本当の意味で今は何でもありという感じなので、僕はすごくいいことだと思っています。