ここのところ、高橋優が勢力的だ。第二期高橋優と言っても過言ではないかもしれない。昨年、シングル『(Where’s)THE SILENT MAJORITY?』をリリースして以降、更に自分の言葉や感情に素直に向き合い、変化に対して恐れることなく挑戦し続けている。先に言ってしまおう。8月6日にリリースされるニューアルバム『今、そこにある明滅と群生』は最高だ。今迄「高橋優」というミュージシャンを聴いてこなかった人にも是非聴いて欲しい1枚であり、もっと言えばそこから遡り様々な高橋優作品を聴いてもらいたい。そうすればきっと彼がひとところに留まり、現状に満足する人間ではないことが分かるはず。今回は、そんな高橋優に、渾身のアルバムについて、また自由についてなど、たっぷり語ってもらった。
ー 5月にシングル『太陽と花』をリリースして、今回8月6日にニューアルバム『今、そこにある明滅と群生』をリリース。『太陽と花』リリースイベントや、その他イベントも多い中で、レコーディングは大変ではなかったですか?
僕は全然大丈夫だったんですが、スケジュールを調整してくれたスタッフは大変だったと思います。
ー 曲はずっと作っていたの?
同時進行でした。だからスタッフは余計ややこしかったんじゃないかな(笑)。例えば、5月末までに僕が曲を作らなければいけないという日程を出されていても、出来ない。そういうことが何回かあって、その都度スケジュールがズレたり、1度だけ声が嗄れて後日レコーディングをし直したり。でもそれは僕が大変なのではなくて、それに合わせて動いてくれたスタッフの人たちが、迅速な対応をしてくれたお陰で上手くいったと思います。
ー レコーディング自体はどうでしたか?
レコーディングは毎回すごく楽しいです。でも今回のレコーディングが今迄で一番楽しかったな。一番大変でもあったけど。
ー 大変だったのは、どういう部分で?
今迄は浅田信一さん(サウンドプロデューサー)がいたじゃないですか?
ー はい。
浅田さんが牽引してくれるというか、道しるべになってくれたんです。迷えばアドバイスしてくれる。要はすごく前の方にいる人が、いつも導いてくれたんです。でも今回はエンジニアや編曲担当の池窪浩一くん含め、全員がほぼ同世代だったんです。
ー そうだったんだ。
だから、それぞれの立ち位置から最善の意見を出し合うんです。例えば、僕はそのメンバーの中で一番感覚的な人間なので、「同じリフが続いてるのはカッコいいじゃん!」って言うと、音楽的に詳しい池窪くんは「それだと、ここの音と音が合わなくて駄目なんだ。」となる。それに対してエンジニアの人は「MIXすれば、ここはこういう音になるから、こっちの音を混ぜたらいいんじゃないか?」って。三者三様の立場から話を出来るんですが、でも毎回そこに答えはないんです。みんなで答えを作っていかなくてはいけない。だから、分かっている方向にみんなで歩いていくというよりは、「こっちなんじゃない?いや、こっちかも?」って話して擦れ合いながらにじり寄っていくような感じでした。良いと思える方向に、ちゃんと信じた方向にちょっとずつちょっとずつにじり寄っていくような作業でした。
ー じゃあかなり空気が重くなる時もあったのでは?
空気が張りつめるシーンは何回もありました。「どうしよう?」となった時に、みんなで真剣に話し合うんですがそれもひっくるめて僕はすごく楽しかったです、本当に。良い経験をさせてもらったと思うし。ただ、楽ではなかったです。すごくしんどかった。
ー 今作のタイトル『今、そこにある明滅と群生』は、まるで小説のタイトルみたいですよね。
確かに。
ー アルバムを通して聴くと、このタイトルに納得出来る部分が多かったんですが、今回はタイトルから決めたんですか?それともテーマから?
曲が全部揃った段階でタイトルを決めました。だから今のご質問で言うと、テーマからになります。
ー ということはテーマに沿った楽曲を作ったということ?
そういうわけでもなかったんですが、出来た作品が結果的に同じテーマに沿っていることに後から気がついたんです。
ー では改めてそのテーマを教えてもらえますか。
テーマは、あえて光を探すのではなく、自らが照らせる闇を探すこと。これは“パイオニア”の歌詞なんですが、自分の生き方も含め、そこが一番根っこにあると思います。
ー ある意味 “パイオニア” という作品が優くんにとって、それだけ重みがあるものだったということ?
“パイオニア” もそうですが、“旅人”でもそれを連想させる言葉を沢山散りばめていて、「痛み分ち合えるって 光に思えた」とか「傷つけられるより 傷つける方が痛い」という歌詞は、他者との関わりの中で自分が実感したことなんです。だから全部元の元を質していくと、その言葉になっていくんです。勿論 “パイオニア” も自分の中では大切な曲ですが、『太陽と花』でも、自らを焼いて草木が花を咲かせるということを歌っている。更に言えば、その草木も自分の体を枯らしてまた胞子を飛ばすじゃないですか。世の中全てが、そういうことで成り立っている気がするんです。誰かがいて、その人の存在で、また別の誰かが成立している。だからたったひとつのことでは何も成立出来ない。明滅しているもの達というのは、星空でもあるし、僕らそのものでもあるんです。
ー なるほど。そういえば『太陽と花』の取材で、16歳の頃から言いたいことは変わっていないと言っていましたよね。
ええ。
ー 少なくともこうやって取材をさせてもらうようになってからの約4年前、確かに優くんの持つ「軸」は変わらないと思うけど、挑戦し続ける姿も感じるし、1曲目の“BE RIGHT”を聴いた時にその変化を感じました。
変化?
