幼少期から三線を習い、沖縄民謡の中で生きてきた上間綾乃。今年6月にリリースしたシングル『ソランジュ』は週間USEN HIT J-POPランキング2位(6月12日付)、有線放送CANシステム5月度問合せチャート2位(5月31日付)を獲得。優しくも凛とした歌に多くの人が魅了された。そんな上間綾乃が9月4日に2ndアルバム『ニライカナイ』をリリース。沖縄民謡とJ-POPによるケミストリーは上間の新たな魅力を引き出す。上間に三線の魅力を教えたお婆さんの死を受け彼女が感じたこと、今作に携わったミュージシャンや楽曲への想いも含め、所属レコード会社である日本コロムビアの五十嵐寿也プロデューサーとの対談で語ってもらった。
ー まずはフジロック出演お疲れ様でした。いかがでしたか?
上間:楽しかったです!興奮しちゃいました。いつもステージは楽しみながらやっているんですが、初めての夏フェスだし、あの独特の熱気ムンムンな雰囲気だけでも興奮して、ステージでもいつになく暴れてしまってステージドリンクをこぼしてしまいました(笑)。
ー うわっ!楽器は大丈夫でしたか?
上間:大丈夫でした。でもスピーカーのところにコポコポこぼれちゃって。ただ演奏中だから戻すことが出来なくて。そしたらスタッフが凄い勢いで来てくれました(笑)。
ー 五十嵐プロデューサーも観に行かれましたか?
五十嵐プロデューサー(以下/五十嵐):はい、行きました。フェスに来る人というのは基本、音楽好きの人ばかりじゃないですか。そこであるがままのライヴをやって受け入れてもらった感じはすごくありました。
上間:慣れているせいかもしれないけど、雨降ってもみんな居なくならないしね。
ー では改めてお二人に色々なお話を伺いたいのですが、まず五十嵐さんは最初から上間さんのプロデューサーをされていたんですか?
五十嵐:いえ。昨年、インターナショナル部門からアルバム『唄者』をリリースした時はまだ関わりはなかったんです。僕はずっとJ-POPの部門長をしていたので最初は「インターナショナル部門でまた綺麗な子をやるね。」みたいに思っていた位でした(笑)。でも社内での期待度も高くて周りの熱が上がっているのは感じていたんです。その後インターナショナル部門も僕の管轄になり、上間を発掘した岡野プロデューサーから音源を聴かせてもらいました。『唄者』は今迄沖縄で彼女がやってきたキャリアをストレートに表現した作品でしたが、僕はJ-POPで歌もの作りを多くやってきたので、もう少しJ-POPフィールドに寄せるようなアプローチでやってみないかと話をもらい、担当することになりました。
ー 五十嵐さんと一番最初にあった時のことを覚えていますか?
上間:最初に会ったのってライヴでしたっけ?
五十嵐:いや、会社だよ。
上間:そうだ。会社で部門が一緒になった時に挨拶させて、貫禄がある方だなと…。
五十嵐:それは太ってるっていうだけだろ(笑)。
上間:いやいや(笑)。人って持っているオーラみたいなものが出るじゃないですか。「きっとこの人はすごいことをしてきた人なんだろうな。」と思わせるオーラが出ていました。
五十嵐:いやいや(笑)。
ー 今年6月にリリースした『ソランジュ』はUSENなどでもかなり話題になりましたね。
上間:実は私、有線が流れている現場になかなかいなかったので実感が沸かなかったんです。でも周りの人から「聴いたよ!」とすごく言われて。その後名古屋で“ソランジュ”が流れているのを初めて聴けたのでスタッフに言ったら「どれだけ流れてると思ってるの?」とツッコまれました(笑)。でも行くところ行くところで本当に沢山耳にしたと言われてすごく嬉しかったです。
五十嵐: “ソランジュ” は曲をお願いしてから1年位かかったんだよね。
上間:そうでしたね。
五十嵐: 作曲をしていただいた都志見 隆さんという方は、「困った時にはこの人」という位にメロヂカラを持っているヒットメーカーで、まずは上間に会わずに作品や動画からイメージして曲を作りたいと言われました。それで出来上がったのがあの曲なんです。上間の基である沖縄がきちんと全国区になるような汎用性を持ったメロディだと感じましたし、よくこんなに色々考えて作ってくれたなと。そう思っただけでグッときました。何か、関わった人の多くがみんなグッと来ているんです。
上間:制作チーム、みんなひとしきり泣きましたし。
