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高橋優『今、そこにある明滅と群生』インタビュー


ー 確かに(笑)。

そんなのミサイル落ちてきたら何の意味もないけど、そこで「亀の甲」って出て来るあたりが、高橋優たる部分なのかなと(笑)。先程の「バイリンガル」という部分も、決してそれをやれと言っているわけではなく、単純に自分の中での軽い例え話なんですが、そういう言葉を出すことや、「ドアノブをガチャッ」という音とか、そんな細かなひとつひとつに僕らしさが出ているかなと。でも意外と今迄出してきてなかったんですよね。ただ、「ここでそれ?!」と思われる言葉を出すのが、自分の持ち味かもしれないと思ったんです。だから、 “BE RIGHT”にはそういう言葉がふんだんに使われています。


ー そういうことが楽曲全体の持つ新鮮さに繋がるのかもしれないですね。でも、“裸の王国”では「今」を真っ向から皮肉ってる。

この曲も自分の中では新たな試みだと思います。


ー というと?

こんなにちゃんと、おとぎ話と現代社会をミックスさせる曲づくりをしたことがなかったんです。


ー なるほど。サウンドでも途中に入るコールが力強くて。

あの部分はスタッフみんなに叫んでもらったんです(笑)。


ー え、あれはスタッフさんの声?!

スタッフやバンドメンバー、エンジニアの手伝いをしている人、とにかくレコーディングスタジオにいる人はみんな呼んで、スタジオに入ってもらったんです。


ー それは面白い!

いいコールしてもらいました(笑)。


ー そのコールも含め、ギターや曲調もかなり攻めてるのに、最後の「すごかった まじ笑った はい終わり」の一言で全てを斬ってしまう感じが衝撃的でした。

残酷な言葉ですよね。


ー かなり。

僕が育つ過程の中で、僕の近くにいる人たちは「だから何?」って質問する人が多かったんです。


ー そうなんだ(笑)。

そう(笑)。「だから何?」って質問をする人って、すごく冷たいと思うんです。残酷だと思う。でもその質問に答えらるようになるのも、またひとつ大切なことだとも思うんです。現状の「だから何?」に対する答えは「ワクワクしたでしょ?」って逆に聞き返すようなことですが、もし「今こういう曲を書きました。歌います。歌いました。ライヴ2時間やりました。」ということに対し、「だから何?」って言われると終わっちゃうじゃないですか(笑)。


ー ですね(笑)。

でもそうやって訊く人というのは、多分何も感じ取れなかった人だと思うんです。それはある種すごく淋しいことだし、不感症というか感動する気持ちに鈍感になってる状態。この 裸の王国”を書く時に、どちらかというと不感症になりつつある人の視点がまずあったんです。


ー 不感症になりつつある人の視点?

人が言っている言葉ばかり聴こえてくる。「ほら見てごらん あれが今の流行だよ。分からないの?空気くらい読みなさいよ」って。でもそこで、「こう言っておけばいいんでしょ。でも別に、それ以上自分の生活に活きるわけじゃないですけど?」と言ってしまう。そういうことにすごく違和感を感じるんです。そういう現代に対して。


ー まさにそういう感覚は現代社会そのものかもしれない。

前回のアルバムで“スペアキー”という曲があったじゃないですか。


ー はい。

あの曲は逆説を並べたんです。自分の中で一度ラヴソングを書いたんですが、そのラヴソングがあまりにも面白くなくて(笑)、全部逆説で書いてみようという試みから始まったんです。


ー そうだったんだ!

だから、「早く出ていけ」みたいな言葉ばかりになってしまったんですが(笑)、この曲も本当であれば、そこに希望があるとか信じる価値があるとか、今僕らが住んでいる現代という時間を肯定的に表現する曲を書くつもりだったんです。でもまた逆説になっちゃったというか、「裸の王様」というおとぎ話になぞらえることによって、すごく皮肉な感じになっちゃって(笑)。


ー でもそこがいいんじゃない?世の中って肯定出来ることばかりではないから。

違和感なんですよね。僕の中でそういう現代にすごく違和感がある。でも、そういう部分を出し過ぎると面倒臭いやつになっちゃうでしょ。


ー あはは!

だからさすがに友達との会話の中には出さないけど(笑)、曲を書く時、特に今回のアルバムでは“裸の王国”も“WC”も“犬”も、「えー、今そういう感じなの?」という、自分が感じてる違和感を書きました。30年間この国に生きているのに、パッと気づくとタイムマシンで、違う時代からやってきた人間みたいな気持ちになる時があるんです。例えば電車に乗っている時に、乗客全員が同じポーズで携帯電話をいじっているとか。


ー あー。

多分20年前だったら別の国の変な宗教信じてる人の行動みたいに見えるんじゃないかなって。


ー あはは、確かに!

すごく気持ち悪い。ただ、今の時代に対する僕なりの違和感はもしかすると、これから僕も感じなくなるかもしれない。でもだからといって、その違和感をなくしたい。ただ、その違和感の根源を変えたいというより、もしかしたらこの世界のどこかに、同じような違和感を感じたことによって、同じような淋しさを覚えている人がいるんじゃないかなって。そう思ったら、歌として残しておく価値はある気がしたんです。


ー 今感じていることを残すというのは、大切かもしれない。

そうですよね。


ー それと、冒頭からストーリーとしてのインパクトを感じたのは、“明日への星”でした。

冒頭のエピソードは僕の実体験です!


