ー さて、作品のことを改めて伺いたいのですが、“ボーリング”は「面倒臭ぇ」っていう歌詞がとにかく印象的で、仲間とボウリングに行きたいと心情がリアルに描かれていますね。
(ボーリングを投げる仕草をしながら)本当にボウリングが大好きなんです。このツアー中にもツアークルー達と北海道でボウリングをやりました。
ー 成績は?
成績はあまりよくなかったです。ドラムのよっちは上手でしたけど。
ー じゃあ、仕事で煮詰まってきたりするとボウリングをやりたいと思っちゃう?
はい。遊びの象徴というか。だから例えばそれがカラオケでもダーツでも良かったんです。でも、「ボーリング」という言葉は英語で「つまらない」という意味もあるんです。
ー そうなんだ!
はい。それに「(何かを)掘り下げる」という意味もあって。
ー 建築のボーリング作業はまさにそっちだね。
そういう言葉の面白さもあったので、わざとカタカナにしました。英語だと綴りが変わってきてしまうので。
ー それは面白いね。もうひとつ面白いと思ったのは、この曲で「それでも頑張ろう」的なポジティブアプローチが全くないということ。無理に答えを見いだしたりポジティブにするのではなくて、ただひたすらこういうことを歌っている。絶対こういう曲があってもいいですよね。
そう言ってもらえると本当に嬉しいです!それって、イコール高橋優が生きていていいと言われること位嬉しいです。僕も意図的にこういう歌詞にしたというよりは、衝動的に書いただけなので「“だから頑張ろう”は皆さんの心の中に」なんて全然思っていなかったし、本当に「面倒臭ぇ」って言いたかっただけの曲ですから。
ー でも、努力しなくてもどうにかなりたいというのは、きっと誰もが思っていることだよね。私なんか毎日思うもん!
本当ですか?それはいけませんねー(笑)
ー あ、やっぱり?(笑)
でも僕もすごく思います。
ー でも実は、“ボーリング”と“夜明けを待っている”は、歌詞こそ違えど、そこに込めた願望は同じような気がするんですよ。つまり、自分の愛する人や自分自身が笑っていられることが大切で、そこに大きな博愛を歌っていないという点で。
それは多分一環してあると思います。この二曲に関わらず、高橋優の曲にはそういうものが多いかもしれません。時にそこが暑苦しいと言われてしまう部分なんですが(笑)、色々な人の協力を経て不特定多数の人達に発信され、まだおじゃましたことのないCDショップでも置いていただいて。その状況はすごく嬉しいですし有り難いですが、僕自身が曲を書く時は手を伸ばせば届く距離にいる人達のことしか考えられないんです。だからどうしてもそういうことがテーマにはなります。普段感じていること、よく観ているもの、聴いているもの。だから闇雲に「みんなへ」というよりは「どこかで聴いてくれているあなたへ」というようにテーマは絞られてきます。
ー もうひとつ気になったのは、“夜明けを待っている”の「深刻な事件の概要を書いている原稿を読んでる ニュースキャスターはきっと心を込めてくれてるのに 僕ときたらうわの空で聞いてる 」という歌詞です。2ndアルバム『この声』に収録の“雑踏の片隅で”では、ニュースキャスターが様々な事件をオートマティックに次々と話題をかえるという描き方をしていたし、以前の取材でもそういうイメージで世の中の移り変わりの早さなどを語ってくれていたと思うんだけど、今回「ニュースキャスターはきっと心を込めてくれてる」と表現したのには、高橋優自身に何か気持ちの変化があったのかな?
キャスターという存在は僕にとって、外の世界と自分とを繋ぐホットラインというか、メッセンジャーのような役割だと思っているんです。例えば戦争でも小さな盗難でも何でもいいんですが、何かひとつの出来事があった場合、それを観たり聞いたりした人がいて、その状況を原稿にまとめる人がいる。ニュースキャスターの口から飛び出るまでにはそういうのを経てるわけじゃないですか。今迄僕は、TVで観たものをどこか信じていない部分があったんです。本当にTVで悪役にしようとしている人が悪役なのか?ヒーローとされている人が本当にヒーローなのか?というのが半信半疑で。でも、だからといって、それを伝える為に原稿を読んでいる人にもその人の一生があって、原稿を書いている人にも、状況を観て届けたいと思っている人達にも一生があり、意思やプライドがある。そういうのも、自分自身ここ二年位でTVに出させていただいたりする中で学んだような気がするんです。多分ずっとただ観るだけの立場でいたら「心を込めて読んでくれているのに」という言葉は出てこなかったと思うんです。でも、実際原稿を読む方々や書く方々ともお話をするようになり学んだ。今、こうやって僕が話していることも原稿になってその文字を誰かが読むわけじゃないですか。
ー そうそう。
その時にはこの話の臨場感とはまた別のものがネットの中にあると思うんです。こうやって、話す相手の目を見れば、その人の気持ちや考え方があるのも分かる。そういうもの全て含めて、 “夜明けを待っている” では、どっちが良い悪いではないと思った時に、キャスターの想いみたいなものを何となく僕自身が意識したんだと思います。
ー “今、君に会いにいく”は、 アップテンポでとても軽快なんだけど、歌詞の愛情深さにツアー初日のライブレポートでうっかり泣いてしまいそうになりました。(笑)
本当ですか!
