ー それと個人的にノックアウトされたのが、“WC”でした。
ノックアウト?
ー 高橋優にやられた!この人はやっぱり凄い曲を書きやがる!って(笑)。
あらら(笑)、ありがとうございます。
ー 勿論そんなことはないと分かっているんですが、イントロのギターのチューニングがズレてるような…。
チューニングは合ってますよ(笑)。
ー ですよね(笑)。ただそう思わせる、ある種の気持ち悪さというか不穏な生々しさがを感じたんです。
あー、なるほど。今は、ネットの中で人の悪口を言ったりするのが常識みたいになっているじゃないですか。
ー ええ。
誰でも見れるし誰でもやれる。でも顔も名前も出ない。匿名で一人の悪口を言えるし、誰でも評論家みたいになれる。そういうこと全体がトイレに似ていると思ったんです。
ー どういうこと?
トイレの中で起こった出来事や、そこでなされていることを指さして「あいつ、汚らしい!」って言ったってしようがないじゃないですか。
ー まぁ、誰でもそうなんだしね。
インターネットというの世界の中も実は一緒で、匿名で書かれたその言葉だけは残っているから、「うわっ、人間は何て汚い言葉を言うんだろう。」「何ていう想いが飛び交っているんだろう、ヒドい!」となる。誰でも嫌な部分はあるのに、嫌なところだけを切り取って貼付けられているようにその場所を見て、みんなで「これは怖い。ネットは問題だ!」と言ったって、そういう場所を作ってしまったんだから、それを言ってもしょうがないと思うんです。
ー なるほど。
僕がサビで歌っているように、政治家や先生や聖者でさえ、ときには残酷なことや嫌なことを言うじゃないですか。それこそ文字に起こすと、とんでもないことを言っている人もいるけれど、それでもこの世界を何とかしようと思って頑張っていたりもする。それを言えば僕だって、僕の姉だって親だって、友達だってみんなそう。汚いことも言うけど、そっちにスポットライトをあてて「だからアイツは汚い人間だ!」と決めつけるのではなく、良いところを観ることが大切。愛すべき人だって見つかるかもしれないじゃないですか、その方が。
ー うんうん。
ひとつふたつ嫌なところがあったって、誰にでも良いところはある。そういう歌を歌いたかったんです。だからネットで叩き合っている人たちをトイレでなされている行為に例えて歌おうと思いました。
ー 様々な矛盾や違和感を感じながらも、ある部分では、人間の一面だけを見ないフラットさを持っているよね、優くんは。
そこに対して違和感を抱いているから、淋しさを感じてしまう時もあると思うんです。でもそういう気持ちになるのは、僕だけではないと思えるからこそ、“裸の王国”や“WC”のような曲を書けたんじゃないかな。今の世の中、すぐに誰が悪いという話をしたがるじゃないですか。
ー そうだね。
誰かひとりを吊るし上げて晒し者にして、「はいおしまい」って。そういうことがお金が儲かる方法のひとつでもあるから、みんなやるんだと思うんです。でも、そういうことをしても儲からなくなればまた変わるんじゃないかな。
ー 深いね。
そういうことをやるよりも、何があったって100%お前の味方だからなって言う人が、それぞれみんなの隣に一人ずついれば、こんな曲も書かなかっただろうし(笑)、色々な世界がもっと変わるんじゃないかなと思います。
ー そういえば、この“WC”と、次曲“同じ日々の繰り返し”は、曲間がほぼないですよね。これは何故?
これは僕のA&Rが、そうしたいって言ったんです。金髪で眼鏡のA&R(笑)。
ー 金髪で眼鏡(笑)。
そう(笑)。でも正直言うと、僕はここの曲間は空けたかったんです。個人的に僕の中では、M1からM5までがひとまとまり。それで “同じ日々の繰り返し”から最後の“おやすみ”までが、またひとまとまりで、前編・後編みたいなイメージだったんです。だから、ここの曲間は開けた方が良いと思っていたんですが。ただ曲間って、あまりみんなが聴いていない部分でもあるので、もし誰かの意見があれば訊いてみようという気持ちはありました。そこで「この曲間はすごく短くしたいんだよ!」ってアツく言ってきて(笑)。
ー そうなんだ(笑)。
「ここはね、スッといけるんだよ!」って言ったから、その言葉を信じて「そうしましょうか。」って。
ー そういう経緯だったんですね。私は曲間をすごく気にするんですよ。
えー、そうなんですか!?
ー はい。曲の世界観を次に繋げるか、あえて寸断させるかを左右するひとつかなと思っているので。だから今回曲調の違うこの2曲の曲間がこれだけ短いのは、ピッタリな感じもするし、不思議な感じもしました。
そのお言葉がそのままA&Rの感想でしょうね。そういう人だから。不思議な人でもあり、ピッタリしている人でもあり。(スタッフに対して)いつもピッタリした帽子かぶってるよね。
ー そういう意味のピッタリ?!
<一同爆笑>
ー 今作の中ではカラーが違うと言っても良いかと思える“ヤキモチ”は、本当にストレートなラブソングですが、この曲はいつ頃作ったの?