ー ええ。この曲の持つ歌詞観であれば、今迄だともう少し重いトーンや皮肉も込めたトーンでアプローチしている気がしたんだけど、こんなにもポジティブに表現しているのかと、正直とても新鮮に感じました。
確かに変化はし続けていると思います。根本にあるものは動いていないと思うけど、やはり自分自身は常に挑戦し続けて、そのチャレンジをやめてはいけないと思っています。この “BE RIGHT”は、アルバムの中で一番最後に出来た曲で、実はアルバムの1曲目にしたくて書いたんです。
ー 最初からそういう構想の元に?
いや、最初は「“太陽と花”が1曲目かな。」とか、「“裸の王国”が1曲目かな。はたまた“WC”を1曲目にしてはどうだろう?」と、アルバム制作チームからも色々なアイデアが出ました。でも自分の中ではいまいちピンと来てなくて、1曲目たる曲を作らなければと思っていたんです、ずっと。1曲目というのは、このアルバムを象徴する曲であるべきだし、そういう曲を書きたいと考えて“BE RIGHT”が出来ました。だから今の自分の一番新鮮な気持ちというか、まさに今思っていることを書いたような気がします。
ー 最近は人と会って話をするのが楽しいって言ってたけど、そういうことも今回の歌詞作りには反映されているのかな。
大いに反映されていると思います!以前と違って「実感」として書いているんです。
ー 実感?
「こうなんじゃないだろうか。」ということではなく、実感としてワクワクしている気持ちみたいな。例えば友達と「この後、一杯行こうよ。」って話す時のような気持ち。そういうワクワクって、誰かと一緒にやってみないと分からないじゃないですか。
ー ええ。
そういう時に抱く気持ちは人それぞれだけど、僕の中には「今日の夜、楽しくなりそう!」というワクワの予感があるんです。映画を観る前の予告を観ている時とかも。
ー 映画好きの優くんならではだね。
僕はあの瞬間が大好きなんです!たとえ不謹慎と言われようが、外国からミサイルが飛んで来るって報じられていようが、大好きなものに向かっていくワクワク感は持っていたっていいじゃないかって思うんです。 だから、 “BE RIGHT” はまさに今の自分の実感している、自分の中にある正直な楽しい気持ちを音にしたんです。
ー「なかなか既読にならないメッセージ 一つに縛られる気の毒なひとときをどんくらい過ごしてんだろう そのひととき一回につき1単語ずつ異国の言語を学べば バイリンガルにでもなれる気がする」という歌詞の発想も、面白かったです。
そういう発想とかも、自由でありたかったんです。あえて行ったり来たりしたかった。冒頭の「いつ何が起こるか分からないから 亀の甲を背負いながら生きてる人は」という歌詞も、ある意味おかしいですよね、亀の甲って(笑)。
高橋優
「今、そこにある明滅と群生」
8月9日発売
CD収録内容(初回限定盤/通常盤共通)
01. BE RIGHT
02. 太陽と花
03. 裸の王国
04. 明日への星
05. WC
06. 同じ日々の繰り返し
07. ヤキモチ
08. 旅人
09. 犬
10. パイオニア
11. おやすみ
初回限定盤DVD収録内容
1. BE RIGHT
2. 太陽と花
3.ヤキモチ
4.明日への星
5.8月6日
高橋優初のStudio Liveを収録!
レコーディングメンバーで1発録音を敢行、アルバムからいち早く4曲のライブテイクと、発売日を祝して人気曲「8月6日」を特別収録!
高橋優本人のアルバムインタビュー含む約30分のファン必見DVD!
初回限定盤CD+DVD
WPZL-30896/7 ¥3,400(本体)+税
10月17日(金)open 18:30/start 19:00
戸田市文化会館
10月26日(日)open 17:00/start 17:30
八千代市市民会館
11月1日(土)open 17:15/start 18:00
神戸文化ホール 大ホール
11月7日(金)open 18:15/start 19:00
札幌市教育文化会館 大ホール
11月16日(日)open 16:45/start 17:30
神奈川県民ホール
11月22日(土)open 17:30/start 18:00
仙台市民会館 大ホール
11月24日(月・祝)open 17:00/start 17:30
秋田市文化会館 大ホール
11月29日(土)open 17:30/start 18:00
富田林すばるホール
12月5日(金)open 18:30/start 19:00
郡山市民文化センター 中ホール
12月6日(土)open 17:00/start 17:30
駿優教育会館大ホール
12月11日(木)open 18:00/start 19:00
TOKYO DOME CITY HALL
12月19日(金)open 18:30/start 19:00
高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
12月20日(土)open 17:30/start 18:00
倉敷市芸文館
2015年1月18日(日)open 17:00/start 17:30
三重県文化会館中ホール
2015年1月25日(日)open 17:00/start 17:30
栃木県総合文化センター
2015年2月1日(日)open 16:30/start 17:30
愛知県芸術劇場 大ホール
2015年2月7日(土)open 17:30/start 18:00
福岡市民会館
2015年2月8日(日)open 17:00/start 17:30
鹿児島市民文化ホール第二
2015年2月11日(水・祝)open 16:45/start 17:30
NHKホール
2015年2月13日(金)open 18:30/start 19:00
金沢市文化ホール
2015年2月15日(日)open 17:00/start 17:30
新潟市民芸術文化会館・劇場
2015年2月27日(金)open 18:30/start 19:00
静岡市民文化会館中ホール
2015年2月28日(土)open 17:30/start 18:00
アステールプラザ 大ホール
2015年3月7日(土)open 17:00/start 18:00
大阪・フェスティバルホール