ー 自分が頑張っている時に、僕に頼って的なことを言われると、箍が外れたような気分になりますからね。あと、大切に思っている人が元気ない時って、どうしよう、何ができるだろうとかすごく思いますね。
この曲は自分の気持ちを 所狭しと網羅した感じです。(笑)。
ー やっぱりメールじゃなくて電話で慰めたい?
電話より会いに行きたいです!
ー おー!!あと高橋優の曲は息継ぎをどこでするんだろう?と思うほど言葉をぎっしり詰めた作品は色々あるけど、この曲もそういう一曲だと思うし、その分ライブ感を感じました。
実はこの曲、一発録りの上に、試しでやってみたテイクなんです。
ー え、そうなの?!
はい。勿論、カントリーテイストでやろうという話し合いはしましたが、コード進行以外は殆ど何も決めずに、冒頭の「ハイ、ワン、ツー、ワンツースリーフォー」の後はそのまま一発録り。他の曲では実験的に色々な音を重ねたり減らしたりしもしましたが、この曲だけはそういう形なので、ライブとそんなに変わらないと思います。曲の方向性だけ決めて、あとはみんなでバンってやってみるのも曲によっては良いアプローチになると感じました。一発録りはこの曲で初めて体験したので。
ー そっか。
はい。今迄は結構緻密に構築していましたし、サウンドプロデューサーの浅田さん(浅田信一)もいますから、浅田さんが考えて作ってきたものをみんなで肉付けしていく作業がメインだったんです。でもこの曲は骨組みも何も考えないでそのままやったら出来上がってしまったという、自分達の中でも面白い現状でした。
「僕らの平成ロックンロール②」
2012年12月26日発売
初回限定盤(CD+DVD)
WPZL-30492/3
¥2,415(税込)
初回限定盤特典:DVD~【MUSIC VIDEO】「ボーリング」「夜明けを待っている」「発明品」
【ボーナス映像】MVメイキング+マル秘映像
通常盤(CD)
WPCL-11273
¥2,100(税込)
※初回プレス特典(通常・初回共通):同時発売DVDとのW購入応募特典
収録楽曲
1.ボーリング
2.夜明けを待っている
3.今、君に会いにいく
4.昨日の涙と、今日のハミング
5.微笑みのリズム
6.発明品
7.I LOVE YOU
同時発売 初のLIVE DVD
「高橋優LIVE TOUR~この声って誰?高橋優じゃなぁい?2012 at 渋谷公会堂2012.7.1」
2012年12月26日発売
初回プレス盤
WPBL-90200/1 ¥5,775(税込)
【DISC1】
序曲
蛍
終焉のディープキス
誰がために鐘は鳴る
雑踏の片隅で
HITO-TO-HITO
気ままラブソング
福笑い
あなたとだから歩める道
8月6日
ほんとのきもち
一人暮らし
サンドイッチ
誰もいない台所
絶頂は今
蓋
頭ん中そればっかり
現実という名の怪物と戦う者たち
こどものうた
想いよ、届け
卒業
【DISC2】
<ENCORE1>
陽はまた昇る
花のように
セピア
<ENCORE1>
素晴らしき日常(弾き語り)
<BONUS VTR>
ドキュメンタリー LIVE TOUR“この声って誰?高橋優じゃなぁい?2012”
●初回プレス特典(通常・初回共通):同時発売CD&DVD 連動特典応募シリアルコード封入
特典1:“一夜限りの全曲未発表曲弾き語りライブ”100名様ご招待(応募抽選)
特典2:応募者全員に届く“スペシャルフォトブック~29歳最初の高橋優”
●三方背ケース+ツイントレイパック仕様
COUNTDOWN JAPAN 12/13
12月29日(土)幕張メッセ国際展示場1~8ホール、イベントホール
※高橋優は29日(土)17:20~GALAXY STAGE出演となります。
NAGASHIMA COUNTDOWN&NEW YEAR’S PARTY 2013
12月31日(月)ナガシマスパーランド内 大観覧車前特設ステージ
【出演】girl next door/CLIFF EDGE/BRIGHTG/
KingrassHoppers/Rihwa