ー え、ほんとに?!

はい(笑)。札幌にいた時は本当に僕、お金を全然持っていなくて。なのに友達が心配でお金を貸しちゃったんですよね。


ー で、電気代払えなくなって…

督促状もらって…


ー 彼女に呆れられる。

そう(笑)。自分の中でカッコ悪かったエピソードを集めたんです。あ、今は督促状ないですよ!

<一同爆笑>

当時を振り返って、自分の失敗談をあげたらキリがないんですけど、曲を書いている時にパーンと浮かんできたのが、このエピソードだったんです。ツッコミどころ満載な奴だなって思ったんです。この男は(笑)。


ー この男はね(笑)。

でも最終的に自分のことと言うよりは、そういう風に空回りをしている人や、それでも希望を信じているタイプの人たちに対しての応援歌になれば良いと思ったんです。大サビ前にある「一人ぼっちなんかにゃさせないさ」という歌詞が、この曲の言わんとしていることなんですが、お金を持っていないくせに、友達にお金を貸して電気代が払えない。部屋は督促状だらけで彼女にも愛想つかされる、もう泥まみれじゃん、傷だらけじゃん!世間的にお前みたいな奴はどうなんだ?って言われるようなタイプだけれど、そいつが意地張ってプライドを持って、たった一つだけのことは守っている。それは何かと言ったら「絶対にお前のことは一人にさせない」という気持ち。それを言えるということは、まだ捨てたもんじゃないと思うんです。そいつも、そいつの人生も。少なくとも、そう思える相手がいるわけだし。例えば“裸の王国”みたいな国の中に生きていて、誰もが一人のことを指さして尊敬していたり、逆に嘲笑っていたり。そんな中でも、自分自身は泥まみれのくせして、 絶対にお前のことをひとりにさせないって隣にずっと寄り添っていようとする。何かその佇まいというか、その精神、腹の括り方みたいなものが僕は好きだし、今のこのご時世にはとても相反するもののような気がして、歌いたくなったんです。


ー そういう気持ちから生まれた歌だから、すごく心に沁みるのかもしれない。個人的には是非シングルカットして欲しいくらいですもん!

ありがとうございます!僕もそれは思っています。その位、大切な曲になりました。


 

リリース情報

高橋優
「今、そこにある明滅と群生」

8月9日発売

CD収録内容(初回限定盤/通常盤共通)
01. BE RIGHT
02. 太陽と花
03. 裸の王国
04. 明日への星
05. WC
06. 同じ日々の繰り返し
07. ヤキモチ
08. 旅人
09. 犬
10. パイオニア
11. おやすみ

初回限定盤DVD収録内容
1. BE RIGHT
2. 太陽と花
3.ヤキモチ
4.明日への星
5.8月6日
高橋優初のStudio Liveを収録!
レコーディングメンバーで1発録音を敢行、アルバムからいち早く4曲のライブテイクと、発売日を祝して人気曲「8月6日」を特別収録!
高橋優本人のアルバムインタビュー含む約30分のファン必見DVD!

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初回限定盤CD+DVD
WPZL-30896/7 ¥3,400(本体)+税

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通常盤CD
WPCL-11944 \3,000(本体)+税
★初回生産限定 メガネ着脱式クリアケース仕様

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LIVE情報

10月17日(金)open 18:30/start 19:00
戸田市文化会館

10月26日(日)open 17:00/start 17:30
八千代市市民会館

11月1日(土)open 17:15/start 18:00
神戸文化ホール 大ホール

11月7日(金)open 18:15/start 19:00
札幌市教育文化会館 大ホール

11月16日(日)open 16:45/start 17:30
神奈川県民ホール

11月22日(土)open 17:30/start 18:00
仙台市民会館 大ホール
 
11月24日(月・祝)open 17:00/start 17:30
秋田市文化会館 大ホール

11月29日(土)open 17:30/start 18:00
富田林すばるホール

12月5日(金)open 18:30/start 19:00
郡山市民文化センター 中ホール

12月6日(土)open 17:00/start 17:30
駿優教育会館大ホール

12月11日(木)open 18:00/start 19:00
TOKYO DOME CITY HALL

12月19日(金)open 18:30/start 19:00
高知市文化プラザかるぽーと 大ホール

12月20日(土)open 17:30/start 18:00
倉敷市芸文館

2015年1月18日(日)open 17:00/start 17:30
三重県文化会館中ホール

2015年1月25日(日)open 17:00/start 17:30
栃木県総合文化センター

2015年2月1日(日)open 16:30/start 17:30
愛知県芸術劇場 大ホール

2015年2月7日(土)open 17:30/start 18:00
福岡市民会館

2015年2月8日(日)open 17:00/start 17:30
鹿児島市民文化ホール第二

2015年2月11日(水・祝)open 16:45/start 17:30
NHKホール

2015年2月13日(金)open 18:30/start 19:00
金沢市文化ホール

2015年2月15日(日)open 17:00/start 17:30
新潟市民芸術文化会館・劇場

2015年2月27日(金)open 18:30/start 19:00
静岡市民文化会館中ホール

2015年2月28日(土)open 17:30/start 18:00
アステールプラザ 大ホール

2015年3月7日(土)open 17:00/start 18:00
大阪・フェスティバルホール

 

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