五十嵐:そんな中で歌詞をどうしようかとなった時に、都志見さんと相談して康 珍化さんのお名前が出ました。でも康さんはここ最近ずっと歌詞を書かれていなかったので、書いてくれるか心配でしたが、すごくよく上間のことをリサーチして下さり、沢山キャッチボールもしながら言葉の細部まで念入りに考えて作っていただきました。ぶっちゃけ難しいんですよ。彼女に合う曲を作るというのは。何故難しいかというと、個性がハッキリしているじゃないですか。
ー 確かにそう思います。
五十嵐:難しいということは、上間がクリエイター達に書かせている部分が多いとも思うので、『ソランジュ』はそういう手応えを感じながら制作出来ました。
ー そして9月4日に2ndアルバム『ニライカナイ』をリリースですね。
上間: “ソランジュ” が大きな命のサイクルをテーマにしている曲なので、アルバムもひとつの物語として考えました。暮らしの中で誰もが感じる愛情や哀しみ、喜びを、飛び跳ねるような軽快な曲や子守唄のような優しい曲など様々な曲で感じてもらえればと思います。
ー ユートピア的なことを意味する『ニライカナイ』という言葉をタイトルにしたのは?
上間:タイトルはすごく悩みました。でもどれもしっくりこなくてタイトルを決めなければいけない期日ギリギリまで粘っていたんです。そんな6月の初旬に、うちの婆ちゃんが亡くなったんです。
ー そうだったんですか…。
上間:一番最初に私に三線の魅力を教えてくれた婆ちゃん。とても元気な婆ちゃんだったので、死んでしまうことを誰も予測してなくて…。
五十嵐:びっくりしたよね。あまりに急で。
上間:亡くなる2日前に85歳のお祝いパーティーをしたんです。だから本当に誰も予想してなくて。その婆ちゃんが亡くなって、やるべきことはあったのに「どうしたらいいんだろう。」って、ちょっとパニックになってしまって。でも1日、2日、3日…と日が経つにつれて、ずっと前婆ちゃんに言われた「よんなーだよ。」という言葉を思い出したんです。
ー よんなーだよ?
上間:沖縄の方言で「ゆっくりだよ」という意味なんですが、婆ちゃんはよく「忙しいみたいだけど、よんなーやるんだよ。」と言ってくれていて、それは「頑張りなさいよ!しっかりやりなさいよ!みんな大切にしなさいよ!」という強い言葉ではなく「ゆっくりゆっくりやれば大丈夫だからね。」という優しい言葉。それがずっとあったんです、私の心の中に。だから婆ちゃんは、いなくなったのではなくてニライカナイに帰ったんだと思ったら気持ちを切り替えることが出来て、今やるべきことをしっかりやろうと思うようになれました。
ー でも最後にお祝いをしてあげられたのは良かったですね。
上間:ええ。勿論こんなに逝く日がすぐ来るなんて思っていなかったけど、 沖縄に帰省している時だったので会えてよかった。そういうのも巡り合わせのひとつかなと思うんです。だから自分の中でそういう経験も大きくて、タイトルを『ニライカナイ』にしました。
上間綾乃 2nd Album
「ニライカナイ」
2013年9月4日発売
日本コロムビア
COCP−38170 / ¥2,940
01. Overture-命(いぬち)、生(ん)まりとてぃ-
02. ソランジュ
03. 里(さとぅ)よ
04. ゆらりゆらら
05. Interlude-躍動-
06. ヒヤミカチ節 (民謡)
07. 新川(あらかわ)大漁節 (民謡)
08. やんどー沖縄(うちなー)
09. 明日ハ晴レカナ、曇リカナ
10. ニライカナイ
11. あなたのもとへ
12. あいうた
上間綾乃 Concert Tour 2013 <ニライカナイ>
2013年11月28日(木)
名古屋 THE BOTTOM LINE
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livlog/53a0572/
2013年12月05日(木)
大阪 umeda AKASO
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https://www.yumebanchi.jp/
sche/kansai.htm
2013年12月07日(土)
東京 日本橋三井ホール
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detail/18109
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