2013年の年末、12月30日とか31日とかに書きました。
ー 勿論、曲によってアプローチというのは違うと思うけど、例えば「誰もいない台所」の頃より、気持ちを飾らずに出すようになった気がするんだけど。
あぁ、そうかもしれません。僕、この曲はどうしてもアルバムに入れたかったんです。
ー それは何故?
自分のカッコ悪い部分を歌にすることで、カッコ悪さが美しさみたいになる音楽の不思議な魅力みたいなものってあると思うんです。
ー それはありますね。
僕って、本当にヤキモチ妬きなんですけど。
ー うん、すごくそんなが感じする。
え!そんな感じしますか?!
ー はい(笑)。
そっかぁ…(笑)。まぁヤキモチを妬くなんて、胸を張って言えることじゃないですよ。カッコ悪いことだし、弱々しいというか、それこそ男らしくないと言われてしまう部分だと思うんです。だけど僕にはそういうところがある。それを、先程おっしゃられたみたいに、飾り気を付けずにそのまま歌ってみる。ただ歌うのではなくて、出来るだけ自分の中にある大切なメロディの中にそれをくっつけて歌うことが、すごく重要に思えたんです。友達と語る上でも、相手の一番話したいことを引き出すことって大切だと思うんです。でもそのためには、こっちの弱い部分やこっちの一番話したくない部分まで全部話さないことには、向こうからも言ってもらえないと思うんです。心を開く作業というのは、そういうことだと思ったんです。だから“ヤキモチ”は、笑い話と捉えられても良いし、主人公がしてしまった誤ちをすごくシリアスに捉えても良いし、勿論真っすぐなラヴソングと受け止めてもらっても良いです。ただ、このとてもカッコ悪くて、弱々しい男のバラードを今回のアルバムに入れるというのは、とても意味があると思ったんです。
ー サウンドの表現が面白いと感じたのは、“犬”です。 特にAメロでの優くんの表現力を含め、歌詞の持つ嘆きや何かを求める姿に対して、ピアノの美しさは実に見事なコントラストをつけていますよね。
ピアノでこのリフを奏でたいと思ったのは僕なので、そう言ってもらえるとすごく嬉しいです。勿論僕がピアノを弾いているわけではないけれど、イントロや間奏で、この印象的というか、押し付けがましいほどの(笑)、「ターンタラタ♪」というメロディが聴こえてくる感じは、曲のバランスが取れると思ったんです。
ー ハードにもセンチメンタルにもより過ぎていないバランス感はすごくある!
あー、良かった!嬉しい。
高橋優
「今、そこにある明滅と群生」
8月9日発売
CD収録内容(初回限定盤/通常盤共通)
01. BE RIGHT
02. 太陽と花
03. 裸の王国
04. 明日への星
05. WC
06. 同じ日々の繰り返し
07. ヤキモチ
08. 旅人
09. 犬
10. パイオニア
11. おやすみ
初回限定盤DVD収録内容
1. BE RIGHT
2. 太陽と花
3.ヤキモチ
4.明日への星
5.8月6日
高橋優初のStudio Liveを収録!
レコーディングメンバーで1発録音を敢行、アルバムからいち早く4曲のライブテイクと、発売日を祝して人気曲「8月6日」を特別収録!
高橋優本人のアルバムインタビュー含む約30分のファン必見DVD!
初回限定盤CD+DVD
WPZL-30896/7 ¥3,400(本体)+税
10月17日(金)open 18:30/start 19:00
戸田市文化会館
10月26日(日)open 17:00/start 17:30
八千代市市民会館
11月1日(土)open 17:15/start 18:00
神戸文化ホール 大ホール
11月7日(金)open 18:15/start 19:00
札幌市教育文化会館 大ホール
11月16日(日)open 16:45/start 17:30
神奈川県民ホール
11月22日(土)open 17:30/start 18:00
仙台市民会館 大ホール
11月24日(月・祝)open 17:00/start 17:30
秋田市文化会館 大ホール
11月29日(土)open 17:30/start 18:00
富田林すばるホール
12月5日(金)open 18:30/start 19:00
郡山市民文化センター 中ホール
12月6日(土)open 17:00/start 17:30
駿優教育会館大ホール
12月11日(木)open 18:00/start 19:00
TOKYO DOME CITY HALL
12月19日(金)open 18:30/start 19:00
高知市文化プラザかるぽーと 大ホール
12月20日(土)open 17:30/start 18:00
倉敷市芸文館
2015年1月18日(日)open 17:00/start 17:30
三重県文化会館中ホール
2015年1月25日(日)open 17:00/start 17:30
栃木県総合文化センター
2015年2月1日(日)open 16:30/start 17:30
愛知県芸術劇場 大ホール
2015年2月7日(土)open 17:30/start 18:00
福岡市民会館
2015年2月8日(日)open 17:00/start 17:30
鹿児島市民文化ホール第二
2015年2月11日(水・祝)open 16:45/start 17:30
NHKホール
2015年2月13日(金)open 18:30/start 19:00
金沢市文化ホール
2015年2月15日(日)open 17:00/start 17:30
新潟市民芸術文化会館・劇場
2015年2月27日(金)open 18:30/start 19:00
静岡市民文化会館中ホール
2015年2月28日(土)open 17:30/start 18:00
アステールプラザ 大ホール
2015年3月7日(土)open 17:00/start 18:00
大阪・フェスティバルホール